請願

 

第165回国会 請願の要旨

新件番号 452 件名 障害者自立支援法の定率負担等と新体系の基準・報酬の見直しに関する請願
要旨  今年四月から障害者自立支援法は施行されたが、この影響は非常に厳しい。第一に、利用者負担増により施設利用をやめていく者が全国的に広がっている。新潟県でも四月段階での調査では退所者が二○人となっており、利用者の生活への圧迫は大変なものがある。これに対し既に全国でも多くの自治体が何らかの負担軽減措置を講じているが、これは支援法の一部に不都合があることの証(あかし)である。第二に、施設事業所への影響が深刻で、新体系の基準・報酬が苛酷(かこく)と思えるほど低額であった。新潟県下の施設で運営費が昨年四月比で三○%減になった所が三つあるとか、運営費が新潟県平均で一五・○%減であるという法人立授産施設連絡協議会のアンケート結果がある。その結果として、職員の待遇が低下しており、これは施設に働く職員の労働の質ばかりでなく、障害者をも軽んじていることにほかならず、今後、福祉サービスの目減りが心配である。第三に、国庫補助事業で大幅に経費削減を示されたものがあったりとか、支援法の縛りで自治体補助事業がスムーズに新体系事業に移行できないとか、存続が困難な事業所も出てくる懸念がある。出現率五%という障害者は、どこの家庭でも起こり得ることであり、その障害者にも幸福の追求権はある。それを国が保障したのが無拠出の障害基礎年金である。その障害基礎年金から定率負担として徴収することは、納税している国民が障害者を支えているという今までの構図を崩し、納税能力のない障害者をも支える側に巻き込んだことになる。しかし、障害者が納税能力を持ち得るほどの所得保障はいまだ手付かずである。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、障害者とその家族の生活安定のため、障害者自立支援法の世帯収入による定率負担を本人のみの収入によるものとし、障害者の実態に合った負担軽減策を更にきめ細かく検討し拡充すること。
二、精神障害者の治療に欠かせない通院医療費公費負担制度を復活させて、医療の充実を図ること。
三、報酬単価の設定を利用実績払いとしたことによる減額で施設事業所の経営は非常に苦しい状況である。従来の月額方式に戻すこと。また、新体系による単価・報酬の基準は低すぎるし、サービス提供職員の配置基準は従来との間に整合性がない。基準を見直すこと。
四、就労移行支援事業で利用者の施設外活動日が事業所の実績にならないが、現在の利用実績払いでは事業所の大きな減額につながる。利用実績払いの制度下では報酬上の加算措置を講じること。
五、精神障害者社会復帰施設及び小規模通所授産施設等運営費の国庫補助金を一律二五%削減の方針を改め、元どおりの財源を確保すること。
六、小規模作業所が地域活動支援事業や個別給付事業に移行しやすくなるよう、また、経営が安定するように大幅な緩和策を講じること。
七、障害基礎年金額を引き上げることにより所得保障となるようにすること。

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