請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 2313 件名 気象事業の整備拡充に関する請願
要旨  気象庁の使命は、気象業務の健全な発展を図り、災害の予報、交通の安全の確保、産業の興隆等、公共の福祉の増進に寄与することにある。そのため、自然の脅威から国民の生命と財産を守るための注意報・警報を含む防災情報の発表を始め、気象、地震・津波、火山などの災害に対する国民の知識や防災意識の向上へ向けた啓発活動、暮らしや地域産業と密接に結び付いた日々の天気予報や季節予報の発表などを行っている。また、気象事業に関する国際的な協力も行っている。我が国では、台風や集中豪雨、地震や津波、火山噴火による被害が頻発しており、全国で尊い人命や国民の財産が奪われた。災害を伴う最近の気象現象は、過去に例を見ない激しい現象が多くなる傾向にあり、観測監視体制の強化、基盤観測網の整備・拡充、技術開発や予報精度の向上、調査・研究の充実など、気象事業全般を支える気象庁の体制強化が求められている。また、二〇〇四年のスマトラ沖地震により、防災に対する国際的な関心が高まる中で、二〇〇五年一月に行われた国連の国際防災会議では、防災は国が第一義的に行うとする声明が日本の代表も入って採択され、国際的にも災害に対する国の責任が求められている。機械化やIT技術の発達により、気象台から発表される情報は、迅速に送られるようになったが、気象庁の予算は七〇〇億円弱と国家予算の〇・〇九%、定員は六、〇〇〇人弱とピーク時と比べて六〇〇人も純減となっている。そのため、全国に九九か所あった測候所も半分以下まで削減され、観測機器などの更新もままならない。情報は気象台から県を通じて市町村へ伝達されているが、気象庁の調査でも、気象台が発表する防災情報について、市町村で十分活用されていないことが明らかになった。今のままでは、緊急時に迅速かつ確実に、相手の必要な情報を伝達していく上で限界がある。災害を予防し、被害を軽減するためには、気象技術者が普段から知識の普及と啓蒙(けいもう)活動を行うことが必要である。また、緊急時には、気象庁と防災機関との双方向の意思疎通を強めることが欠かせない。暮らしや地域経済に即した情報、観光・レジャーやイベントに適した情報などの向上に向けて、提供の中心となっている民間気象会社の健全な育成を進めるとともに、民間気象会社では提供困難な地域における情報発表や精度の高い観測データについては気象庁が責任を果たしていくことが求められている。気象庁が国の機関として、引き続き、その役割を発揮することが気象業務の発展に欠かせない。
 ついては、自然の脅威から国民の生命と財産を守り、国民の期待とニーズにこたえるため、次の事項について実現を図られたい。

一、国の直接の責任で、より精度の高いきめ細かな防災情報、暮らしや地域産業に密接にかかわる気象情報が提供できるよう、気象事業全般の基盤の強化を行うこと。

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