請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 1793 件名 入管法改正案に関する請願
要旨  テロの未然防止のためとして、特別永住者を除く一六歳以上の外国人に入国審査での指紋採取を義務付ける入管法の改正案が今国会に提出・審議されている。しかし外国人に対する指紋制度は、一九八○年からの指紋押捺(おうなつ)拒否闘争がこれを民族差別であると告発して大きな社会問題となり、国会も一九九二年に永住者・特別永住者に対する指紋部分廃止を、一九九九年にはすべての外国人に対する指紋全廃を決定している。それをわずか六年後の今、入国審査での採取という形で復活させようというのは、在日外国人への差別是正の大きな一歩としてなされた指紋全廃を否定するものである。今度の制度では採取した指紋を犯罪捜査にも利用するとしている。日本人のパスポートでも任意の指紋制度が検討されているが、これを広く犯罪捜査にも利用するとすれば明らかに目的外使用である。目的外使用を外国人だからと許すことは外国人を犯罪者扱いするものであり民族差別である。改正案では公衆等脅迫目的の犯罪を行うおそれがある者を退去強制する規定の新設も盛られる。極めてあいまいな規定で生活の場を奪われるなら外国人は安心して日本で暮らせない。そもそも入管法は、労働運動への関与や文書の作成・頒布まで退去強制の対象とするなど、憲法の保障する人権や自由はもちろん市民感覚からも余りに掛け離れた項目がある。一九九九年の国会附帯決議の外登法の常時携帯や刑事罰制度の見直しもまだ実現されていない。ますます多くの外国人が日本で暮らす現在、むしろ住民、移民といった観点の欠落した入管法・外登法の抜本的な見直しを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、外国人への指紋押捺制度復活はしないこと。
二、退去強制規定の新設はしないこと。
三、在日外国人を住民として尊重するよう外登法・入管法を抜本的に見直すこと。

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