請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 841 件名 安全・信頼の回復、日本のタクシー再生に関する請願
要旨  改正道路運送法が施行されて四年が経過した。この間、タクシー事業とそこで働く労働者の現状を見ると、タクシー規制緩和の失敗を如実に表している。市場が縮小しているにもかかわらず、多くのタクシー事業者は生き残りを理由に増車競争に走り、同業他社をけ落とすため不当な運賃ダンピング競争に走った。このことによって生み出されたものは、コンプライアンス(法令遵守)を無視したタクシー事業者のモラルハザードであり、タクシー労働者の賃金・労働条件の急速な劣悪化である。そして、その帰結としての事故の増大などによる輸送の安全の崩壊である。こうした事実は、タクシー規制緩和の失敗を真摯(しんし)に反省し、必要な対策を早急に講じることを政治と行政に求めている。改正法の成立に当たっては、衆参両院で附帯決議が採択された。しかし、国土交通省は、総合規制改革・民間開放推進会議の圧力に屈して、国会決議を反故(ほご)にし、ダンピング運賃誘導を行うなど、運賃認可制をも骨抜きにする姿勢に終始している。改正法の趣旨にも反する行政の暴走・横暴をチェックし、是正するのは立法府の責任でもある。改正法の欠陥が明らかになっている今こそ、タクシー規制緩和の弊害を根本的に是正するための法の見直しを進めるべきである。社会的規制のみでは現在のタクシー産業の健全化とその活性化を図ることができないのは、これまでの経過が証明している。適切なタクシー規制の再構築を図ることで、利用者に安全と快適を、労働者には安心して暮らせる職場をもたらす、産業へ再生させなければならない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、タクシーサービスと労働条件の低下を防止し改善するため、喫緊の課題として以下の事項の実現を図ること。
 1 著しい供給過剰状態を是正するために、緊急調整措置の適切な運用を図るとともに、減車措置を採らせること。
 2 道路運送法に違反・抵触する不当に安価な運賃・料金への誘導をやめさせ、さらにはメーター運賃制の崩壊をもたらす「九・一六通達」の撤回など、国土交通省のタクシー運賃政策を改めさせること。
二、タクシー規制緩和の弊害を根本的に除去し、安全と信頼のタクシーへの再生を目指し、運賃・需給にかかわる適切な規制を再構築するため、道路運送法の見直しに着手すること。見直しに当たっては、適正需給の確保を可能とする制度、労働条件改善と利用者利便にかなう運賃制度、より高いタクシーサービスを提供するための運転者資格制度などを検討すること。

一覧に戻る