請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 344 件名 じん肺根絶に関する請願
要旨  じん肺は、最古にして今なお最大の職業病である。いまだに二万人近くのじん肺有所見者がおり、毎年一、○○○名前後が最重症患者として新たに認定されている。また、毎年一、○○○名以上が死亡していると言われている。数多くのじん肺裁判の結果、企業の責任は明確になっている。二〇〇四年四月の筑豊じん肺訴訟最高裁判決は、国の加害責任を明確に認めた。米海軍横須賀じん肺でも、造船における国の責任が明確にされた。現在最大のじん肺被害者が発生し続けているトンネル建設工事について、発注者である国の責任を追及する裁判が全国一一か所の裁判所で審理されている。また、炭鉱夫じん肺の国の責任を問う西日本石炭じん肺が昨年四月に提訴された。ILO(世界労働機関)・WHO(世界保健機関)は、二〇一五年には世界中からじん肺を根絶すべきである、そのために各国政府はじん肺根絶計画を策定すべきであると提唱している。日本も、じん肺根絶のための抜本的な制度改革に取り組むことが強く求められている。また、建築物に多く使用されているアスベストは、じん肺の原因物質であるとともに、強い発がん性を有しており、ここ数年アスベストによる健康被害が多数報告されている。我が国においてはようやく二〇〇四年一〇月に原則的に使用が禁止とされたが、まだ多くの例外が残っており、今後アスベストを使用した建物の解体等によってアスベスト粉じんによる大量の被害発生も危惧(きぐ)されている。二二の都道県議会、一、二七二の市町村議会が「じん肺根絶の意見書」を決議し、一、一一九名の地方自治体首長が賛同し、内閣総理大臣あての要請書を提出している(二〇〇四年七月時点)。じん肺とアスベスト被害の根絶は、緊急に解決すべき課題である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、遅くとも二○一五年までに日本におけるじん肺根絶を実現するため、じん肺法、労基法、労働安全衛生法等関係諸法律を速やかに改正すること。
二、じん肺多発の継続を放置する関係省庁の実態(政令・省令の不備、監督等の労働行政の不備等)を調査し、速やかに改善するよう指導すること。
三、じん肺を多発させているトンネル建設工事、造船、各種製造業、建設業を始めとするすべての職場における粉じん対策を徹底すること。特に、最大のじん肺多発の職場であるトンネルについては、粉じん測定の義務付け、粉じん作業時間の短縮などを直ちに実施すること。
四、アスベストの完全使用禁止とアスベスト被害者の救済を充実すること。

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