請願

 

第164回国会 請願の要旨

新件番号 45 件名 原子力発電等に関する請願
要旨  エネルギー資源の乏しい我が国にとって、国民生活の維持向上と社会経済の発展に必要な電力を確保することは、極めて重要な課題となっている。国においては、各種エネルギー資源の開発について対策が講じられているが、原子力発電に関する施策は必ずしも十分とは言えない。また、過去に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故や株式会社ジェー・シー・オーの臨界事故、MOX燃料に係る検査データの不正問題等は、原子力政策の在り方に対する国民の信頼を根本から損なっている。さらに、平成一四年、発覚した自主点検作業記録等の記載に係る不正問題及び格納容器漏えい率検査における偽装工作は、原子力発電施設等の安全性を信じざるを得ない立地地域の住民の気持ちを踏みにじるものであり、原子力行政の体質、体制を問われ、原子力発電施設等の安全性はもとより、国の安全規制に対する国民の不安感、不信感はいまだ回復には至っていない。このような中、平成一六年七月には、国等における核燃料サイクルに係る過去のコスト試算資料の存在が発覚したばかりか、同年八月には、関西電力株式会社美浜発電所三号機二次系配管破損事故により、我が国で初めて運転中の原子力発電所で死傷者が出る事故が発生したことは、原子力発電施設等に対する国民の信頼を根本から崩すものである。特に配管破損事故については、再発防止対策はもとより、原子力発電所に対する信頼を回復するため、あらゆる対策を講じる必要がある。電力自由化の進展など、エネルギーをめぐる社会情勢が変化している中で、国が進める核燃料サイクルに対しても、国民の理解、コンセンサスが十分得られているとは言えない状況にある。国においては、原点に立ち返り原子力政策に対する一層の国民の合意形成を図るとともに、原子力発電施設等の安全性の確保と防災対策の確立、原子力発電に関する国民の理解と協力を得るための分かりやすい広報の徹底、さらには、電源地域の振興を図るための総合的な施策の確立など、その充実強化が強く求められる。
 ついては、次の措置を速やかに採られたい。

一、原子力発電施設等(核燃料サイクル施設を含む。)の安全対策及び防災対策並びに周辺環境整備に係る予算枠の拡大を図ること。
   エネルギー資源の乏しい我が国は、エネルギーの安定供給、経済性及び地球環境保全等の面から今後とも原子力発電に依存せざるを得ない状況にあり、さらに原子力発電施設等の安全対策及び防災対策並びに周辺環境整備の充実強化を図るため、国の関係予算枠を拡大すること。特に、原子力発電所がテロやミサイル攻撃の標的となった場合、発電所周辺住民の安全を確保するには、避難のための道路整備は重要であり、国の予算枠を拡大すること。

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