請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 1847 件名 大牟田労災病院の高次脳機能障害リハビリテーションセンターとしての整備に関する請願
要旨  厚生労働省は平成一六年三月、「労災病院再編計画」を発表し、大牟田労災病院は平成一七年度に廃止とした。そして「大牟田労災病院の廃止に当たっては、その設置経緯、『炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法』の趣旨及びCO中毒患者の療養の現状を踏まえた対応を検討する。」と備考に付け加えた。大牟田労災病院は、昭和三八年の三池炭鉱炭塵(たんじん)爆発災害(死者四五八名、一酸化炭素中毒患者八三九名)を契機に設立された。今もなお三○人の被災者が入院し、地域には二○○名以上の一酸化炭素中毒後遺症や合併症で苦しみ続けている人が生活している。政府は昨年五月一七日の衆議院決算行政監視委員会第三分科会において「国が最後まで責任を持つ」「一酸化炭素中毒症は特に脳の機能、高次脳機能に障害が強く残るため、大牟田労災病院では主に脳の機能低下の予防あるいは改善を目的にリハビリテーションを実施している」「患者の療養に支障を来さない方策について鋭意検討していきたい」と答弁し、平成一七年度予算に大牟田労災病院廃止に伴う炭坑爆発事故による一酸化炭素中毒患者対策の業務委託費約一億五、六○○万円が認められた。今後も必要とされる対策事業は、一酸化炭素中毒後遺症の主症状である高次脳機能障害への対応を中核に実施すべきであり、高齢化に伴う医療確保の観点から充実した医療体制が必要である。また、災害の教訓及び一酸化炭素中毒後遺症の診療経過を後世にいかしていくため、社会問題化している高次脳機能障害へ対応するため、広く一般に開放された医療施設としての整備が求められている。現在、廃止ありきで診療機能低下を来している大牟田労災病院は、療養病棟のみの運営で適切な医療提供が行えず、スタッフの確保も困難な状況となっている。日々低下する医療環境の中で、患者・家族は不安な日々を送っている。一酸化炭素中毒患者の最後の一人まで診療・療養に責任を持つには、対策事業の十分な検討及び早急な対応が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、大牟田労災病院の今後の在り方については、これまでの大牟田労災病院の機能を継承した療養病棟と一般病棟を併せ持つ一○○床体制の「高次脳機能障害リハビリテーションセンター」として整備すること。
二、昭和三八年の三池炭鉱炭塵爆発により被災した人はもとより、家族の苦悩の歴史と一酸化炭素中毒後遺症(高次脳機能障害)の診療経過を教訓とし、全国で高次脳機能障害(交通外傷、脳血管障害等)に苦しんでいる約三○万人の人、また毎年一万人の患者が生まれている現状を踏まえ、大牟田労災病院のこれまでの高次脳機能障害に対する診療の蓄積を、社会問題化している約三○万人の高次脳機能障害の患者たちの治療・療養の医療機関として役立てるために、国が責任を持って「高次脳機能障害リハビリテーションセンター」を設置し、充実させること。

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