請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 1239 件名 気象事業の整備拡充に関する請願
要旨  気象庁の使命は、災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与することにある。そのため、自然の脅威から国民の生命と財産を守るため注意報・警報を含む防災情報の発表を始め、気象、地震・津波、火山などの災害に対する国民の知識や防災意識の向上を果たす啓発活動、天気予報や季節予報、暮らしや地域産業と密接に結び付いた気象情報の発表などを行っている。また、気象事業に関する国際的な協力も行っている。我が国では、台風や集中豪雨、地震や津波、火山噴火による災害が頻発しており、全国各地で尊い命が奪われ、甚大な被害がもたらされた。災害を伴う最近の気象現象は、過去に例を見ない激しい現象が多くなる傾向にあり、観測監視体制の強化、基盤観測網の整備・拡充、技術開発や予測精度の向上、調査・研究の充実など、気象事業全般を支える気象庁の体制強化が求められている。二〇〇三年に発表された防災情報の利用状況を調査した結果、気象庁の発表する防災情報が一部の市町村で十分活用されていない状況が明らかになった。防災情報は、県を通じて市町村に伝達されるが、この方法では緊急時に迅速かつ確実に伝えることに限界がある。気象庁は情報提供のサブルートとして、消防庁の協力を得ながら市町村との防災情報の共有化に必要な予算を二〇〇五年度の概算要求に盛り込んでいる。災害を予防し、被害を軽減するためには、気象技術者が普段から知識の普及や啓発活動を行い、緊急時には気象庁と防災機関との双方向の意志疎通を強めることが欠かせない。暮らしや地域経済に即した情報、観光・レジャーやイベントに適応した情報などは、民間気象会社の健全な育成によって充実させるとともに、民間気象会社では提供困難な地域における情報発表や精度の高い観測データについては気象庁が責任を果たすべきである。気象庁が国の機関として、引き続きその役割を発揮することが気象事業の発展には欠かせない。
 ついては、自然の脅威から国民の生命と財産を守り、国民の期待とニーズにこたえるため、次の事項について実現を図られたい。

一、国の直接の責任で、より精度の高いきめ細かな防災情報、暮らしや地域産業に密接にかかわる気象情報が提供できるよう、気象事業全般の基盤の強化を行うこと。

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