請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 1172 件名 介護保険制度全面見直しに関する請願
要旨  介護保険制度の全面的な見直し法案が国会で審議されようとしている。その中味は、介護予防の名目で従来公的施策として行われてきた老人保健事業などまで介護保険に取り込むこと、特養ホーム入所者からのホテルコスト(居住費用や光熱水費)及び食費の全額徴収、軽介護者のサービス利用制限など、負担の増大とサービス利用の制限ばかりである。また、障害者福祉についても、介護保険との統合や被保険者の拡大も視野に入れての「障害者自立支援法案」による定率、応益負担導入によって障害者の負担が大幅に引き上げられようとしている。この時期にこそ原点に立ち返って、必要なときに必要なサービスを受けることができ、だれもが安心して人間らしい暮らしと尊厳が守られる制度を国の責任において確立することを求める。
 ついては、介護保険制度の全面的な見直しに当たり、次の措置を採られたい。

一、無理のない負担で、だれもが安心してサービス利用ができ、人間らしい暮らしと尊厳が守られるよう、応益負担ではなく応能負担を原則とする制度に抜本的な改善を行うこと。
 1 保険料、利用料負担は所得に応じた累進性を拡大し、減免制度を充実すること。
 2 特養ホーム入所者(ショートステイを含む)の食費、ホテルコストの全額自己負担、また通所系サービスの食費全額自己負担という利用者負担の大幅引上げをやめ、所得に応じた利用者負担や公費による減免制度を充実すること。
 3 前項の食費、ホテルコストの全額自己負担化の、強引で無法な本年一〇月前倒し実施は行わないこと。
二、軽介護者(要支援、要介護一など)への利用制限をやめ、だれもが必要なだけの援助が受けられ得る制度にすること。また、独居老人やケアハウス入所者へのサービス利用は従来どおり実施できるように保障すること。
三、介護予防、高齢者保健施策は、介護保険制度に取り込むのでなく、これまでのように公的制度として拡充し、介護保険財政とは分離すること。
四、地域・高齢者の身近な老人福祉の相談拠点である在宅介護支援センターについて、介護予防の名による統廃合をやめ、一層の充実を図ること。
五、養護老人ホームは、老人福祉のセーフティネットとして、公的責任(措置)による入所保障を継続するとともに、職員配置などの改善を図る形で、介護保険の在宅サービス利用を可能にすること。
六、特養ホームの増設と個室化などの施設整備を国の建設費補助によって計画的に促進すること。
七、利用者の尊厳ある暮らしが提供できるよう職員配置を改善し、また、職員の専門性と資質の向上を保障できる介護報酬の引上げ、改善を行うこと。
八、障害者福祉への定率、応益負担導入をしないこと。介護保険との統合や活用については性急な結論を避け、十分な論議を尽くすこと。
九、国の責任で行うべき社会保障の責任を地方自治体に転嫁し、地域間格差を広げることにつながる安易な一般財源化はやめること。

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