請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 931 件名 緊急地域雇用創出特別交付金の打切り反対、公的就労事業の堅持・拡大に関する請願
要旨  大阪府・市高齢者特別就労事業は、バブル経済崩壊に伴う建設不況による失業・野宿の拡大・深化を受け、取り分け飢餓線上にある高齢日雇労働者のために、釜ヶ崎地区道路清掃とあいりん総合センター清掃一日二○名に対して約八○○名の輪番就労で一九九四年一一月に始まった。不況・失業の深刻化と野宿労働者の激増の中、公的就労対策への大阪府・市の協力と、当事業に対する三年前の国の緊急地域雇用創出特別交付金(以下「二次交付金」)の導入を得た。現在では大阪市内全域から三、一○○名もの登録労働者が市内の道路・公園・府下の国道・河川の草刈り・清掃等に一日二五○名ずつ輪番就労している。現在の事業規模では、一日五、七○○円の仕事に一か月三日ないし四日就労がやっとで、ほとんどの労働者はこれしか収入がないか、又は段ボール・アルミ缶等資源回収での収入という飢餓線上の生活を強いられている。失業・野宿の深刻化は労働市場の変化に応じた日雇・野宿労働者の就労対策に本腰を入れてこなかった国の労働政策・経済政策の結果であり、国は日雇・野宿労働者の長期的かつ困窮した失業状況に対する責任がある。特別就労事業で従事した現場は、ほとんどが定期的巡回で草刈り・清掃・整備が不可欠である。特に府下の国道、河岸は手入れがなく十数年も放置されているところがたくさん残っており、現状枠の三倍、四倍の増員が必要である。過去、高齢者雇用促進予算や日雇多数雇用奨励予算が単に不況期の有業者の食いつぶしに終わり、労働者の「首切り奨励金」として雇用主に利用された。各都道府県の緊急雇用特別対策事業にかかわる前三年の一次交付金についても多くが完全失業者に回っていないと国会審議でも指摘された。日雇・野宿の恒常的失業層には特別就労事業の外は交付金事業の仕事がほとんど回ってこなかったという結果を見ても、確実な雇用創出につながったとは言えない。失業者の雇用創出に結び付かない実施要領や運用方法などは今後見直さなければならないが、交付金で何とか生活を食いつないだ一般失業層に対しても、また日雇・野宿の恒常的失業層に対しても、国としての責任を放棄することは断じて許されない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、政府、国会として二次交付金の導入によって大阪府・市高齢者特別就労事業が果たしてきた役割を積極的に評価すること。
二、多くが野宿を強いられている登録労働者三、一○○名と今後登録を希望する五五歳未満の野宿労働者にとって死活問題である緊急地域雇用創出特別交付金の今年度末打切りはしないこと。
三、一般失業層と、より困窮する日雇・野宿の恒常的失業層のための、来年度以降の三次交付金を求めること。

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