請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 796 件名 障害者自立支援法案の改善及び通院治療を必要とする精神疾患患者に対する福祉施策の規定に関する請願
要旨  通院治療を必要とする精神障害者(精神疾患)には、現在、精神保健福祉法第三二条が福祉施策として存在し、五%の自己負担で治療を受けられるが、「障害者自立支援法」の成立で第三二条は廃止される。「障害者自立支援法案」では、自立支援医療費の支給認定基準など、重要な部分が厚生労働省令や政令の委任事項とされているが、厚生労働省によれば、「重度かつ継続の患者のみ福祉対象とする」など福祉対象者を大幅に制限する考えである。この結果、施行時には福祉対象外となり、通常の医療費三割負担になってしまう患者が多数存在する。厚生労働省は、医療費の自己負担の増加は患者にそれほど大きな影響を与えないとのシミュレーションを行っているが、実際には、患者の多くが就労不可等で経済的な困窮状態にあり、また家族と同居する患者は家族に負担を掛けているという心理的な負い目を抱えている場合が多い。このような現状においては、福祉対象外となった患者は経済的困窮から病院離れを起こし、通院の減少・中断による症状の悪化や精神的重圧の増大などから、自殺や他傷行為に至るおそれが高い。法案は本来患者の自立支援のためでありながら、逆に通院治療の必要な患者を経済的・心理的に追い詰め、暮らしや生命に多大な悪影響を及ぼし、社会的にも重大な損失を招くものである。
 ついては、通院治療中の患者への負担増により予測される事態を未然に防ぐため、次の事項について実現を図られたい。

一、厚生労働省の方針では、精神障害者に対する自立支援医療費の適用最低基準が「重度かつ継続」の者のみとのことであるが、最低限の適用基準を「通院治療・服薬なしでは就労・就学が困難な者、または医師が就労不可あるいは就学不可の認定を下した者」と「障害者自立支援法」内で精神障害者の規定を明文化すること。
二、厚生労働省の方針では、福祉判定は病名制限によるものとなっているが、各人の病状・病態から主治医の判断によるものと「障害者自立支援法」内で明文化すること。
三、厚生労働省の方針では、世帯単位の所得で福祉の受給可否を決めることになっているが、通院治療を受ける患者本人の所得で福祉判定を行うよう「障害者自立支援法」内で明文化すること。
四、厚生労働省の方針では、中間所得者層に属する通院治療中の患者に対し、一定年数のみでの福祉施策が打切りとなっているが、通院医療の必要性が患者に続く限り、福祉施策を受け続けられるよう「障害者自立支援法」内で明文化すること。

一覧に戻る