請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 593 件名 建設労働者の労働条件改善に関する請願
要旨  建設産業界では一部で都市再開発など民間投資の伸びる一方、国と地方は財政事情に起因する公共事業費の急激な減少、加えて公共事業のコスト構造改革と称する総合コスト縮減が政策として進められ、入札契約制度改革の運用によってダンピング受注問題も深刻な事態になっている。このままでは業界の存続すら危ぶまれ、建設労働者の生活水準の急激な低下も重大な事態を迎えている。今、政府に求められるのは、中小零細企業の資金繰りを脅かす強制的な不良債権の処理や大手建設企業のリストラ支援、下請単価の買い叩(たた)きではなく、公契約法を制定し六○○万人の建設労働者の賃金引下げに歯止めを掛け、官公需法を十分に活用して公共事業や公共調達で中小零細企業への手厚い支援を行い、教育に掛かる負担軽減と年金・医療・介護等社会保障制度の充実で将来の不安を払拭(ふっしょく)することである。消費不況打開、国と地方の財政再建のためには、公共事業を暮らしに役立つ福祉、教育、防災、環境重視へ転換し、中小零細企業の経営と建設労働者の労働条件改善につながる建設産業政策へ転換させ、そして、建設産業に働く者が健康で安全に人間らしく働けるルールの確立が必要である。
 ついては、次の事項について速やかに実現を図られたい。

一、公共工事の契約に当たり建設労働者の賃金、労働条件が持続的に改善できるようにすること。
二、公共工事において、現場労働者に適正な賃金の確保が行われるよう「公共工事における賃金確保法」(公契約法)を制定すること。
三、建設工事現場の労働災害を一掃するため関係法令の強化を行うこと。また、労働安全衛生法の改悪などは行わないこと。
四、建設労働者の労働条件引下げにつながり、中小零細建設企業の経営を圧迫するおそれがある、建設雇用改善法に基づく、実質的な労働者派遣の対象としないよう働き掛けること。
五、建設現場で働くすべての労働者に建設業退職金共済制度に基づく退職金を保障するため、建退共制度の普及徹底、建退共証紙貼付(ちょうふ)の確認、建退共証紙の不正流用などの防止策を講じ、公共工事においては監督検査事項を追加して指導・監督できる発注者の根拠と体制を確立すること。

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