請願

 

第162回国会 請願の要旨

新件番号 26 件名 教育の公平を目指し、父母負担を軽減し、行き届いた教育を進めるための私立高校以下への国庫助成制度の維持と拡充に関する請願
要旨  子供をめぐる状況は、少年事件の続発、不登校・退学者の急増、学級崩壊、学習意欲の低下など、年々深刻さを増しており、教育改革、学校改革が急がれている。そのためには、教育条件の改善と父母負担の公私格差の是正が急務である。日本の公教育は、公立学校と私立学校の両輪によって支えられ、私学は、独自の教育を創造し、教育改革の先陣を担ってきた。しかし、私学を取り巻く環境と条件は、少子化、不況とも重なって、極めて深刻な事態となっている。最大の問題は、学費と教育条件の大きな公私格差である。平成一五年度の愛知県の私立高校の初年度納付金は約六三万円で、公立と比べて五・四倍の開きがある。不況とも重なって、私学を選べない状況が広がり、経済的理由で退学する生徒や授業料の滞納者も急増している。教育条件を見ても、高校では、専任教員一人当たり生徒数が、公立一五・二人に対して、私学は一九・四人と、差は歴然としており、公立では教職員定数法の第六次改善が着実に進行する中で、私学は対応できないのが実態である。取り分け、愛知県では、平成一一年に、私学助成は総額で一五%、高校生一人当たり約五万円もカットされたために、学園財政が逼迫(ひっぱく)し、専任教員増もできず、教育改革にも支障を来している。私学助成の削減、抑制の動きは、どの都道府県でも強まっており、今日ほど、国の支えとリーダーシップが求められているときはない。国では、三位一体改革が打ち出され、地方への財源移譲に伴って、義務教育費の国庫負担とともに、私立高校以下への国庫助成約一千億円が廃止されようとしている。国の助成を土台としてきた都道府県の私学助成は、根底から揺らぎ、極めて深刻な事態となり、地域格差が生じるだけでなく、公私立間の格差はますます拡大し、私学教育全体の衰退を招きかねない。私学を振興させ、「教育の機会均等」「教育の公平」の原則に立ち返って、国民の選択権を保障することは、教育改革の最重要テーマの一つである。
 ついては、二一世紀を担う子供のため、次の事項について実現を図られたい。

一、私立高校以下の国庫助成制度を維持し、拡充すること。
二、授業料など教育費の父母負担を軽減するため、授業料直接助成を実現すること。また、教育費支出に対する課税控除を実施すること。
三、私学が公立と同一水準の教育条件を確保するために、専任教職員増を主に、教育改革の促進を目的とした特別助成を実現し、拡充すること。

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