請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 2391 件名 司法制度改革に関する請願
要旨  二〇〇一年末に、本部長を小泉首相とする司法改革推進本部が発足し、一一の検討会が置かれて司法制度改革について、具体的法案が提出された。政府は、構造改革を推し進める立場から、規制緩和路線に沿ったアメリカの多国籍企業や日本の大企業にとって都合の良い司法制度改革を進めようとしている。しかし、現状の司法は、立法行政追随、大企業擁護、社会的弱者に対する救済制度としての役割を果たしていない。そして、多くのえん罪を生んでいる刑事司法、国際的にも厳しく指摘されている後れた人権状況など数多くの問題がある。司法制度改革は、日本国憲法の理念に基づき、基本的人権の尊重を基本とすべきである。国や地方公共団体、大企業の行為等によって生ずる市民の被害と労働者、市民などへの人権侵害が迅速に救済されるべきである。刑事司法については、治安体制強化でなく人権尊重を基調とした法定手続が遵守される法制度と裁判制度への改革が求められている。そして裁判所が持つ違憲立法審査権を、憲法基本理念を守りいかすために勇気を持って行使する司法が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、労働者・市民の提訴を困難にする弁護士費用の敗訴者負担を行わないこと。
二、「国民が主人公」を司法の分野でも貫いた陪審制を実現すること。裁判員制度の検討には、裁判員の数を裁判官の三倍以上にするなど、陪審制の優れた点をいかすこと。
三、労働裁判の長期化を防ぐため、労働委員会命令取消訴訟の第一審を高裁の管轄とすること。労働裁判に少なくとも労使の代表が参加する参審制度を導入すること。
四、えん罪の温床である代用監獄制度の廃止、検察側手持ち証拠の全面開示など、被疑者の人権を保障した刑事司法を行うこと。
五、今の最高裁を頂点とする官僚裁判官制度を改め、社会経験を積んだ弁護士などから民主的手続を経て裁判官に採用する法曹一元制度を実現すること。
六、最高裁による人事管理、裁判官の自由と人権への監視と抑圧をやめること。弁護士活動に対する国家統制や不当な規制を行わないこと。正確な裁判記録を作成するため、速記官の養成再開を行うこと。

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