請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 2389 件名 証拠開示の公正なルール化に関する請願
要旨  我が国においては、多くの再審事件において、開示された検察官手持ちの未提出証拠が再審開始決定と無罪判決の大きなかぎとなった。あるいは、被告人のアリバイを証明する第三者のメモが検察側によって隠されていた事例もあった。こうした事実は、冤罪(えんざい)を防止し、誤判から無実の人を救済するために証拠開示が不可欠であることを示している。しかし、今もなお、冤罪は後を絶っておらず、再審請求を続けている人たちも多くおり、冤罪ほど長期にわたる人権侵害はない。イギリスやカナダでは誤判事件を教訓に、一九九○年代に証拠開示制度を確立している。国連の国際人権自由権規約委員会も一九九八年一一月、日本政府に対して「法律及び実務において検察官手持ち証拠へ弁護側がアクセスできるよう保障すること」を勧告している。冤罪を防止し、速やかに誤判救済を図るために、我が国においても、通常審、再審請求手続ともに、証拠開示に関するルール整備は急務と言える。一方、司法制度改革審議会の最終意見を受け、政府の司法制度改革推進本部の裁判員制度・刑事検討会において「充実した争点整理のための証拠開示の拡充」が論点の一つとして挙げられ、立法化作業が進められた。

 ついては、冤罪防止・誤判救済のために、今回の司法改革において、次の骨子に基づいて、弁護側の権利として証拠開示の公正で公平なルール化を行われたい。
一、捜査機関は収集したすべての捜査記録・証拠を検察官に送付しなければならないこと。
二、検察官は、送付され、また収集したすべての捜査記録と証拠の目録(証拠リスト)を作成して、起訴後直ちに被告・弁護側に交付しなければならないこと。
三、弁護人・被告人は、検察官に対して、リストに記載されたすべての書類・証拠の閲覧・謄写を請求することができること。
四、検察官が証拠開示請求に応じないときは裁判所に対して証拠開示命令を求めることができ、裁判所は開示請求に対して当事者双方の意見を聴き、速やかに決定しなければならないこと。
五、有罪・無罪の判断に関連する証拠が開示されていないことが判明した場合は、裁判所はその事件の公訴を棄却すること。
六、既に再審請求がなされている事件や、この証拠開示手続導入前の事件で再審請求がなされた場合にも、同様の証拠開示手続を弁護側に保障すること。

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