請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 1671 件名 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願
要旨  我が国の透析患者数は二〇〇二年末で約二三万人となっており、年間約一万人を超える透析患者が増えている。特に近年の特徴は患者の高齢化と糖尿病性腎(じん)症の患者の急増である。一方、透析技術の飛躍的進歩により長期延命が十分可能になり、患者は健常者と変わらない高い生活の質を得ている。日本透析医学会の調査では一〇年以上の透析経験を持つ患者はおよそ五万人を超えている。高齢者や、糖尿病から腎不全になる患者が急速に増える一方で、多数の患者が社会復帰をしており労働とともに社会活動にも参加している。他方で患者の高齢化、長期透析患者の合併症など、日常生活に多くの困難を抱えている患者は増えている。また、糖尿病性腎症を原疾患とする透析患者の場合も視力障害を始め、神経障害などの合併により不自由な日常生活を余儀なくされている。近年の透析患者の実態に見合った、長期入院施設、透析治療が可能な介護・生活施設が不足しており、一五%以上の透析患者が何らかの介護を必要としている。腎臓病患者の実態を踏まえ、腎疾患分野における保健・医療・福祉の総合化、すなわち腎疾患総合対策を早期に確立するよう強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、年齢、障害の種別、程度を問わず、必要なすべての人に介護が保障される制度を確立すること。
二、透析患者の重症化、障害の重複化に伴う要介護透析患者の急増に対応する医療・福祉両面における在宅サービス、施設サービスを早急に拡充すること。
三、通院の困難な在宅の透析患者のために、ホームヘルパーの増員、移送支援など通院介護保障体制を確立すること。
四、糖尿病性腎症の予防対策、腎不全・透析に移行しないための啓発活動を強化すること。
五、看護師、ホームヘルパーなどの医療・福祉従事者不足を早急に解消し、大幅な増員対策を具体的に講じること。
六、臓器移植普及促進のため、都道府県所属の移植コーディネーターの増員と身分保障を確立すること。
七、大規模な災害発生時の透析治療体制を確立すること。

一覧に戻る