請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 1299 件名 すべての子供たちに行き届いた教育を実現し、心通う学校をつくることに関する請願
要旨  不登校・高校中退・いじめ・学級崩壊などとともに、学力の低下や少年事件など、教育の問題は国民的関心となっている。教育基本法で定めている「人格の完成」を目指し、一人一人の子供が心身共に健やかに成長し、確かな学力を保持する教育を実現するためには、教育を取り巻く環境と条件を改善する必要がある。その一つとして、三〇人学級の実現がある。また、高等学校では三割、幼稚園では八割の子供が私学で学んでおり、この子供たちの学校生活を不況が直撃している。二〇〇二年度の「経済的理由での退学調査」(二五県二二八校)によれば、一年間に一九一高校で三五五人が経済的理由によって退学している。これは、一校当たり平均一・五六人に上り、調査を開始した一九九八年度以来最高の退学率になっている。二〇〇二年度までの四年間に全日制高校への進学率は全国平均で〇・五九%も低下しており、正に経済的事情によって全日制高校に進学できない、進学しても途中で退学を余儀なくされる子供たちが急増している。また、二〇〇二年度の私立高校初年度納付金の平均額は、六七四、三九三円と父母の負担の限界を超え、東京や神奈川では八〇万円を大きく超える額となっている。これは、公立高校初年度学費の全国的な基準額(一一七、二五〇円)の六・八倍に上る。しかも、私学の教育条件は、公立高校教員一人当たりの生徒数が一三・八人に対して、一八・八人と劣悪となっている。このような保護者の学費負担の大きさ、教育条件の劣悪さは公教育の一翼を担う私学への公費助成の不十分さによるものである。二〇〇三年度の文部科学省予算では、私立高校以下の経常費助成は二四億円増額され、一、〇〇一億五、〇〇〇万円になるとともに授業料減免事業臨時特別経費の三年間延長が図られた。しかし、子供たちの学ぶ権利を保障し、父母の学費負担を抑えて私学の教育条件改善を図るためには、早急に経常費の二分の一の助成を実現し、父母の学費負担軽減のための助成を抜本的に拡充する必要がある。父母の教育費負担の問題は、子供を安心して生み育てる環境の整備という観点から見ても重要である。日本の経済と社会の未来に深刻な影を落としている少子化問題は、高い教育費父母負担が大きな原因になっている。ところが、政府機関では、私学助成を含む国の補助金制度の見直し、削減が問題にされている。私学への国庫補助廃止、一般財源化は、今日まで私学教育を支えてきた私学助成制度を根本から突き崩し全国私学関係者が積み重ねてきた私学教育の発展、私学からの教育改革推進の努力を水泡に帰すものである。
 ついては、子供の急減期の今こそ、教育条件を改善し一人一人の子供たちに豊かで、行き届いた教育を行うため、次の事項について実現を図られたい。

一、私学助成の国庫補助制度を守り、私学助成を大幅に増額すること。特に経常費二分の一助成を実現し、授業料直接助成、施設助成を実施すること。
二、国の責任で、小・中・高の三〇人以下学級を早期に実現すること。複式学級を解消すること。
三、義務教育費の国庫負担金削減を中止し、制度を充実すること。
四、教育費減税を始め、教育費の父母負担を軽減すること。
五、公立・私立の児童生徒への就学援助、授業料減免制度、奨学金制度を充実すること。
六、希望するすべての子供たちに、高校教育を保障すること。
七、障害児に行き届いた教育を保障するために、障害児学級を増設し障害児学校を新設すること。また、通常学級に在籍する障害児の教育条件を整備すること。
八、行き届いた教育をするために、教職員を増やすこと。
九、学校の施設・設備を改善すること。

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