請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 570 件名 国の訴訟代理人の適正な職務遂行に関する請願
要旨  戦後補償請求等の訴訟に際して、被告(国)を代表する法務大臣から指定された訟務検事は、「補償問題は解決済み」「時効・除斥期間満了」などと主張するだけで原告の主張事実を争わない場合が多いため、裁判所は多くの場合、原告の請求は棄却しても、事実関係については弁論主義の原則に基づいて、原告の主張を全面的に肯定するような事実認定を行っている。しかし、激動し混乱していた第二次大戦当時の事実に関する原告の主張が、すべて真実ということはあり得ないので、裁判所が認定した事実の中には、真実性の疑わしいものが多々あるはずである。にもかかわらず、訟務検事が原告の主張事実を争わないのは、争わなくても敗訴するおそれが少ないからである。ところが、裁判所の判決によって認定された事実は権威あるものとして信用されやすいため、マスコミ報道や世論が「戦後補償問題に対する日本政府の対応は、非情・冷酷である」と政府を非難しがちである。また、学校で使用する教科書も、裁判所の事実認定に依拠して政府を非難する記述が多くなっている。もし訟務検事が原告の主張事実を真剣に争っていれば、裁判所の事実認定は違った内容になり、マスコミ報道や世論の傾向、教科書の記述も違っていたはずである。訟務検事は国を代表する法務大臣の訴訟代理人として訴訟を遂行する立場にあるので、法務省の省益だけでなく、日本の国益を守るべき職責を担っている。にもかかわらず、敗訴さえしなければ裁判所の事実認定はどうなっても構わないという態度で訴訟を遂行しているのは、法務省の省益を守っているだけであって、国益を守るべき職務を怠慢していると言わざるを得ない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、法務大臣は国益を守るため、訟務検事に対して、戦後補償請求等の訴訟の際、原告の主張事実の真否を十分調査した上、真剣に争うよう命じること。

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