請願

 

第159回国会 請願の要旨

新件番号 332 件名 子供の権利最優先の保育・学童保育施策に関する請願
要旨  少子化が進んでいるにもかかわらず保育所入所の要望は高まり続けている。国は「待機児童ゼロ作戦」を言いながら認可保育所はつくらず、定員を超える入所や最低基準を下回る認可外施設の活用、営利企業の参入、幼稚園の預かり保育などで対応しようとしている。さらに規制緩和や財政効率を理由に、公立保育所の統廃合や民営化が推進されたり、最低基準の緩和など保育条件の実質的切下げが進められ、現場に不安と混乱が生じている。幼保一元化や保育所運営費の一般財源化の議論も、子供の育ちより財政問題が優先されている。こうした施策が進めば日本の子育て環境は更に悪化し、子供の育ちが脅かされる。保育所や幼稚園の拡充は、深刻な状況にある少子化に歯止めを掛けるだけでなく、将来を担う子供たちの健やかな育ちを保障するために欠くことのできない国の重要課題である。国や地方自治体が保護者と共に子供を育てる責任を明確に規定している児童福祉法や子供の「最善の利益」を求める子どもの権利条約の理念に基づく保育・学童保育施策の抜本的改善、拡充が必要である。だれもが安心して子供を生み育て、働き続けることができる社会こそ、次の世代に手渡すべき社会である。
 ついては、保育・学童保育施策が、子供の権利保障の視点に立って国と自治体の責任で安定的に行われるよう、次の事項について実現を図られたい。
                                                                        
一、経済効率優先の保育制度改革はやめ、国と自治体の責任を明確にした現行制度を堅持・拡充すること。
 1 保育制度の基準を低下させるような幼保一元化・一体化をしないこと。
 2 保育所の調理室をなくさないこと。
 3 保育所運営費の一般財源化をしないこと。
 4 保育所に直接入所方式、バウチャー制を導入しないこと。
二、認可保育所の新設・増設で、早急に待機児解消を行うこと。待機児解消を理由にした詰め込み保育など、保育の規制緩和はやめること。
三、保育所運営費等を改善し、保育予算を大幅増額すること。
 1 保育料を引き下げ、父母負担を軽減すること。
 2 職員配置・施設などの最低基準を抜本的に改善すること。
四、国と自治体の責任を後退させる公立保育所の民営化、地方独立行政法人化の推進をしないこと。
五、幼稚園予算を大幅増額し、私学助成を拡充すること。
六、学童保育専用の施設(室)と専任指導員が常時複数・常勤で配置できるよう国として最低基準を明確にし、財政措置をすること。
七、無認可保育所の子供たちに対して、市町村が保育の実施義務を果たせるよう、必要な予算措置をすること。
八、過疎地域の子供の保育を保障する特別な対策を採ること。
九、すべての子供たちが健やかに育つよう、十分な予算措置の下で子育て支援策を拡充すること。
十、仕事と子育てが両立できるよう、労働時間短縮を始め労働環境の整備を行うこと。

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