請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 2807 件名 参議院における有事関連三法案の廃案に関する請願
要旨  今、有事関連三法案が参議院で審議中である。日本は憲法の精神を踏まえ、これからも不戦平和の道を歩むのか、それとも有事法制の下で戦争のできる国家へと方向転換をするのか、その重要な鍵(かぎ)を握っているのが良識の府・参議院である。五八年前の沖縄戦は「鉄の暴風」と呼ばれ、本土防衛作戦のため、沖縄県民は「捨て石」とされた。島ごと戦場となった沖縄県内では、かつて「友軍」と呼び信頼していた日本軍が逆に沖縄県民(国民)に刃(やいば)を向ける事象さえ起こった。沖縄戦の貴重な教訓は「戦争になれば軍隊は国民を守らない、守れない」ということである。沖縄戦だけではなく、人類初の広島、長崎の原爆、国内各都市は次々と火の海と化した。他方、日本軍はアジア・太平洋地域で侵略蛮行の罪を犯した。日本は戦争の加害者であり、そして被害者である。惨憺(さんたん)たる敗北から学び、その教訓から生まれたのが現在の日本国憲法である。その前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」し、第九条では戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を掲げ、半世紀余にわたって平和国家として国際社会から認知され、評価され、信頼されてきた。この事実こそ、日本国民の命であり宝である。日本政府と与党は、最も大事なことを忘れ、日本の将来に再び禍根を招きかねない有事法制定に狂奔している。今、政府が全力を尽くさなければならないことは経済、雇用等の問題だと国民は思っている。沖縄県民は、沖縄戦の体験と戦後の米軍による土地の接収を通して、有事法制が、いかなるものか十二分に知り尽くしている。有事法制は、法律の表現や言葉の問題ではなく、戦争になったとき「相手を殺すか、相手に殺されるか」という選択の問題である。政府は有事法制を整備し、超法規的行為を抑えると言うが、過去の戦争の実態からすると、それは困難である。戦争を起こさない平和外交、予防外交、共存外交が最も重要であり、国家経営の基本でなければならない。
 ついては、日本が再び同じ過ちを繰り返すことのないよう、有事関連三法案を廃案にされたい。

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