請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 2474 件名 国民本位の公共事業推進への増員に関する請願
要旨  公共事業の見直しが求められている今日、今後の国土づくりで特に力を入れるべきは、(一)災害に対する安全性の確保(二)自然環境の保護(三)食料や資源の安定供給の確保(四)身近な生活施設の整備の順(平成一三年六月内閣府の世論調査より)となっており、これからの公共事業は、地域と国民生活に密着した暮らしに役立つ福祉、教育、防災、環境保全重視への転換を国民は望んでいる。日本では、毎年のように水害や土砂災害、地震が続発していることから、防災体制の拡充が必要である。さらに、住民からは生活に密着した道路・河川などの整備・維持・管理が強く求められている。こうした期待にこたえるためには、国の責任で業務執行体制の拡充が必要である。一方、公共事業を始めとする行政の私物化、口利きビジネスによる収賄事件、脱税事件など公共事業をめぐる一連の事件は、政官財癒着の利権構造を明らかにし、国民から厳しい糾弾・批判を浴びている。今、建設産業では大手ゼネコンなどによる「半値八掛け二割引」などと言われるほど厳しい下請単価の切下げや、過当競争に名を借りたダンピング「賃金不払」などが社会問題化しており、中小建設業者からは、行政の監督・指導によってこうした問題を改善してほしいと切実な声が寄せられている。こうした情勢を受けて成立した入札契約適正化法の施行に伴い、入札契約管理官・工事施工管理官などのポストが二〇〇二年四月から設置され、建設産業に対する指導・監督機能が一定強化されたが、ポスト数も全国で八四と決して多いとは言えず、また職員の増員は行われていないため十分にその役割が発揮されていない。国土交通省への移行に伴い、地方整備局は本省からの業行政などに関する権限が移譲され、従来にも増して事業は高度化、複雑化している。地方整備局等は増える事業費の一方で職員は減り続け、旧建設省の二〇〇一年度超過勤務実態は、平均で職員一人当たり三二〇・三時間、最高年一、八〇〇時間、女性でも年八〇〇時間で、極めて異常な長時間過密労働となっており、これに起因すると見られる長期病気休暇者や自殺者が後を絶たない。さらに超過勤務予算の削減などに伴うサービス残業も生まれている。このまま増員しなければ深刻な行政サービス低下を招く事態になりかねない。国民の信頼、負託にこたえる国民本位の公共事業の推進、行政サービスを推進していく上でも、公共事業関係職場の労働条件の改善、拡充は必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国土交通省の地方整備局、事務所・出張所、国土地理院、国土技術政策総合研究所、独立行政法人土木研究所・建築研究所の機構拡充及び職員を増員すること。

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