請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 2447 件名 国立大学病院薬剤部の組織体制の充実・強化に関する請願
要旨  近年、病院において医療事故が多発し、特に、薬剤にかかわる事故の割合が大きいことから、病院における薬剤の取扱い、管理の強化を図ることが極めて重要な課題となっている。このため病院薬剤師は、専門性を発揮して薬剤の取扱い、管理、服薬指導業務等の徹底を期すとともに、病院薬剤部の一層の体制整備、強化を図るよう努力している。また、薬事法改正により、医薬品の市販後調査の充実等が行われたが、病院薬剤部、特に国立大学病院薬剤部は市販後調査や新薬開発における臨床試験の実施に関しても重要な役割が求められている。ところが、文部科学省は、昨年四月、国立学校設置法施行規則を改定、これまで国立大学附属病院に薬剤部及び薬剤部長を置くことを規定していた第一八条を削除し、「薬剤、臨床検査、手術又は放射線診療等に関する業務を集中して行うため、部を置く。」と、あたかも薬剤部を廃止し、他の部署と合一することを促進するかのような条文に改変した。薬剤師法では、薬剤師は医師の処方を確認し、疑わしい場合は処方医に疑義照会を行い、処方変更を求める等、薬剤師が医師の監督下ではなく、独立した立場を保つことによって行われるべきことを求めている。そして、病院内において薬剤部は、組織上明確に独立して設置され、薬剤師が医師とは独立した立場で業務を行うこととされてきた。病院における薬剤にかかわる医療事故を防止するには、薬剤師の専門性の一層の活用が重要であると、国の医療安全対策会議等においても指摘されている。薬剤にかかわる医療事故防止体制や薬事法改正による市販後調査体制等を充実させるためには、薬剤師の独立した立場を確立することが必要であり、業務を支える組織体制の強化、すなわち独立した薬剤部の存在が不可欠である。しかし、今回の施行規則の改正によって薬剤部体制を強化することが困難なばかりか現状を維持することも難しい状況に陥りつつある。今回の処置は、単に国立大学病院にとどまらず、全国の病院に大きな影響を与えることは必至であり、日本の医療の安全を危うくするものである。
 ついては、国民の視点に立った良質かつ安全な医療を一層進めるため、次の事項について実現を図られたい。

一、高度で安全な医療の提供を求めている国民の視点に立った国立大学医学部附属病院改革を行うための諸施策を検討すること。
二、国立大学医学部附属病院における医療の安全を確保するための管理体制を確立するための諸施策を検討すること。
三、薬剤に関する独立した部の整備のため、国立学校設置法施行規則を再度検討すること。

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