請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 2302 件名 シベリア抑留者に対する未払賃金の支払に関する請願
要旨  一九四五年八月、日本がポツダム宣言を受諾して無条件降伏した直後、ソ連は六〇余万の旧日本軍人を、シベリアから中央アジアに至る各地に強制連行して、国際法を無視し長くは一〇年以上も過酷な強制労働に従事させた。酷寒・飢餓・医療不足等のため六万数千人が死亡した。九死に一生を得て日本に帰った抑留者は、祖国の復興に一生懸命働き、日本が世界第二の経済大国として復興を遂げた時点で、政府に対して極めて控えめな「抑留中の給養費」と「捕虜の労働賃金は支払わるべし」という実定法並びに国際人道法による補償を求めたが、三〇余年を過ぎた今日もなお解決せず、二一世紀に持ち越された。南方から帰国した捕虜には労働賃金が支払われ、シベリア抑留者に対しては支払われていない。これは明らかな不公平、差別である。捕虜に対する国家補償がなされていないのは世界中で我が国だけである。最近ソ連側の文書で「シベリア抑留は役務賠償」であったことも明確になっている。シベリア抑留問題は、他の戦後処理問題とは異なる。補償ではなく「未払賃金」の支払を要求しているのである。しかもこれは戦時ではなく、明らかに平和が回復した戦後に起きた大規模で重大な人権侵害である。抑留者の平均年齢は八〇歳を過ぎている。領土・平和条約交渉とともに、人権・人道法を遵守する立場で審議し、すべてのシベリア抑留者が真に納得できる措置が可及的速やかに実現することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、シベリア抑留者に対して、南方の連合軍捕虜となった人と同様に、抑留中の労働「未払賃金」を支払う措置を採ること。

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