請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 547 件名 電磁波過敏症についての実態調査等に関する請願
要旨  電磁波の人体への影響について、二〇〇一年六月、世界保健機関(WHO)のがん研究専門機関であるIARC(国際がん研究機関)が家庭で使われる五〇・六〇ヘルツの極低周波電磁波を「ヒトに対して発がん性の可能性あり」と分類した。携帯電話に使われる高周波電磁波も同様にWHOが二〇〇三年〜二〇〇五年を目途に健康影響評価に向けて調査を進めている。こうした中で、日本でも電磁波対策の後れに不安を持つ国民が増えつつあり、全国各地で携帯電話中継基地局建設や送電線・変電所建設をめぐってトラブルが起こっている。その原因は、携帯会社や電力会社が建設前に住民に対して十分な説明をせず強引に建設しようとしていることにある。WHOが極低周波電磁波を「ヒトに対して発がん性の可能性あり」と分類したのは「〇・四マイクロテスラ(四ミリガウス)以上で小児白血病発症リスクが約二倍」という疫学調査に基づいて決定したものである。そのためWHOは各国の政府や産業界に対して「電磁波曝露(ばくろ)低減のための安全で低コストな方法を提供すべき」、個人に対しては「特定の電気器具の使用を最小限にとどめるとか、比較的高い電磁場を出す発生源から距離を離すことで、曝露低減のための選択をすることができる」としている。また送配電線の建設には景観や住民感情を配慮することが求められるとも言及している。高周波電磁波に関しても、英国で二〇〇〇年五月に独立専門家委員会(スチュワート委員会)が、携帯電話の脳への影響を考え「一六歳未満の子供の携帯電話使用抑制と携帯会社の販売自粛」などの勧告をし、英国教育省はその勧告を受けてその趣旨のパンフレットを国内の学校に配布している。また携帯電話の健康影響調査にも乗り出している。さらにドイツを始め幾つかの国では、携帯電話中継基地局について学校や幼稚園など子供のいる施設の近くでは建設を慎重にし、自治体や住民の意見に配慮するようになってきている。送配電線建設の際の「景観や住民感情の配慮」は携帯電話中継基地局建設にもそのまま当てはまる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、電磁波過敏症で体の変調を訴えている人が増えていることに目を向け、外国の先進例を踏まえ、早急に実態調査と治療や対応について真剣に取り組むこと。

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