請願

 

第156回国会 請願の要旨

新件番号 515 件名 千曲川上流ダム(南牧村ダム)建設計画撤回に関する請願
要旨  千曲川上流ダム建設計画が国から示されたのは、昭和三十九年であり、昭和六十年度予算案では実施準備調査費一億円が計上された(昭和六十年四月地域住民の反対運動により撤回)。こうした中、国が現在も千曲川上流ダム建設を計画していることが明らかとなった。千曲川上流ダムが建設されれば、(一)南牧村海ノ口・広瀬及び川上村の一部約二五○戸、JR小海線、国道が水没する。小海線は水没を契機に全線が廃線になりかねない。(二)多目的ダムで飲料水にするので、ダム上流においては、農薬・肥料の使用が規制され、農業生産に決定的な打撃を受ける。八ヶ岳の硫黄岳から流れ出してくる湯川は、強酸性の水で魚も虫も住めない。上流にダムができて水がせき止められれば、千曲川の水全体に対する湯川の水の比率が高くなり、ダム下流においては、強酸性の水を使用する農業・漁業は取り返しのつかない事態となる。(三)ダム上流においては、泰阜ダム・水内ダムの例でも明らかなように、洪水時の河床の急上昇により大洪水が発生する。ダム下流においては、河床の低下により堤防の基礎や橋脚が洗われ、用水の取水口が使われなくなる。また、洪水時におけるゲート操作による異常放流は、鉄砲水となって堤防を決壊させ、水害を発生させる。さらに、本川水量の減少に伴い、洪水時には支川からの多量の流水により対岸が破壊される。(四)ダム湖畔は、地盤が緩んでいるので、豪雨や地震で地滑りを起こし、土砂はダム湖へ流入し、あふれ出る水は下流を直撃する。このように、千曲川上流ダム建設計画は、地域住民にとって正に存亡にかかわる重大問題である。
 ついては、地域住民の不安を解消するため、国は今すぐ千曲川上流ダム建設計画を撤回されたい。

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