請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 751 件名 成人重国籍の容認に関する請願
要旨  世界的なグローバル化の中、母国を離れ、外国で生活する人が増えている。永住には居住国の市民権を保証する国籍が必要になるが、母国にも家族があれば母国籍を放棄することもできない。外国国籍を取得する自国民の重国籍を容認し、国内の長期永住者や国民の配偶者が届け出れば、現在の国籍の放棄を求めることなく国籍取得を認める国も増えている。日本は成人の重国籍を制限し、海外国民や国内住民の市民生活や経済活動の自由を阻んでいる。日本に深い絆(きずな)を持つ人が問題なく日本の国籍を維持又は取得でき、安心して家族と共に暮らせるよう、また、地域社会や国際社会で信用を得て自由に活躍できるように、母国籍放棄を求めず、帰化を緩和し、重国籍を全面的に容認することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、成人重国籍を容認すること。

   理由
 海外移住・定住には、永住権で認められる住民権だけでは市民生活には不十分な場合が多く、参政権や市民権がなければ社会的な発言権や決定権も尊重されない。外国籍のままでは、信用を得て自由に活動し、地域社会や国際社会に貢献することも困難である。職業や営業権、住民活動、不動産売買、入居条件、保険・年金制度に国籍制限があるなど、家族の将来のためにも、居住国の国籍が必要不可欠になってくる。一方、海外永住者には母国にも家族や不動産などがあり、長期的一時帰国や永住帰国の可能性もある。日本国籍を喪失すれば日本旅券では不法入国となり、外国旅券では住民票も作れず、住民生活は困難である。三か月以上の長期滞在には、国民の子用の特別ビザがあるが、外国人登録が必要で、登録証か旅券の携帯・提示義務を課され、違反すれば罰せられる。外国国籍を取得する人は、日本国籍を維持することはできない。出生や婚姻により重国籍になった人も、一定期間内に国籍選択が義務付けられており、国籍放棄の努力を要求される。植民地政策や移民政策などで日本国籍を失っている場合も、必ずしも日本国籍を復活する道がない。両親が外国籍の子供には日本国籍が与えられないため、日本で生まれ、日本の教育を受けて成人しても職業選択の自由がない。一般に帰化の条件が厳しく、日本国籍取得の際にも、現国籍の放棄や、放棄の努力を要求される。欧米先進諸国のほとんどが人道的立場や国益の面から重国籍を認めている。成人の重国籍を制限する日本の国籍法は、人道主義に反し、国際的な現状に即していない。

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