請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 683 件名 川辺川ダムの早期本体着工の実現に関する請願
要旨  川辺川ダムは流域住民の生命、財産を守るとともに、本地域の基幹産業である農業の生産力向上による経営安定化や観光産業などの発展に欠かせないものである。また、計画発表以来三十六年にわたる事業の歴史を真摯(しんし)に受け止め、流域の安全と発展のため、水源地域の五木、相良両村に苦渋の選択を求めた本事業をこれ以上遅滞させることなく、ダム事業に懸ける両村の生活再建を確実に進めることが流域に共通した責務である。
 ついては、川辺川ダムの一日も早い完成のため、早期本体着工の実現と事業の強力な実施を図られたい。

   理由
 川辺川ダム建設事業は、昭和三十八年から三年連続した大水害を機に、球磨川・川辺川流域市町村並びに熊本県の強い要望により計画された事業である。流域住民の尊い生命、財産を守るとともに、地域産業の発展を担う最重要プロジェクトである。現在、道路等の関連工事も残すところわずかとなり、水没地域の新たな生活の場となる代替地への公共施設の建設を始め、水没住民の移転が進められるなど、ダム所在地となる五木、相良両村では新たな村づくりが始まり、流域市町村においてもダム建設を前提とした各種地域づくりが進められている。また、球磨川流域の漁業補償問題については、熊本県収用委員会で審理され、最終的な局面を迎えている。今ここで、地域住民が三十年以上もの間待ち望んできた川辺川ダム建設事業を遅滞させることは、水没地域の閉塞(へいそく)感と流域の発展を大きく阻害する危機感を募らせるものである。水没地区住民の生活再建に重大な支障を来すことはもちろん、毎年のように水禍を被る地域を放置するばかりか、度重なる干ばつによる被害もますます危惧(きぐ)されるなど、流域の将来ビジョンまで喪失することにもなりかねない。このような逼迫(ひっぱく)した地域の実情を理解し、水害の恐怖から解放された安全な生活を実現する川辺川ダムの早期本体着工の実現について、配慮されたい。

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