請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 584 件名 食の安全の抜本的な見直し強化に関する請願
要旨  食の安全・安心は、消費者にとって大きな願いである。しかし、非常に低い確率ながらも、人への感染のおそれがあるBSE(狂牛病)が日本でも発生した。そのうえ、それに端を発して偽装表示が次々と発覚し、何を信じていいのか分からない状態になっている。現在政府は、食の安全確保のための法律や行政組織について検討を始めている。そこでもう一度食の安全を根本から問い直し、食の安全の仕組みづくりと、それを確かなものとする日本の農林水産業の発展を求める。BSEの問題では、一九九六年WHO(世界保健機構)から肉骨粉の使用禁止の勧告が出ていたにもかかわらず、日本では禁止しなかったという失政が明らかになった。加えて食の安全行政が、複数の省庁にまたがり互いの連携や責任のなさも明確になった。食品の安全についての危機意識が欠如しており、国民、消費者の生命と健康の保護を軽視している行政と言わざるを得ない。偽装表示問題についても、罰則が甘く、チェックする検査員も全国でわずか一二〇人しかいないなど、偽装しやすい背景があることも問題である。こうした食をめぐる問題では、過去にはカネミ油症(PCB)森永ドライミルク(ヒ素)などのような大規模な食品公害を起こしてきたが、今もいつ起こってもおかしくない状況がある。六年前の病原性大腸菌O‐一五七の問題では三人の死者を含む九、五〇〇人が被害を受け、昨年も五歳の保育園児が痛ましい犠牲者となった。二年前は雪印乳業の食中毒で一万五千人の患者を出すなど被害も大規模化している。これだけ輸入食品が氾濫(はんらん)し流通規模も広がる中では、一たび問題が起きると大きな被害になりやすい。現在の食をめぐる法律の中心である「食品衛生法」は、戦後すぐの一九四七年に制定されたものである。何度か改定を繰り返しているが、一部改定ではこれからの問題の解決にはつながらない。今大事なのは、国民の健康を最優先し、食の安全を確保するための包括的な法律や行政組織が整備されることである。また、「地産地消」の運動が進むことが、食の安全を守ることにもつながる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、現在の仕組みや法律では食の安全確保は不可能である。縦割り行政を排除し、政府が「国民の健康のために食の安全に責任を持つ」ことを基本に、新しい法律と行政組織の整備を早急にすること。
二、新組織は、リスク管理をする行政組織とリスク評価をする組織を厳密に区別し、独立性を確保し、消費者が必ず参加できるような評価組織にすること。行政には、情報提供や国民の理解を促進する責任を定めること。

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