請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 546 件名 私立大学の充実を図るための経常費二分の一助成の実現と父母・学生の学費負担軽減に関する請願
要旨  私立大学並びに短期大学(以下「私立大学」)への経常費補助は一九七〇年に始まり、一九七五年には私立学校振興助成法の成立と参議院文教委員会の附帯決議によって、経常費二分の一補助の速やかな達成を目指すこととなった。補助の水準は一九八〇年度には経常費の二九・五%まで到達したが、二〇〇〇年度には一二・二%まで低下した。私大経常費補助が低い水準に置かれている理由は、日本の高等教育予算が国際的に見て低額に抑えられていること、またその予算配分が教育・研究基盤の整備・充実ではなく、先端的分野等への重点的予算配分政策への過度の傾斜にあることは明らかである。これによって私立大学の財政は、教育・研究基盤の整備・充実に直結する教育・研究条件の抜本的な拡充が依然として困難な状況となっている。加えて高学費は解消されず、国民の学ぶ権利は十分に保障されないままである。政府は第二次科学技術基本計画に基づき、二〇〇二年度からの五年間で、二四兆円を科学技術振興のために予算化するという閣議決定をしている。日本が文化、科学、技術によって世界に貢献するためには、大学の教育・研究を充実させる基盤的経費への配分をより重視する予算とすることが必要である。そして長引く不況によって深刻な経済的打撃を受け、進学や学業の継続が困難となる学生が急増している現実を解決する施策を早急に実現することや、学費の父母・学生負担を軽減から無償化に向かわせる抜本的な改革を実施することが求められる。しかし、私立大学の充実・発展と学生の学業継続にとって重要な役割を果たしてきた私立学校振興・共済事業団及び日本育英会の二つの特殊法人の統廃合等が、特殊法人改革によって打ち出されている。前者は私立大学への文部科学省のコントロールを強め、後者は国際的に見ても貧弱な日本の奨学金制度を一層後退させるのではないかとの危惧(きぐ)を抱かせる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、高等教育予算を大幅に増額し、総経常費二分の一補助を早期に実現すること。経常費補助は、一般補助の増額を基本とすること。
二、父母・学生の学費負担を軽減し、高等教育の機会を飛躍的に拡大するために以下の施策を実施すること。
 1 新規に次の方策を総合的に実現すること。
   (一) 給費奨学金制度の実現
   (二) 私学教育費減税の実現
   (三) 地方自治体の実施する制度と同旨の学費直接助成の実現
 2 奨学事業への補助制度と日本育英会奨学金制度を、次のとおり改善すること。
   (一) 経済的に修学困難な学生に対して学校法人が行う奨学事業への補助については、予算規模を国立大学における学費全額免除・半額免除制度の水準まで引き上げること。
   (二) 日本育英会奨学金制度の充実
        無利子奨学金は経済的条件のみを選考基準とし、採用数を大幅に増員すること。
        「きぼう二一プラン(有利子)」を希望者全員が受給できる規模に拡大すること。また、利子負担を軽減するため、財政投融資の利子分を一般会計で補給すること。
三、大学財政の透明性を確保するために、学校法人に財政の公開を義務付けること。また、情報公開法に基づく私立大学の財政資料の公開は、小科目・内訳表まで公開すること。
四、私立大学の健全な発展を図るために私立学校振興・共済事業団の統廃合等はしないこと。また、奨学金事業を後退させる日本育英会の廃止統合はしないこと。

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