請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 545 件名 私立大学の教育・研究の改善を図るための総経常費二分の一助成の早期実現と学費負担者の負担軽減に関する請願
要旨  今日、我が国の大学生の八割近くが私立大学並びに短期大学(以下「私立大学」)に学び、卒業生は日本社会の各分野で活躍している。私立大学は、私立学校法に明記されているように、学生のみならず、国民に教育・研究の責任を負っている公的性格を持つ機関である。そしてユネスコ高等教育世界宣言(一九九八年)が指摘するように、二一世紀の社会において高等教育の役割を高め、就学の機会均等を進めるとともに、教育・研究条件を質的に向上させることは人類的課題である。こうした高等教育の性格に即して、国際人権規約は高等教育の無償化をうたっている。しかし、日本の高等教育予算は国際的にも低水準に据え置かれたままである。一九九八年度の国内総生産(GDP)比で見ても、日本は〇・四三%、アメリカは一・〇七%、イギリスは〇・八三%、フランスは一・〇一%、ドイツは〇・九七%、OECD各国平均が一・〇六%であった。我が国の私立大学への経常費助成は、一九七〇年に始まり一九七五年には私立学校振興助成法が成立し、国庫補助になった。あわせて、参議院文教委員会において、経常費二分の一補助の速やかな達成を目指す附帯決議が採択された。私大助成額は一時、経常費の三割近くまで到達したが、一二・二%(二〇〇〇年度)にまで抑制されている。このことが、教育費負担を増大させているばかりか、私大財政を圧迫し、教育・研究条件の改善を困難にしており、学生の学ぶ権利を妨げる要因となっている。加えて長引く不況は、学費負担者の家計に深刻な打撃を与え、進学や学業の継続が困難になる学生が急増している。さらに特殊法人改革によって、私立学校振興・共済事業団及び日本育英会の改組・廃止等が打ち出されている。これは、従来の私学助成制度や奨学金制度の枠組みが大きく変わることになり、私立大学の充実・発展、学生の学業継続にとって、危機的な事態だと言わざるを得ない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、国公・私立大学における予算配分の格差を是正し、国民の教育を受ける権利を等しく保障するために、次の内容で充実・改善を図ること。
 1 政府の高等教育関連予算をGDP(国内総生産)比で欧米先進諸国並みの水準に引き上げること。
 2 「私立大学等経常費補助金」を私立大学の経常費総額の二分の一とすること。
二、日本育英会奨学金制度を縮小することなく、次の内容で充実・改善を図ること。
 1 無利子奨学金の貸与は、その選考基準を経済的条件に限るとともに、受給者枠を拡充すること。
 2 「きぼう二一」を希望者全員が受給できる規模に拡大すること。また無利子化するため財政投融資の利子分を一般会計で補給すること。
 3 給付奨学金制度を創設すること。
三、父母・学生等の教育費負担を軽減する「私学教育費減税」を実施すること。
四、政府は、経済的に修学困難な学生を対象とする私立大学・短期大学の学費減免措置に対して、政府の予算措置を拡充すること。
五、外国人留学生の学習・研究生活を保障するための施策を行うこと。

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