請願

 

第155回国会 請願の要旨

新件番号 75 件名 盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)の廃止に関する請願
要旨  盗聴法(組織的犯罪対策法三法)は、通信の秘密、市民のプライバシーの権利を侵す、憲法違反の法律である。神奈川県警で続発した不祥事の数々は市民のプライバシーにかかわるこの重大な法律を現在の警察が適切に運用することができるのかについて、根本的な疑問を提起している。今後もこの法律が濫用されても、警察組織による自浄能力には全く期待できない。裁判官による令状審査は、令状の発布率が九九・九パーセントを超えている現状では到底権利保障のための歯止めとは言えない。この法律は将来犯罪を犯すおそれのあるときに盗聴できるという事前盗聴の制度を認めており、犯罪捜査の概念を根底から覆すものである。立会人が常時立ち会うとされているが、立会人には被疑事実は知らされず会話内容を聞くこともできないため、関係のない通話を切断する権限もなく、無関係な通話を聴かないようにする歯止めにはならない。また、法律は電話だけでなく、電子メールやファックスなどの盗聴も認めており、この場合には犯罪と関係のない情報もすべて警察の知るところとなることは防ぎようがない。裁判に提出されない通話の当事者には通知もされず、取るべき手段もない。盗聴法と同時に成立した刑事訴訟法改正と組織的犯罪対策法についても重大な問題がある。組織的犯罪の重罰化は市民運動や労働組合運動にも適用される危険性があり、マネーロンダリング規制の強化、疑わしい金融取引の届出義務化によって、様々な団体の活動や金融取引が制約されるおそれがある。また、犯罪収益収受の罪は弁護士の報酬にも適用されるため、刑事事件における弁護活動も困難となる。市民運動や労働組合運動、報道機関の取材や政治家の活動も警察の監視下に置かれることとなり、自由な市民社会が存立できなくなるおそれがある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)を廃止すること。

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