請願

 

第154回国会 請願の要旨

新件番号 4679 件名 介護保険制度の抜本的改善、介護職員の処遇の改善等に関する請願
要旨  高齢化社会を迎える中で介護保険制度が実施されたが、わずかな年金から保険料を徴収することに反発が広がっている上、一割の利用料負担から、実際に利用されているサービスの量は支給限度額の半分にも満たない状況となっている。また、政府は介護保険制度の創設によって新たに二兆円の保険料負担を国民に強いているにもかかわらず、国の負担を半減させている。一方、介護保険の制度化に伴い、サービスを提供する側も深刻な状況にある。在宅ヘルパーは、膨大な仕事量、低い賃金、不十分な研修、おざなりの感染症対策などの問題が露呈し、人材の流出も起きている。施設においては、自治体からの補助金の削減などにより職員の賃金の引下げなどの問題が生じている。ケアマネージャーについても膨大な仕事量から時間外勤務が常態化しており、利用者との相談やケアカンファレンス(サービス担当者会議)も十分に行えず、また、報酬も低く専任が難しい状況にある。さらに、介護報酬の低さが不安定かつ劣悪な労働条件をもたらしており、事業所の経営も圧迫している。このような状況下では専門性に裏付けされた質の高い介護サービスを望むことはできない。認定問題を含めた介護保険制度の抜本的な改善が求められている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、介護保険制度における国の負担割合を増やし、保険料及び利用料を引き下げ、国民が安心して利用できるようにすること。
二、介護報酬を引き上げるとともに、介護職員の賃金及び労働条件の最低基準を設定すること。その際、保険料及び利用料の負担増とならないようにすること。
三、ホームヘルプ事業については、身体介護と家事援助の区別をなくすとともに、介護報酬を引き上げること。また、夜間における勤務については複数体制にすること。
四、ケアマネージャーが利用者の立場で職務に専任できるよう、介護報酬を引き上げるとともに、煩雑な業務を簡素化すること。
五、介護の質を向上させるため、十分な研修と業務内容の検討や意見交換ができる体制を保障すること。
六、感染症対策と介護職員の十分な健康診断を制度化すること。勤務中に発生した事故については、すべてを労働災害として認定すること。

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