請願

 

第154回国会 請願の要旨

新件番号 2511 件名 労働者災害補償保険法における遺族年金支給申請手続の改善等に関する請願
要旨  労働者災害補償保険法による傷病(補償)年金(障害一級〜三級)及び障害(補償)年金の受給者が死亡した場合には、当該被災労働者の死亡原因と業務との因果関係を審査の上、因果関係が認められた場合にのみ、その家族に対し遺族(補償)年金が支給されている。しかし、現行の遺族(補償)年金の給付申請に当たっては、審査認定制度上、医学的に業務上の因果関係とする範囲(所見)及び認定の決定等において問題点がある。また、脊髄(せきずい)損傷者は受傷後(あるいは退院時)に症状が固定したものとして、その多くが傷病(補償)年金の受給者から障害(補償)年金の受給者に切り替えられている。しかし、脊髄損傷による後遺症は運動機能障害、知覚麻痺(まひ)障害等により多発的な併発疾病を断続的に引き起こし、その治療を必要としている。このため、引き続き傷病年金の受給者とするとともに、現行の労働福祉事業におけるアフターケア制度の廃止が求められている。さらに、業務上の因果関係の認定に当たっては、平成五年十月二十八日付けの基発第六一六号「せき髄損傷に併発した疾病の取扱いについて」における疾病の範囲の見直しが求められている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、傷病年金・障害年金受給者が死亡した場合、所轄の労働基準監督署はすべての遺族に対し遺族(補償)年金の支給申請手続について速やかに説明するとともに、因果関係の調査を厳密に遂行し、当該遺族に対しその結果の開示と説明の義務を果たすよう改善すること。
二、当該遺族からの遺族(補償)年金の受給申請について、不支給決定をする場合には、決定の根拠となる医学的所見及び所見をした医師の氏名を含めたすべての情報を開示すること。
三、現行の基発第六一六号における医療的範囲は実態に合わないことから、見直すための専門委員会を設置し、医療・疾病の範囲を再検討すること。
四、現行の「治癒認定」と「症状固定」に区別があることを再認識し、併発疾病についての治療実態に照らし、脊髄損傷の場合については治癒認定を廃止し、現行のアフターケア制度を見直すことにより、必要に応じて治療を受けられる状態に改善すること。
五、現行の遺族年金支給申請制度及び労災認定における審査制度は公平とはいえないことから、第三者による「労災認定審査機関」等を設置すること。

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