請願

 

第153回国会 請願の要旨

新件番号 31 件名 通信傍受法の廃止に関する請願
要旨  犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(盗聴法)は通信の秘密及び市民のプライバシーの権利を侵す憲法違反の法律である。現在の警察が同法を適切に運用することができるかについては、近時、神奈川県警において続発した不祥事により根本的な疑問が生じている。緒方共産党幹部宅盗聴事件に対する警察官の関与について裁判所が認定したにもかかわらず、警察庁はその責任を認めていないことから明らかなとおり、同法が濫用された場合に警察の自浄能力には期待できない。また、裁判官による令状審査についても、令状の発布率が九十九・九%を超えている現状では権利保障のための歯止めとはならない。もともと同法には次のような問題がある。(一)同法は将来犯罪を犯すおそれのあるときに盗聴できる「事前盗聴」の制度を認めているが、これはかつての予防検束と同質の制度であり、犯罪捜査の概念を根底から覆すものである。(二)立会人の常時立会義務が議院修正により付加されたが、立会人には被疑事実は知らされず会話内容を聴くこともできないため、犯罪と関係のない通話を切断する権限もなく、捜査機関が犯罪と無関係な通話を聴かないようにする歯止めにはならない。(三)現在の技術ではデジタル携帯電話を盗聴することは不可能であることが判明している。(四)電子メールやファックスなどの盗聴の場合には犯罪と関係のない情報もすべて警察に知られてしまう。また、裁判に提出されない通話記録については、通話の当事者には通知もされず、取るべき手段もない。なお、同法と同時に成立した組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律及び刑事訴訟法の一部を改正する法律にも、組織的犯罪の重罰化が市民運動等に対しても適用される危険性がある等の重大な問題がある。よって、これらの法律の施行により、市民運動や労働組合運動はもとより報道機関の取材や与党を含む政治家の活動も警察の監視下に置かれることになり、自由な市民社会が存立できなくなるおそれがある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律を廃止すること。

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