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本会議決議

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ワーク・ライフ・バランスの推進に関する決議

平成19年6月13日

参議院本会議

経済のグローバル化が進展するとともに、少子高齢化、価値観の多様化等、社会の成熟化が進む我が国において、持続的な経済成長及び豊かな国民生活を実現するためには、国民一人一人がその意欲、能力を最大限に発揮できるようにすることが必要であり、とりわけ、労働力人口が減少する中、希望するすべての人が就業可能となるような労働環境の整備が喫緊の課題である。

また、雇用者全体に占める非正規雇用者の割合が三割を超えるなど、雇用形態の多様化が急速に進んでいる。非正規雇用者については、正規雇用者との間に賃金を始めとする様々な格差が生じており、その是正を図ることが必要となっている一方、正規雇用者については、長時間労働といった問題を抱えており、正規・非正規を問わず、働き方の見直しが不可欠な状況にある。

このような現状を変えていくためには、労働条件を改善しながら、仕事と生活の調和を図り、豊かさが感じられる充実した生涯を送れるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進していくことが必要である。

ワーク・ライフ・バランスは、個人にとっては、それぞれのライフスタイル及びライフステージに応じた働き方を、企業にとっては、生産性の向上や人材の確保等を可能とするものであり、個人、企業の双方にとって利点があると考えられる。また、家族の絆を深めるとともに、少子高齢化への対応、生涯学習、ボランティア活動及び地域における活動の振興など社会全体としての観点からも、その推進が求められる。

政府及び関係者は、成熟社会における我が国の在り方として、ワーク・ライフ・バランスの推進の必要性を十分認識し、次の施策等の推進に努めるべきである。

一、育児・介護休業制度の一層の普及、子の看護休暇制度の拡充、延長保育、病児保育及び休日保育を含めた保育所等の保育環境の整備並びに放課後児童対策の拡充等、両立支援関連施策の充実を図ること。また、育児等のために離職した者に対する職業訓練の一層の充実を図るなど、その再就職・再就業を支援すること。

二、家庭生活に関する負担が女性に偏っていることが多い現状を改善するため、男性の自覚と協力を促すよう一層の啓発を行うこと。

三、正規雇用と非正規雇用との格差の是正に努めるほか、企業は、正規雇用の採用を拡充するとともに、非正規雇用から正規雇用への登用を積極的に行うよう努めること。

四、いつでも再チャレンジが可能となるよう労働環境の一層の整備を行うとともに、企業は、新卒一括採用方式を見直し、既卒者も採用の対象に加えるほか、中途採用を積極的に行うよう努めること。

五、多様な働き方を提供し、多くの者に雇用の機会を与えるため、短時間正社員、フレックスタイム、在宅勤務等の制度の導入を促進し、キャリアの継続を図ること。また、雇用と年金等社会保障制度との関連に十分配慮すること。

六、いわゆるサービス残業の抜本的な解消を図るとともに、長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得率の向上に努めること。

七、政府は、ワーク・ライフ・バランスを総合的に推進するための体制の整備及び計画の策定に向けて最大限努力し、企業は、ワーク・ライフ・バランスを図りやすい企業文化、職場環境を醸成するとともに、ワーク・ライフ・バランスに関する施策の実施状況を公表すること等により、ワーク・ライフ・バランスの推進に努めること。

右決議する。

(広中和歌子君外八名発議)