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国際問題に関する調査会

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国際問題に関する調査報告(最終報告)(平成10年6月3日)

まえがき

 本調査会は、第百三十三回国会の平成七年八月四日に、国際問題に関し長期的かつ総合的な調査を行うため設置された。
 以来本調査会は、三年間にわたる調査活動のテーマとして設定した「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」の下、参考人からの意見聴取及び質疑、委員の意見表明及び委員間の意見交換、委員派遣等を行い、調査を進めてきた。
 その間、第百三十六回国会の平成八年六月十二日に第一年目の調査結果を、また、第百四十回国会の平成九年六月十一日に第二年目の調査結果を、それぞれ中間報告として取りまとめ、議長に提出した。
 この度、三年間の調査を踏まえ、「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」を次のとおり取りまとめた。
 なお、本報告の取りまとめに入った時期において、インド、パキスタンの核実験にみられる核拡散の動きが生じ、また、インドネシアでは政治・経済の混乱をみた。これらの問題については日程の都合上調査するに至らなかったが、今後とも注視していかなければならない。

目次



アジア太平洋地域の安定と日本の役割

 アジア太平洋地域は、我が国がその一員として緊密な関係を築いてきた地域である。また、同地域は民族、文化、社会・経済体制、発展段階等の多様性を特色としながらも、近年目覚ましい経済発展を遂げ相互依存関係が深まっている。一方、域内諸国の軍事力の拡充・近代化、領有権問題等の不透明・不確実な要素の存在、さらには最近の通貨・金融危機の波及による困難な経済情勢等同地域の安定に向けた課題は山積している。
 本調査会は、三年間にわたる活動のテーマとして設定した「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」の下、アジア太平洋地域の安定に向けた取組に対し、我が国はどのような役割を果たしていくべきかについて、安全保障、経済・経済協力の分野を中心に調査検討を行うこととした。
 アジア太平洋地域では、東西冷戦の終結後、地域の平和と安定を構築するため、諸国間の安全保障対話、信頼醸成の取組が進められ、また、軍縮と軍事同盟との関係を含め新たな安全保障の在り方が模索されている。
 平成七年に本調査会が発足したときには、アジア太平洋地域、とりわけ東アジア地域は「世界の成長センター」と呼ばれ、経済発展を評価され期待を集めていたが、昨年後半以降、通貨・金融危機を契機に厳しい経済情勢にある。他方、同地域の経済の基礎的条件は良好であり、引き続き高い潜在成長力を有していると認識されており、さらに、同地域の経済を安定させていくために、日本経済の活性化、金融システムの改革等が求められている。
 二十一世紀が間近に迫り、相互依存関係が進む中、世界総人口の過半を占めるアジア太平洋地域の安定を確固たるものとしていくことは国際社会の重要課題である。また、我が国が同地域の一員として地域の安定と繁栄に寄与することは、我が国の平和を維持し活力を持続させる上からも緊要な課題である。我が国は、同地域との絆を一段と固くするとともに、日本ならではの寄与の道筋を示し積極的な役割を果たしていかなければならない。
 本調査会はこのような問題意識の下、まず、アジア太平洋地域における安全保障の在り方、多国間による安全保障体制の構築、我が国の安全保障の在り方を軸に調査を進めた。
 また、広く同地域の安定に資する観点から、経済を中心とする分野における協調・協力、人口・食糧・環境・エネルギー等の中長期的な諸課題への対処、人的・知的交流を通じた相互理解の増進等に向けた取組に対して、我が国がどのような役割を果たすべきかについて調査を行った。
 さらに、同地域の経済発展に役割を果たした我が国の政府開発援助(ODA)が大きな転換期を迎えていることにかんがみ、対外経済協力に関する小委員会を設置するなど、二十一世紀に向けた我が国の経済協力の在り方について、国民参加型援助の推進、ODAに対する国会の関与強化等の視点から調査を重ねた。
調査は参考人を招いての意見聴取・質疑等を踏まえ、委員の意見表明、自由討議を中心に行った。これを委員の発言を軸にまとめると、「アジア太平洋地域の安全保障と我が国の対応」「アジア太平洋地域の安定と繁栄のための方途と我が国の対応」及び「二十一世紀に向けた我が国の経済協力の在り方」に集成することができる。
 本調査会としては、本報告において、広範な角度から論議が行われたことを示すとともに、意見の集約を図り三十項目の提言を掲げて、関係各方面の検討に供することとした。

 アジア太平洋地域の安全保障と我が国の対応

本調査会では、アジア太平洋地域の安全保障情勢に対する認識を踏まえ、同地域における安全保障の在り方、我が国の安全保障の在り方等について論議がなされた。

一 アジア太平洋地域の安全保障情勢に対する認識

 アジア太平洋地域では、東西冷戦の終結後も、域内諸国の軍事力の拡充・近代化、領有権問題等の不透明・不確実な要素が存在する一方、日本、米国、中国、ロシアの間で対話を通じて安定した相互関係に向けた努力がなされ、また、朝鮮半島に関する四者会合の開催、東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大等の動きが見られ、さらに、ASEAN地域フォーラム(ARF)等の場で信頼醸成の取組が進められている。
 アジア太平洋地域全般の安全保障情勢と我が国の対応については、委員から、アジア太平洋地域は東西冷戦体制清算の過渡的段階にあり、不安定・不透明な要素が存在しているが、対話、協調の流れが生まれ、日米中ロの交流、動向が中心的問題となりつつあるとの意見、ロシアも視野に入れ、まず日米中トライアングルの関係を構築すべきであるとの意見、アジア地域の持続的発展、相互協力についての大戦略を日米中ロによる多国間フォーラムでつくり、将来は拡大した諸国間で実行していくことが重要であるとの意見が述べられた。
 さらに、アジア太平洋地域の安定について、日本は受け身でなく、国家としての総合政策、理念を明確に持ち、自主的、能動的な姿勢で取り組むべきであるとの意見、日本は自主性がなくどこにでも追随しているが、これを直さない限りアジアの安定に役割を果たそうとしても難しいとの意見、日本は自主性を確立し、憲法の平和原則、被爆国としての立場を貫くことがアジアの安全保障のために重要であるとの意見が表明されたほか、日本国民の意識に自主外交への明確な指針が見られない現状の下では、日本はアジアに関わる安全保障でみだりにイニシアチブをとるべきではないとの意見も示された。
 中国は、外交面では、経済建設に必要な安定的な国際環境を求める全方位外交を展開し、また、軍備の近代化を継続している。委員からは、中国は当面全方位的協調外交を展開しようが、中長期的には、軍事力近代化を始め総合国力を高め、大国として意図する国際秩序を目指すと見られる、中国の動向はアジア太平洋地域の安全保障の最大の問題であるとの意見、中国が国際社会に関与する方向がアジアの安定に寄与する方向に向かうよう我が国として多方面の協力が必要であるとの意見、未来志向で日中の交流、協力関係を推進し、中国の安定的発展、台湾問題の平和的解決を求め、政治改革、民主化、人権問題等にも関心を持って対処するとともに、防衛交流を進め中国の軍備の透明性を図るべきであるとの意見が述べられた。
 朝鮮半島では、軍事的緊張が続く一方、韓国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、米国、中国による四者会合が開催され、また南北対話が再開されたが、進展は見られていない。北朝鮮では、金正日労働党総書記が選出されたが、食糧難等の深刻化、政府高官の亡命等不透明な状況が続いている。委員からは、朝鮮半島では、四者会合、南北対話の不調に見られるように進展は乏しい、北朝鮮の意図は憶測が難しく、体制の行き詰まりや崩壊も視野に入りつつあるのではないかとの意見、北朝鮮の動向を注視し不測の事態に備える体制を整備すべきであるとの意見、北朝鮮の冒険主義を抑制するため節度ある人道援助が必要であるとの意見、北朝鮮が国際社会に対し柔軟姿勢への転換を示すことが重要であり、四者会合に日ロも参加する六者協議を検討すべきではないかとの意見、韓国とは未来志向を目指す健全な両国関係の樹立に努めるべきであるとの意見が表明された。
 極東ロシア軍は核戦力を含む大規模な戦力を蓄積しているが、量的には削減傾向にある。ロシアは中国との「戦略的パートナーシップ」を唱える一方、日米関係についても評価している。委員からは、ロシアはアジアに深く関与しており、相互の安定的発展を求めていくため無視するわけにはいかないとの意見、ロシアは外貨獲得のため、軍事技術や武器を輸出しており、看過できない国として見守っていくべきであるとの意見が示された。
 東南アジア諸国では、経済力の増大を背景に軍備の近代化が進んでいる。他方、ASEANの拡大や東南アジア平和・中立・自由構想の実現を目指す動きが見られ、ARFにおいて信頼醸成の取組が進められている。委員からは、軍事力を世界で一番強化している地域であることから、一抹の懸念が残るとの意見が述べられた。
 米国は、日米安全保障共同宣言の発表、「国防計画の見直し」における十万人程度の前方展開戦力の維持確認等アジア太平洋地域への関与を明確にしている。これについて、委員からは、アジアの現況を見ると、米軍のプレゼンスは必要であるとの意見、前方展開の維持、日米安保体制等の二国間同盟の重視、関与政策による中国の国際社会への参加の促進等米国の戦略に基本的に賛成であるとの意見が述べられ、米国の関与に対する肯定的な捉え方が多かった。一方、米軍の存在と日米安保体制の強化が同地域の最大の脅威であるとの意見も表明された。

二 我が国の安全保障の在り方

 平成七年十一月の「平成八年度以降に係る防衛計画の大綱」の閣議決定、平成八年四月の「日米安全保障共同宣言」の発表、平成九年九月の新たな「日米防衛協力のための指針」の策定等の動きを背景に、日米安保体制の在り方、集団的自衛権の問題を含め、我が国の安全保障の在り方について論議がなされた。

1 我が国の安全保障

 安全保障政策に対する基本的な考え方については、委員から、安全保障を考える場合、狭義の軍事面に限らず食糧、資源問題等も考える総合的安全保障、市民の視点から災害等も含む脅威への対応を考える人間の安全保障、安全保障を共通のものとし信頼醸成等を重視する協調的安全保障が重要であるとの意見、国際紛争を力により封じ込めようとしても限界があり、紛争の背景にある資源問題、貧困等の根本原因を取り除くことが大切であるとの意見、総合的安全保障は重要であるが、同時に、軍事力を無視することはできないとの意見、予防外交をスタートとし、紛争発生の場合における和平への取組、終結後の平和維持活動、復旧・復興への支援を一連の流れとする平和プロセスへの貢献とも言うべき包括的な外交戦略の構築に努めるべきであるとの意見が述べられた。
 我が国の安全保障の在り方について、委員からは、我が国は自ら力の空白となることなく不安定要因とならないとともに、日米安保体制を堅持し我が国独自の外交・防衛努力により安全を確保すべきであるとの意見、日本は日米安保体制の一方の極として、米国、中国、ロシアと協調し地域の平和と安定の推進役となるべきであるとの意見、日本は目に見える軍縮を進め、アジア諸国から見て分かり易い専守防衛の姿を示すことが必要であるとの意見等我が国自らの外交・防衛努力、日米安保体制の堅持を基本とする考え方が多く述べられた。一方、憲法の平和原則にのっとり非核非同盟の日本として努力すべきであるとの意見も示された。
 国連平和維持活動(PKO)への対応については、委員から、日本はPKOに積極的に参加すべきであり、国際平和協力法で凍結されている国連平和維持隊の本体業務について自衛隊の実績を踏まえ、早期に解除すべきであるとの意見、日本はPKOはもとより、国連決議に基づく平和に対する活動に対しても積極的に参加すべきであるとの意見が示された。他方、PKOは軍事力の威嚇機能に依拠することから、日本はPKOには参加せず、全く非軍事的な貢献を行うことが最もよいとの意見も述べられた。

2 日米安保体制

 日米安保体制について、委員からは、日米安保体制は様々な不安定要因が存在するアジア太平洋地域の安全保障の枠組みの根幹をなすものであるとの意見、日本の平和と繁栄が維持できたのは日米安保体制があったからであり、経済摩擦の中でも、日米の友好信頼関係の基盤をなし、専守防衛という日本の防衛の在り方を可能にしているとの意見、日米安保体制はアジアの平和、安定のため力強く機能してきたし、今後もそのような力を発揮させる必要があるとの意見、日米安保体制は狭義の軍事同盟的性格は持ちつつも、自由民主主義体制を広げていく一つのシンボリックな存在として位置付けられる、我が国は日米安保体制を中核とし、その下で積極的な対話の推進を図っていくべきであるとの意見等日米安保体制を是認する考え方が多く示された。他方、日米安保条約の廃棄、米軍基地の撤去がアジア太平洋地域の安全保障のため不可欠の課題であるとの意見も述べられた。
 日米防衛協力のための指針の改定等を背景とする周辺事態への対応については、委員から、周辺事態への対応は日米安保体制の一歩踏み込んだ姿である、日本の平和と安全に重要な影響をもたらすような事態である周辺事態への対応や法制化は国際的な責任、自主的に選ぶ道として踏み出すべきであるとの意見、日本は周辺事態の生起について、総合政策としてこれを防止し抑止する役割があることを認識する必要があるとの意見が表明された。一方、新たな日米防衛協力のための指針は、憲法前文、第九条を蹂躙する自動参戦装置の仕組みであるとの意見も示された。

3 集団的自衛権をめぐる論議

 日米安全保障共同宣言の発表、日米防衛協力のための指針の改定等を背景に集団的自衛権について論議された。
 委員からは、集団的自衛権は自然権であり、国家が当然有するものとの認識に立ち、その行使を認めるべきであるとの意見、集団的自衛権の行使に踏み切ることは日米安保体制、アジアの安定から考えると最終的に必要なことではないか、憲法も見直しを始める時期に来ているとの意見が述べられた。他方、国連憲章第五十一条に基づく集団的自衛権は軍事同盟を前提とし、戦争と武力行使を否定した憲法と相容れないとの意見が表明された。
 また、集団的自衛権の行使を認めると、日本が国益を自主的に決定できないまま、米国の軍事行動に巻き込まれる危険があるとの意見が示されたのに対し、集団的自衛権の行使を認めた場合でも、日本は国益に基づいて行動するのであり、日本が米国の戦争にすべて加わるような安易なものではないとの意見が述べられた。
 集団的自衛権と憲法との関わりについては、委員から、現憲法にも集団的自衛権を行使してはならないとは全く書かれていない、政府解釈を変えることを明確にすればよいとの意見、国家固有の権利である集団的自衛権が憲法第九条により行使できない現実を打破するため憲法を改正することが日本の国益にかなうとの意見が表明された。一方、日米安保体制を更に危険なものにする集団的自衛権や憲法改正には反対であるとの意見も示された。

三 アジア太平洋地域における多国間の安全保障

 アジア太平洋地域では、ARF等において地域の諸国間で安全保障対話、信頼醸成の取組が進められている。
 このような多国間の安全保障への取組について、委員からは、アジアで地域的な集団安全保障が構築されることが理想であるとの意見、ARFを多国間の信頼関係構築の場として積極的に盛り立てるべきであるとの意見、ARF等の場で信頼醸成、予防外交に努めるべきであり、東アジア諸国が国防政策をオープンにしながら「東アジア戦略概観」のようなものを共同して作成する努力を払うべきであるとの意見が示された。一方、将来は集団安全保障体制をつくることが可能であろうが、当面は日米等の二国間条約を中心に、それを多国間の協議システムにより補完していくことがよいとの意見、ARFはあくまで協議の場であり、二国間同盟に代替することはできないとの意見が述べられた。他方、米国はARFを利用した多国間安保協議が二国間の同盟関係を補完するものと位置付けているとの意見も示された。また、日米同盟を軸に緩やかな集団安全保障へ発展していくべきであるとの意見に対し、国連の理想とする集団安全保障は軍事同盟と対立するとの視点から異論も示された。

 以上本調査会におけるアジア太平洋地域の安全保障と我が国の対応をめぐっての論議は広範多岐にわたったが、本調査会は次の提言を行うものである。


 提言一 安全保障政策形成に当たっての多面的な配慮
 東西冷戦の終結後における国際情勢の変化に対応し、安全保障問題を捉える視点が多角化していることにかんがみ、安全保障政策の形成に当たり、安全保障問題を軍事的な面に限定することなく、食糧、資源等の問題をも考慮する総合的安全保障、安全保障を関係国の共通のものと捉え、安全保障対話、信頼醸成等を重視する協調的安全保障、市民の視点から災害、飢餓等も含む脅威への対応、人間の安全確保を考える人間の安全保障に対して配慮することについてより一層努めるべきである。
 提言二 平和の構築への貢献
 紛争、内乱に伴い、国土の荒廃、難民の発生、残存地雷の除去、地雷等の被害者の社会復帰等の多面に及ぶ問題が発生する。これらの問題は、紛争の未然防止のための努力、紛争等の解決に向けた和平への取組、紛争終結に伴う平和維持活動、復旧・復興への支援という一連の平和構築のプロセスと深く関連することになる。このため、国際社会と協調しつつ平和構築のプロセスに向けた包括的な外交方策の樹立に努めるとともに、国連の平和維持活動への対応、復旧・復興への支援、経済・国民生活の安定に向けたODAの活用の連携について検討を深めるべきである。
 提言三 軍縮の促進、兵器移転の透明性の向上
 アジア太平洋地域における平和の構築を推進するため、同地域の非核地帯化構想にも配意しつつ、核軍縮・核廃絶を始め、軍備管理・軍縮の推進に一層努力するとともに、武器輸出三原則を堅持している我が国の特性を発揮し、国連軍備登録制度の実効性を高める運用を進め、兵器移転の透明性の向上、相互の信頼感の醸成を図るべきである。
 提言四 アジア太平洋地域の安全保障に向けた取組の促進
 アジア太平洋地域においては、信頼醸成、紛争の話合いによる平和的解決に向けて、ARF等の場における諸国間の取組が行われている。同地域の安定に向けた諸国間の取組を推進するため、政府、議会、民間団体、研究者等の多層的な協力・交流を一層促進すべきである。
 提言五 北東アジア地域における安全保障に関する対話の促進
 北東アジア地域の信頼醸成、地域の安定に向けた取組を推進するため、日本、米国、中国、ロシア等の政府、議会、民間団体、研究者等の協力・交流を通じて、安全保障に関する対話を促進するよう努めるべきである。また、朝鮮半島の安定・平和統一に資するため、国連や関係国の参加を得た協議の構想について検討を進めるべきである。

アジア太平洋地域の安定と繁栄のための方途と我が国の対応

 本調査会では、アジア太平洋地域の経済情勢に対する認識を踏まえ、経済を中心とする分野における地域協力や、同地域の安定と繁栄に向けた人口・食糧・環境・エネルギー等の諸課題への対処、人的・知的交流を通じた相互理解の増進等の取組に対し、我が国の対応はいかにあるべきかについて論議がなされた。

一 アジア太平洋地域の経済情勢に対する認識

 アジア太平洋地域は近年、日本、米国等から新興工業国・地域を経て、ASEAN諸国、中国等に雁行型に経済発展が波及し、地域全体として高い経済成長を遂げ、貿易・投資を通じて相互依存関係が深まる一方、地域経済圏の形成も進んでいる。他方、昨年後半発生した通貨・金融危機の波及により、アジア経済は困難な状況に陥り、関係国、国際機関の協調により金融支援等が実施され、また、経済構造改革等の取組がなされている。アジア経済は外部依存度が高く、実需の六○倍もの資金流動に揺さぶられ、金融システムの安定化が急務とされている。一方、アジア経済の基調は変わっておらず、金融システムの改革に成功し市場経済が機能すれば成長は元に戻るであろうと見られている。日本経済の動向がアジアの貿易動向を変え、アジア諸国の貿易収支悪化を招いたとの見方もあり、日本経済の回復、構造改革、アジア諸国からの輸入拡大が求められている。
 アジア経済全般については、委員から、脱工業化時代のソフト分野中心の経済開発がアジアの経済発展に結び付いたとの意見、アジア経済が順調に発展していくためには、人口・食糧・環境・エネルギー等の中長期的課題に適切に対応する必要がある、また、国際分業化の促進が大きなポイントになろうとの意見が述べられた。
 昨年来のアジア経済の困難な状況について、委員からは、東アジアの経済危機は、ドル・ペッグ制のマイナス面が顕在化したものであるとの意見、多国間、二国間の協調・協力の取組、経済構造改革等により、アジア経済が安定軌道に回復することが地域の安定にとり重要であるとの意見、米国の意向を反映した国際通貨基金の処方箋は、内需不振、実体経済の回復困難等の厳しい現実をもたらしているとの意見、アジア地域の通貨危機は世界経済の重大な構造変化であり、無秩序な国際投機に対し共同の規制を行う必要があるとの意見が示された。

二 アジア太平洋地域の経済を中心とする分野における地域協力

 アジア太平洋地域では、貿易・投資、経済・技術協力等の各般の分野で、アジア太平洋経済協力(APEC)等の場において域内諸国・地域による地域協力の取組が進められている。
 APECを始めとする地域協力の取組について、委員からは、我が国はAPECを十分活用して、アジア太平洋地域の経済発展を促進し、貿易の拡大に貢献していくべきであるとの意見、アジア太平洋地域の経済成長を制約する問題解決のためにAPECの活用が図られるべきであり、我が国はAPECの安定的発展のため、インフラ整備、技術者・企業家養成等官民の枠を超えた協力体制を構築すべきであるとの意見が述べられた。他方、APECは設立当時の緩やかな協議体から貿易・投資の自由化を目指す機構となっている、日本はアジア太平洋諸国の自主的な発展、日本経済と国民を第一とする自主性を確立すべきであるとの意見も示された。

三 アジア太平洋地域の安定と繁栄に向けた我が国の対応

 アジア太平洋地域が安定的な経済発展を持続していくためには、人口・食糧・環境・エネルギー等の諸課題、さらに、富の格差、貧困、地域間格差、都市化等の諸問題に適切に対処していく必要がある。これらの諸問題についてはAPEC等の場で地域協力の取組が進められるとともに、我が国も積極的な対応を求められている。
 我が国の対応姿勢については、委員から、我が国はアジア太平洋地域の発展により自らの経済発展が保障されることを念頭にリーダーを務めるべきであるとの意見、我が国は経済協力を含めたソフトパワーでの協力、教育、文化を始め非軍事的、人道的分野で大きな役割を果たし得るとの意見、日本は科学技術、環境分野、社会的仕組み、問題対応能力についての発信に努めるべきであるとの意見、我が国はアジア経済の自主的な発展に対し貢献するという視点が重要になっているとの意見が表明された。
 最近のアジア経済の困難な状況に対する我が国の対応について、委員からは、日本は内需主導型の景気回復を図り輸入促進に努め、東アジアの外貨獲得に貢献すべきであるとの意見、過度の短期資金の流動を監視する等金融システムの整備を図るべきであるとの意見が述べられた。また、減税、中小企業への支援等の本格的な政策転換を図り、アジア地域からの輸入拡大の要望に応えるべきであるとの意見も示された。
 貿易・投資を始めとする分野における我が国の役割について、委員からは、経済開発に最も効果がある直接投資の促進、カントリーリスクに対処する上から多数国間投資保証機関への支援を強化すべきであるとの意見、我が国は物づくりの基盤強化、大企業と中小企業の関係見直し等産業構造の見直しの中で、アジアとの分業体制を考えるべきであるとの意見、我が国は環日本海経済圏等地域経済圏の進展を推進すべきであるとの意見が表明されたほか、多国籍企業による野放図な経済活動に対する民主的規制を検討すべきであるとの意見も示された。
 人口・食糧・環境・エネルギー等の諸課題に対する取組については、委員から、環境破壊、貧富の格差の拡大、エネルギー資源の調達等日本は経済成長の制約課題を解決するためリーダーシップをとるべきであるとの意見、天然ガスパイプラインの敷設、国際河川の総合開発等経済社会基盤の整備を図る多国間プロジェクトを進めることは、関係国の相互信頼感を高め、安全保障の増進にも寄与するとの意見が述べられた。
 ソフト面における我が国の役割について、委員からは、アジア太平洋地域の安定と繁栄に向けて、諸国民の相互理解の増進が重要であることから、留学生交流を始め知的・人的交流を一層推進すべきであるとの意見、日本で教育を受けた人々がアジアの指導層になることが重要であり、教育投資との視点から、日本の大学の国際化を一層進め、アジアの将来の指導者研鑽の場を築く努力が必要であるとの意見が表明された。

 以上本調査会においては、アジア太平洋地域の安定と繁栄のための方途と我が国の対応について様々な視点から論議が行われたが、本調査会は次の提言を行うものである。


 提言六 日本経済の活性化とアジア地域の経済発展への協調・協力
 日本経済の活性化は、アジア経済はもとより世界経済の安定に向けた不可欠の課題である。各般の抜本的な改革や適切な経済・雇用政策の展開を通じた日本経済の活性化、さらには、アジア地域との貿易・投資の促進、情報・通信分野を始めとする経済社会基盤の整備、人口・環境・食糧・エネルギー等の中長期的課題への対処、地域格差等の様々な格差の是正等を通じて、アジア地域の安定的な経済発展の持続に資するよう一層努力すべきである。
 提言七 アジア地域の金融・経済問題の克服に対する取組への支援強化
 アジア地域の安定的な経済発展を持続していくため、金融・経済問題の克服に対し二国間・多国間の協調・協力による取組がなされている。我が国は開発途上国の意向を尊重しつつ、これらの取組に対する支援を強化し、金融分野における必要とされる規制・監督の強化、金融システムの健全化・安定化、短期資本の流れの監視・規制についての方策の検討を含む金融・資本市場の透明性の改善に対する支援に一層努めるべきである。
 提言八 エネルギーの安定供給に向けた基盤の整備強化
 アジア太平洋地域では経済発展に伴い、エネルギーの安定供給の重要性が増大している。同地域の経済発展を持続的かつ安定的なものとしていく見地から、関係諸国の主権、地域住民の要望、環境の保全に十分配慮しつつ、パイプラインの敷設による天然ガス等の安定供給、国際河川の総合開発による電力の安定供給のプロジェクトの提唱を検討する等、諸国間の協力に基づくエネルギーの安定供給に向けた基盤の整備強化に努めるべきである。また、太陽光発電、風力発電等のクリーンエネルギーの普及、既存の原子力発電の安全性の確保等、エネルギー源の多角化に向けた協力を強化すべきである。
 提言九 「アジア太平洋大学(仮称)」の創設等人的・知的交流の拡充
 アジア太平洋地域において、多層的多面的な人的・知的交流を推進することは、域内諸国の相互理解を深める重要な手段である。そのため、同地域の抱える諸問題の共同研究、インターネット等を活用した専門教育等を通じて知的交流の拠点となる「アジア太平洋大学(仮称)」の創設を検討すべきである。また、人的交流の推進を図る見地から、青少年層を対象とした国際交流事業を一層拡充するとともに、壮年世代も対象とした人的交流の機会の拡充に努力すべきである。
 提言一〇 留学生受入れ施策の充実
 留学生十万人受入れ計画に対し、近年留学生数が減少し、さらに最近のアジア地域の経済困難に伴い、同地域からの留学生は厳しい環境にある。我が国でアジア太平洋諸国の政治・経済・文化等各界の将来を担う人材の育成が格段の進展を見せていないことは憂うべきことである。我が国への留学を魅力あるものとしていくため、国費留学生制度や私費留学生のための学習奨励費の支給等奨学金制度の充実、英語による講義の拡充、学位取得の円滑化を進めるとともに、受入れ体制の整備、安定した留学生生活基盤の確立が図られるよう関係経費の増額等に格段の努力を払うべきである。このため、ODA予算のより一層の充当を進めるべきである。

二十一世紀に向けた我が国の経済協力の在り方

 本調査会では、長期的視野に立ち対外経済協力の在り方等について調査検討するため、対外経済協力に関する小委員会を設置するなど、二十一世紀に向けた我が国の経済協力の在り方について調査を行った。これは、ODAを中心とする我が国の経済協力がアジア太平洋地域の経済発展に寄与してきたが、世界的な「援助疲れ」の傾向、経済協力開発機構開発援助委員会における「新開発戦略」の策定や、国内では、財政構造改革の推進に関する特別措置法の成立に伴うODA予算の削減、外務大臣の諮問に係る「二十一世紀に向けてのODA改革懇談会」の報告を始めとするODA改革の動き等現在ODAが大きな転換期にあることから調査を行ったものである。

一 ODAの理念

 なぜ援助を行うのかというODAの理念については、委員から、被援助国国民の立場に立ち、人道的立場を重視する援助が重要であるとの意見が示される一方、人道主義は必要であるが、同時に、ODAは外交政策の重要な柱の一つであり、日本の国益、世界の安定に結び付ける援助も大切であるとの意見が述べられた。また、国民のODAへの理解を深め、地球規模問題の解決に寄与する観点から、援助は豊かな国が人類共通の問題に対処するある種の義務的なものであるとの考えを政府開発援助大綱の基本理念に加味すべきであるとの意見が表明された。他方、米国の世界戦略に追随するような援助等を是正し、開発途上国の人間中心の開発、発展の権利、その自助努力への支援を自主的に行うという方向に理念をうたう必要があるとの意見も示された。意見交換を通じて、ODA大綱の運用の透明性の向上を図ること、大綱の見直しを検討することについて共通の認識が形成された。

二 ODAの在り方

 ODAの在り方については、ODAの量の確保と質の向上、援助案件の形成過程、援助実施体制を始め、国民参加型援助の推進、NGOとの連携の強化、国際協力に携わる人材の育成等広範な角度から論議がなされた。
 ODAの量の確保と質の向上については、委員から、ODAは地球市民としての義務かつ責任であることから、先進国として応能負担を行うとの視点について国民の理解を得た上で増大させていくべきであるとの意見、ODA予算の効率的配分と被援助国の安定的な経済発展を阻害している既得権益構造を改革していくべきではないかとの意見が示された。他方、日本の援助は米国の戦略援助に追随するようなもの等がかなり含まれており、人道的援助を中心に抜本的に改革すれば、巨額の予算は要らないのではないかとの意見も述べられた。また、ODAの質的向上を図るとともに、技術協力、政策支援や開発途上国の人材育成が大切であるとの意見が表明された。
 援助案件の形成過程については、委員から、案件発掘に関しては相手国政府、現地の国際機関、NGO等と綿密に協議する体制をつくるべきであるとの意見、プロジェクトの要請内容をつくる技術協力をオープンに行うことにより、援助要請の過程で腐敗の土壌を生まないようにしていくべきであるとの意見が述べられた。
 円借款に関する四省庁体制、技術協力に関する多数省庁の関与という現行の援助実施体制については、委員の意見交換を通じて、縦割り行政の弊害をなくし、政治がリーダーシップを持って実施体制の一元化の方向に努力すべきであるとの認識で一致した。一元化の具体化については、委員から、組織を一元化するかどうかはともかくコントロールタワーとなる組織をつくる必要があるとの意見が述べられた。さらに、援助体制の一元化は外交の一元化と密接に関連し、外交との関係を考えると、外務省の下にあるのが自然であるとの意見に対し、各省庁を束ねて一元化し、効果的な体制をつくっていくには総理府の下に置く形もあり得るとの意見が示された。
 意見交換を通じて、二十一世紀に向けたODAの在り方を示すため、国民参加型援助の推進を強化すべきこと、援助実施体制について一元化の方向で見直しに向けて検討に着手すべきこと等について意見の一致をみた。

三 国会とODAとの関わり

 貴重な税金等を原資とし、国際貢献の重要な柱の一つとなっているODAについて、国会の外交・財政に対する監督機能を発揮するとの視点やODAの透明性の向上を図り、国民の理解・支持・参加を得たものとしていくなどの観点から、国会とODAとの関わりについて論議が展開された。
 国会の関与の強化については、委員から、国会自らが予算、決算審査の充実を図るほか、「ODA委員会」といった常設の審議の場をつくるべきであるとの意見、ODA担当の常設の委員会としては、外交・防衛委員会、決算委員会の中に、小委員会をつくるような形が望ましいとの意見、政府に対し各省庁にまたがるODA予算の全体像が分かるような資料の国会提出、国会に対するODAの実施状況の報告を充実するよう求めるべきであるとの意見が述べられた。意見交換を通じて、今後、恒常的にODAに対する国会の関与を強め、政治のリーダーシップを発揮すべきであるとの方向で共通の認識が形成され、国会審議の更なる充実、ODA大綱の運用改善など現行のシステムを拡充強化していくことについて認識の一致をみた。
国会とODAとの関わりを一層明確化していくため、ODA基本法の制定に進むべきかをめぐって論議がなされた。基本法の立法化について、国会で具体的に踏み込んだ論議をすべき時期に至っているとの共通の認識が形成された上で、委員からは、国会として基本法に基づいて国民にODAの役割を理解してもらう必要がある、外交の機動性、柔軟性を縛るような基本法ではなく、理念法としてODAに対する日本の姿を世界に見せる意義のある基本法の作業を進めるべきであるとの意見、国会の関与を強め、実施体制の一元化を行うためにも基本法の制定が必要であるとの意見、現在基本法をつくるとすれば、基本理念、国会に対する報告等にとどめた「基本法の基本法」「簡潔な基本法」とし、理念、基本原則を明確にするとともに、政府から年次報告の国会提出を求めてODAの透明性を高めることが大切であるとの意見等の基本法の立法化に向けた積極的かつ具体的な意見が述べられた。他方、基本法の必要性については十分理解し得るが、現行システムの拡充強化による国会の関与の強化の方がODA政策全体から見てベターであるとの意見も表明された。
 意見交換を通じて、国会とODAとの関わりを更に明確化していくため、国際開発協力の本旨、国際開発協力の基本原則、国会に対する報告等から成るODA基本法案の骨子を立法化に向けての論議のたたき台として提起することを提言することについて共通の認識が形成された。

 以上本調査会においては、二十一世紀に向けた経済協力の在り方について広範な角度から論議が行われたが、本調査会は次の提言を行うものである。


 提言一一 ODA大綱原則の運用の透明性の向上
 ODA大綱原則の運用状況については、「我が国の政府開発援助」(ODA白書)等に明らかにされているが、不十分な点も否めない。大綱原則の運用の透明性を向上させるため、「ODA大綱原則の運用状況報告」(仮称)を作成し、外交上支障のない範囲で、国会を始め国民に対する情報公開に一層努めるべきである。
 提言一二 ODA大綱の見直し
 ODA大綱は平成四年に閣議決定され、以来五年有余にわたりODA供与の指針となっている。その間、大綱の運用例も積み重ねられ、また、地球環境問題に代表される地球規模問題の更なる深刻化、地雷除去対策の必要性、「新開発戦略」の策定等新たな動きが生じてきている。これらの動向に対応し、大綱の見直しの検討に着手すべきである。
 提言一三 援助基準の多様化
 ODAの対象国・地域の認定や有償協力・無償協力の対象国の考慮においては、一人当たりGNP等の経済的指標が主な基準要素とされている。近年「人間中心の開発」が重視されていること、また、アジア諸国を始め開発途上国は着実な経済発展を遂げているものの、国内的には様々な問題を抱えていること等から、経済的指標のみならず、開発途上国内における地域間格差、就学率、識字率、女性の政治参加の度合等も十分考慮する必要がある。そこで、人間開発指数等にも配意しつつ発展段階をはかるなど、援助対象国・地域の認定等に当たって、援助基準の多様化に努めるべきである。
 提言一四 ODAの量の確保への配意
 ODAは日本の国際貢献の重要な柱の一つであり、かつ国際社会からも高い評価が与えられている。ODA予算の一律一〇%削減が明らかにされた際、開発途上国及び国際機関から示された懸念を真剣に受け止める必要がある。
 ODAの果たす役割の重要性、我が国の寄与に対する国際社会の期待、厳しい経済・財政状況、ODAをめぐる様々な国民世論を勘案し、適正な規模のODA予算が継続して確保されるよう検討すべきである。
 提言一五 ODAの質の向上、人材育成・知的支援の推進と関連体制の整備
 今後ODAを供与するに当たっては限られた予算を効率的に活用していくため、ODAの質をより一層向上していく必要がある。特に、技術協力を用いた人材育成、法制度及び経済・産業政策形成のための知的支援は開発途上国の開発能力の向上及び国造りにとって重要な役割を演じるものである。そこで、相手国政府との緊密な対話及び知的支援のための共同研究を行うとともに、中長期的な視点から、相手国のニーズに的確に対処することが可能となるよう包括的なアプローチを一層促進していくべきである。
 また、ODAの質の向上、とりわけ、人材育成・知的支援を図るためには、援助要員の確保が喫緊の課題であり、官公庁、民間を問わずノウハウを有する人材を確保するための体制整備を図ることが必要である。特に、国際協力事業団(JICA)を通じて行われている専門家の派遣については、関係省庁等からの専門家の派遣の仕組みが硬直的な状況に陥っているのではないかとの指摘がなされていること等にもかんがみ、専門家登録制度や専門家公募制度の本格的導入により、広範な対象の中から適切な人材の確保を早急に進めるべきである。
 提言一六 有償・無償資金協力・技術協力の連携の強化、多国間援助と二国間援助とのバランスへの配意
 我が国は、有償資金協力、無償資金協力及び技術協力の三つの援助手法を相手国の発展段階、要請に応じて組み合わせながら供与してきている。また、二国間援助は直接相手国に「日本の顔が見える援助」という特色を有し、さらに、多国間援助の場における我が国の寄与への期待は大きなものがある。
 有償・無償資金協力・技術協力の連携をより一層強化し、適正かつ効果的なODAの実施に努めるとともに、食糧援助等の人道的立場からの支援、相手国の自助努力を促す効果を期待し得る有償資金協力の活用にも一層配意すべきである。また、我が国のODAの均衡ある発展を目指す視点から、多国間援助と二国間援助の適正なバランスの確保について検討を深めるべきである。
 提言一七 環境ODAの重視と人材の確保
 地球環境の保全は、「地球全体の安全保障」「人類の安全保障」に直接関わる重大な問題である。平成九年国連環境開発特別総会において、我が国が発表した「二十一世紀に向けた環境開発支援構想」に基づき、環境ODAの量的拡充、質的向上に引き続き努めるとともに、援助案件の形成過程において相手国との政策対話等の機会を通じて、環境問題の解決に向けた開発途上国の自発的な取組を促すよう努力すべきである。
 特に、環境ODAの充実における技術協力の重要性にかんがみ、公害防止技術等を有する企業OB等のシルバー人材に対し技術協力参加の機会増大を図るなど、環境分野の人材の確保に努力すべきである。
 提言一八 社会開発分野の重視
 平成七年の「社会開発サミット」では、先進国はODAの二〇%を、開発途上国は国家予算の二〇%をそれぞれ基礎的社会プログラムに配分することを求める「二〇対二〇協定」が採択された。この分野に対する我が国の二国間ODAはこの水準を満たすものとなっているが、「人間中心の開発」が援助におけるキーワードとなっていること、「新開発戦略」が社会開発分野、とりわけ保健・医療・教育分野を中心に数値目標を掲げ、その達成を提案していることから、政府はより一層社会開発分野を重視し、「新開発戦略」が掲げる諸目標の実現に向けて積極的に取り組むべきである。
 提言一九 国別援助方針の充実による国別援助計画の策定と関連体制の整備
 現在二十一か国の被援助国について基本方針、当該国の経済の現状と課題、開発計画、援助実績から成る国別援助方針が策定され、「我が国の政府開発援助の実施状況に関する年次報告」及び「ODA白書」において公表され、他の被援助国については我が国のODAの実績と在り方が「ODA白書」において示されている。
 各国のニーズに的確に対応して援助の方向性を示し、援助政策に関する国民への説明責任を果たすため、政府は主要被援助国に関して、国別援助方針の内容を充実させた国別援助計画を策定・公表するとともに、その他の被援助国に関しても詳細な援助計画を可能な限り策定・公表すべきである。
 また、国別援助計画を充実したものにするため、援助政策・実施機関の現地体制の強化を進めるとともに、国内の政策機関、実施機関において地域的な対応の充実が図られるよう見直しを進めるべきである。
 提言二〇 ODA中期政策の策定の検討
 我が国は五次にわたるODA中期目標を設定し、ODAの量の拡充、質の向上に努めてきた。中期的な政策目標の設定は、例えば今後五年間にわたる我が国のODA政策を明らかにし、国際社会へのメッセージとして我が国のODAについての考えを明らかにするとともに、国民に対する説明責任を果たす観点からも重要性を有している。
 平成九年六月三日に閣議決定された「財政構造改革の推進について」は、ODA予算に関連して「量的目標を伴う新たな中期目標の策定は行わない」としているが、政府は当該閣議決定を尊重しつつ、政策の方向性、ODAの質的向上の具体的な方途、重点的な配分地域・分野等を明らかにする次期中期政策を策定し、必要に応じて見直しを行うことを検討すべきである。
 提言二一 援助実施体制の見直し、現地機関への権限委譲の促進、援助実施要員の確保
 我が国の援助実施体制は、技術協力分野に見られるように多数の省庁に所管が分かれ、また、実施機関も複数存し、ODA全体の一体性・整合性に欠けているとの批判が強い。また、援助に関する意思決定がほとんど国内で行われ、開発途上国の実情を把握している現地の機関を十分活用する体制となっていない。さらに、援助量やきめの細かい援助の必要性の増大に対し実施要員の確保が追いつかない状況が慢性化している。
 適正かつ効果的な援助実施体制を構築するため、一元化の方向で政策機関、実施機関について体制の見直しに向けて検討に着手すべきである。また、相手国の要請に的確迅速に対応する観点から、現地の機関への権限の委譲を一層促進すべきである。さらに、政策機関、実施機関ともに援助実施要員の着実な増員に努めるとともに、相手国の事情に精通した現地専門家の採用を積極的に図るべきである。
 提言二二 援助供与国・国際機関の比較優位性を活かした援助システムの構築
 世界的な「援助疲れ」の傾向の中、限られたODA予算を最大限に活用し、適正かつ効果的な援助を実施していくためには、国際機関を含む各援助供与国等の間で政策協議・協調を緊密に進め、歴史的・文化的な背景が反映される各援助供与国等の地域的・分野的な比較優位性を活かした援助システムが樹立される必要がある。我が国はこのような援助システムの構築に主導的な役割を果たすべきである。
また、このようなシステムの構築に際しては「南南協力」の推進への支援に十分配意すべきである。
 提言二三 国民参加型援助の推進
 ODAの主要な財源が国民からの貴重な税金等であることにかんがみ、ODAの実施に当たっては、国民の理解と支持を得ることが不可欠である。そのためには、納税者である国民が自らODAに参加できる道を拡大していくことが重要である。今後、ODAへの個人、NGO等の参加をより一層促進するなど、国民参加型援助の推進を強化すべきである。また、地方自治体が行う開発援助に対し支援を拡充するとともに、ODAの実施に当たって、地方自治体との連携を強化し、そのノウハウを積極的に活用すべきである。
 提言二四 NGOとの連携の強化
 NGOは草の根レベルで援助活動を行っており、開発途上国の住民の多様なニーズに応え、互いの気持ちが通い合うきめの細かい援助を行うという優れた特色を有している。このようなNGOの活動は、我が国のODAを息の長いかつ幅のあるものにするだけでなく、「顔の見える援助」という点においても重要である。
 そこで現在、ODA全体額の約一%を占めるNGOを通じた援助が、ODA全体額の五%程度を将来的な目標として拡充が図れるよう段階的に努力すべきである。特に、草の根無償資金協力、NGO事業補助金等公的助成制度がNGOの財政にとり重要であることにかんがみ、国の財政事情を斟酌しながら、今後これらの制度を一層拡充するよう努めるべきである。また、NGOの自主性を損なわないように配意しつつ、NGOの人件費等の管理費に対する助成も含め、運用面での改善に努めるとともに、NGO職員を対象にした研修の充実を図るなど人材の育成・確保についても支援を強化すべきである。
さらに、今後政府とNGOとの対等なパートナーとしての関係が発展を遂げるようNGO・外務省定期協議会の拡充、ODA計画の策定・実施・案件の評価及びフォローアップへのNGOの参加をより一層進めるべきである。同時に、NGO活動に対する社会的評価が高まるよう啓発活動を推進すべきである。
 提言二五 援助評価活動の充実
 我が国のODAが効果的かつ効率的に実施されるためには、実施された案件の事後評価及び評価結果のフィードバック体制を確立することが重要である。被援助国の理解を得ながら、国会議員、民間の有識者、NGO、諸外国の専門家等の参加を得て多様な視点からの第三者評価をより一層進めるとともに、評価結果を次年度以降のODA実施計画の策定及び案件の形成に反映させるよう努めるべきである。さらに、評価に当たって、外務省と関係省庁、実施機関との間の連携を強化すべきである。
 提言二六 情報公開及び広報活動の拡充
 ODAに対する国民の理解・支持・参加を得るためには、ODA政策及び実施の過程を透明にするよう努めることが重要である。そのためには、ODAに関する情報を広く国民に公開することが重要であり、国際協力プラザの増設、インターネットのODA情報の充実、広報資料の国民への配布機会の増大を一層図るべきである。また、マスメディアを通じたODA広報の充実、ODAキャラバンの実施を進めるべきである。
 提言二七 開発教育の推進
 国民の理解・支持・参加を得たODAとしていくためには、開発教育を推進することが大切である。そのため、初等教育及び中等教育の学校教育において、開発途上国の現状と開発援助の重要性を理解させる学習活動を積極的に行うとともに、大学や社会教育の場においても開発援助に関する充実した授業科目や公開講座等を開設できるよう努めるべきである。
 また、開発途上国で一定期間開発援助活動に携わった学生に対し、その活動を大学の履修単位として認定する仕組みを検討すべきである。さらに、大学生に政府・援助実施機関が開発援助に関する実務研修を行わせる制度を拡充すべきである。
 提言二八 開発協力に携わる人材の育成・確保・活用、開発協力研究機関の拡充
 効果的効率的なODAを実施するためには、開発途上国に関する総合調査研究の実施及びそれに基づくきめの細かい援助計画の策定・実施が不可欠である。そのためには国別、地域別の専門家を始め開発協力に携わる人材の育成が重要である。我が国では、近年国際開発研究科を設置する大学院が増加するなど、人材育成のための体制は整備されつつあるが、今後とも一層の整備充実が必要である。そこで、各大学院国際開発研究科の連携協力、単位互換制度、開発援助共同講座の拡充等を行うとともに、開発途上国への大学院学生の派遣に対する支援を強化することにより人材育成の充実を図るべきである。また、大学院等で国際開発に関する専門教育・研究を行う専門家の養成に一層努めるべきである。さらに、政府・援助実施機関で援助の実務に携わる者を一定期間学生として受け入れ、開発援助に関する専門教育を行う制度を拡充すべきである。
 また、青年海外協力隊帰国隊員の就職機会の確保により一層努めるとともに、政府・援助実施機関が援助を実施する際に帰国隊員の能力を活用できる仕組みを拡充すべきである。企業OB、シルバー人材等について、技術協力への参加機会の増大を図る等人材の確保・活用に努力すべきである。
 さらに、開発途上国の地域研究、状況分析等開発協力に関連する研究機関のより一層の拡充に努めるべきである。特に、国際開発高等教育機構の研究体制の充実を図る観点から、「国際開発大学」(仮称)構想の推進を含め、同機構の拡充を検討すべきである。
 提言二九 国会のODAに対する恒常的な関与の拡充強化
 ODAは外交政策の重要な柱の一つであり、その原資が国民の貴重な税金等により賄われていること等にかんがみ、国会のODAに対する恒常的な関与が一層強められるべきである。
 国会審議の活性化の前提となるODA関係資料の内容の充実が図られ、議院又は委員会への提出が進められるべきである。特に、ODA予算の全体像が分かる資料が提出されるべきである。さらに、「我が国の政府開発援助の実施状況に関する年次報告」において、特に、国別援助方針の部分を始めとして内容の充実が図られるべきである。
 委員会審査の充実を図るため、[1]例えば、参議院の外交・防衛委員会において、「ODA年次報告」の提出等を受けて外務大臣から説明を聴取し、質疑を行う機会が設けられるなど、ODAに関する調査が一層深められることが適当と考えられる。また、「ODAに関する小委員会」の常設的な設置について検討がなされることや、総予算の委嘱審査の機会において、ODAに関わる予算全体をも視野においた審査がなされることも適当と考えられる。[2]決算委員会における審査において、ODAに関わる決算全体をも視野においた審査がなされることが適当と考えられる。[3]行政監視委員会においても、ODA全般についての調査や「ODA年次報告」等をもとにして調査の機会が設けられることが適当と考えられる。
 議員のODA案件の視察等が進められるべきである。特に、議院の海外派遣において「ODA案件調査班」の定期的な派遣が図られるよう望まれる。また、「ODA案件評価のための調査団」等への国会議員の参加の機会が得られるよう検討されることが適当と考えられる。
 国会議員とNGO等との意見交換が進められるべきである。すなわち、NGOとの非公式定期協議、国際開発協力に関心のあるジャーナリストとの懇談、被援助国及び援助国の大使との懇談の機会が設けられることが望まれる。
 提言三〇 ODA基本法案の骨子の提起
 ODAが転換期を迎えている現在、国会とODAとの関わりを更に明確にしていくため、ODA基本法の立法化に踏み出すことをも念頭に、具体的な論議が深められるべき時期に至っている。論議の過程で改められるべき点が生ずることは当然ながら、基本法案の骨子を提起するとすれば、次のようなものが考えられる。
 ODA基本法案の骨子
 ◎国際開発協力の本旨
  国際開発協力は、人類の共生と連帯の精神に基づき、開発途上地域における飢餓と貧困の問題が克服され、住民に人の尊厳に値する生活が保障されるような支援を行うことにより、国際社会における地域格差の是正を図り、世界の平和と人類の福祉に貢献するとともに、開発途上地域の政府、住民の自助努力を支援することを旨として行われること。
 ◎国際開発協力の基本原則
 国際開発協力は、次に掲げる国際開発協力の基本原則に従い、相手国の要請、経済社会状況、二国間関係等を総合的に判断して行われること。
 〇主権の尊重、自主性等
 〇生活水準が著しく低い開発途上地域に対する特別の配慮
 〇女性及び子供の福祉の向上に対する特別の配慮
 〇国際の平和及び安全の維持の見地からの考慮
 〇軍事的用途への転用の防止
 〇基本的人権、民主化の促進の努力等に対する考慮
 〇環境の保全等のための措置
 〇住民の参加に対する配慮
 〇国際機関等との協力
 ◎国会に対する報告
 政府は、毎年、国会に、国際開発協力の効果に関する評価を含む、国際開発協力に関して講じた施策に関する報告を提出すること。
 ◎国際開発協力を行う団体との連携の強化
 ◎国際開発協力に携わる人材の育成・確保


むすび

 本調査会は、我が国がその一員として緊密な関係を築いてきたアジア太平洋地域の安定と繁栄に寄与することは、我が国の平和を維持し活力を持続させる上からも緊要な課題であるとの問題意識の下、「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」とのテーマを設定し三年間にわたる調査活動を行った。
 本報告に示した提言については、関係各方面において十分な検討の上、諸施策に反映されるよう要望する。
 ここに、調査を終えるに当たり、アジア太平洋地域における平和と安定に向けて、安全保障対話、信頼醸成の取組が一層促進されるべきこと、アジア太平洋地域の安定的な経済発展を持続していくために、協調・協力の仕組みが強固となるよう努力されるべきこと、国民参加型援助の推進、NGOとの連携の強化、援助実施体制の一元化等二十一世紀に向けた経済協力の在り方について検討が深められ具体化されるべきこと、国会のODAに対する関与が恒常的に拡充強化されるべきこと、本調査会が提起したODA基本法案の骨子を論議のたたき台としてODA基本法の立法化が図られるべきことを記して本報告の結びとする。



(参考)活動経過

国際問題に関する調査会

第百三十三回国会
平成七年八月四日 (国際問題に関する調査会を参議院本会議において設置)
調査会長互選及び理事選任
第百三十四回国会
平成七年十月十九日 今期調査会のテーマを「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」に決定した旨の報告
十一月八日 「アジア太平洋地域を中心とする最近の国際情勢」について外務省総合外交政策局長川島裕君から、「アジア太平洋地域を中心とする最近の国際軍事情勢」について防衛庁参事官小池寛治君から、説明聴取、質疑
十二月六日 「APEC大阪会議とアジア太平洋地域の安定」について、外務省経済局長原口幸市君から説明聴取、参考人青山学院大学教授渡辺昭夫君及び東京工業大学教授渡辺利夫君から意見聴取、質疑
第百三十六回国会
平成八年二月七日 「アジア太平洋地域の安定と我が国の防衛の在り方」について防衛庁防衛局長秋山昌廣君から説明聴取、質疑

「アジア太平洋地域における安全保障の在り方」について、参考人帝京大学教授志方俊之君、明治学院大学教授浅井基文君及び京都大学教授中西輝政君から意見聴取、質疑
二月十四日 「北東アジア地域における安全保障の在り方」について、参考人東京国際大学教授前田哲男君、防衛研究所第二研究部第三研究室長茅原郁生君及び防衛研究所第二研究部第一研究室長武貞秀士君から意見聴取、質疑
二月十九日
~二十一日
自衛隊の現状、経済協力及び国際研究交流等に関する実情調査のため、愛知県及び石川県に委員派遣
二月二十八日 「アジア太平洋地域における安全保障の在り方」について委員間の自由討議
四月十五日 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟七カ国駐日大使とASEAN地域の安全保障及び経済問題等について懇談
五月十五日 派遣委員の報告を聴取

「東アジア地域における安全保障の在り方」について、参考人元駐タイ大使岡崎久彦君、青山学院大学教授阪中友久君及び一橋大学教授山内敏弘君から意見聴取、質疑
五月二十二日 「アジア太平洋地域における安全保障の在り方」について、[1]アジア太平洋地域の情勢認識、[2]アジア太平洋地域の平和と安定のための方途、[3]我が国の安全保障の在り方の項目ごとに委員間の自由討議
六月十二日 議長に対し国際問題に関する調査報告書(中間報告)の提出を決定
第百三十六回国会閉会後
平成八年八月二十二日
~九月四日
アジアにおける安全保障及び経済協力等に係る諸問題の調査並びに各国の政治経済事情等の視察のため、調査会長及び理事を中心として、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア及びフィリピンへ議員派遣
第百三十九回国会
平成八年十二月九日 アジアにおける安全保障及び経済協力等について海外派遣議員から概要報告聴取、報告に基づき委員間の自由討議
十二月十六日 「APECマニラ会議とアジア太平洋地域の経済情勢」について外務省経済局長野上義二君から報告聴取、質疑
第百四十回国会
平成九年二月五日 「アジア太平洋地域における安全保障の在り方」について、参考人神戸大学教授五百旗頭真君、法政大学教授鷲見友好君及び東京大学助教授田中明彦君から意見聴取、質疑
二月十二日 「アジア太平洋における経済と経済協力の在り方」について、参考人日本経済新聞アジア部長長谷川潔君、成蹊大学教授廣野良吉君及び慶應義塾大学教授竹中平蔵君から意見聴取、質疑
二月十七日
~十九日
安全保障、経済協力等に関する実情調査のため、沖縄県へ委員派遣
二月二十四日 「アジア太平洋地域における安全保障の在り方」及び「アジア太平洋地域における経済と経済協力の在り方」について委員間の自由討議
三月三日 「アジア太平洋地域の安定と日本への期待」について、参考人タマサート大学準教授プラサート・チチャイワタナポン君及び中京大学教授リム・ホァシン君から意見聴取、質疑
四月七日 沖縄県への派遣委員から報告聴取、報告に基づき委員間の自由討議
四月二十一日 「東アジアの安全保障と米軍のプレゼンス」について、外務省総合外交政策局長川島裕君から説明聴取、参考人野村総合研究所主任研究員森本敏君及び軍事評論家田岡俊次君から意見聴取、質疑
五月七日 「我が国の今後の経済協力」について、外務省経済協力局長畠中篤君から説明聴取、参考人早稲田大学教授西川潤君及び経済団体連合会常務理事藤原勝博君から意見聴取、質疑
五月十九日 「我が国の今後の経済協力」について委員間の自由討議
五月二十一日 「アジア太平洋地域における安全保障」について委員間の自由討議
六月十一日 議長に対し国際問題に関する調査報告書(中間報告)の提出を決定
第百四十回国会閉会後
平成九年七月十四日
~十六日
安全保障等に関する実情調査のため、第一班広島県及び山口県、第二班北海道へ委員派遣
第百四十一回国会
平成九年十月二十二日 対外経済協力に関する小委員会の設置を決定

派遣委員から報告聴取
十月二十九日 「朝鮮半島情勢とアジア太平洋地域の安定」について、参考人慶應義塾大学教授小此木政夫君及び毎日新聞論説委員重村智計君から意見聴取、質疑
十一月五日 「中国情勢とアジア太平洋地域の安定」について、参考人政策研究大学院大学教授高木誠一郎君及び慶應義塾大学教授小島朋之君から意見聴取、質疑
十二月十二日 対外経済協力に関する小委員長板垣正君から小委員会中間報告を聴取
第百四十二回国会
平成十年一月二十九日 対外経済協力に関する小委員会の設置を決定
二月四日 「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」について、参考人大和総研特別顧問宮?勇君及び三井物産総合情報室長寺島実郎君から意見聴取、質疑
二月二十五日 「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」について、参考人専修大学教授岡部達味君及び日本経済新聞論説主幹小島明君から意見聴取、質疑
三月十一日 「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」について委員間で自由討議
四月十五日 対外経済協力に関する小委員長板垣正君から小委員会最終報告を聴取、報告に基づき委員間で自由討議
四月二十日 「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」について委員間で自由討議
六月三日 議長に対し国際問題に関する調査報告書の提出を決定

対外経済協力に関する小委員会

第百四十一回国会
平成九年十月二十七日 「ODAの理念」について小委員間で自由討議
十月三十一日 「ODAの実施体制、政策決定過程等のODAの在り方」について小委員間で自由討議
十一月十日 「ODAの検証と改革の方向」について、外務省経済協力局長大島賢三君から説明聴取、参考人東京大学社会科学研究所助教授中川淳司君から意見聴取、質疑
十一月十七日 「実施現場から見たODAの状況」について、参考人国際協力事業団国際協力専門員杉山隆彦君及び前海外経済協力基金理事山本海徳君から意見聴取、質疑
十一月二十一日 「国会とODAとの関わり」について小委員間で自由討議
十二月一日 「国会とODAとの関わり」について、外務省経済協力局長大島賢三君から説明聴取、参考人上智大学教授村井吉敬君から意見聴取、質疑
十二月五日 「臨時国会における中間取りまとめ」について小委員間で自由討議、調査会長に対し調査報告書(中間報告)の提出を決定
第百四十二回国会
平成十年二月二十七日 「二十一世紀に向けたODAの在り方」について、外務省経済協力局長大島賢三君から説明聴取、参考人読売新聞解説部次長杉下恒夫君から意見聴取、質疑
三月九日 「二十一世紀に向けたODAの在り方」について小委員間で自由討議
三月十六日 「二十一世紀に向けたODAの在り方」について小委員間で自由討議
四月八日 「最終報告に向けた取りまとめ」について小委員間で自由討議、調査会長に対し調査報告書(最終報告)の提出を決定