二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方
近年の我が国経済社会においては、少子・高齢化、経済活動等の国際化、情報化の進展等の変化がみられ、その変化が二十一世紀に向けてより一層加速し、経済及び国民生活に多大な影響を及ぼすことが懸念されている。
こうしたことから、本調査会は、今期の調査項目を「二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方」と決定し、公正で活力がある経済社会と豊かで安心して暮らせる国民生活の実現を目指して、「少子・高齢化」、「情報化」、「国際化」に適切に対応するための経済運営の在り方について調査することとし、政府からの説明聴取、参考人からの意見聴取、海外派遣による現地調査、国内派遣による実情調査、さらには委員の意見表明等の活動を行った。
初年度においては、我が国経済社会の動向と、社会資本整備、社会保障、産業政策・科学技術研究開発、労働政策・人材育成について経済運営の現状と課題を幅広く調査した。二年度目においては、より豊かさを実感できる国民生活の実現に向けて、社会資本整備及び社会保障の在り方を中心に検討し、その基本的方向を明らかにするとともに、特に重要と思われる事項について、社会資本関係で十項目、社会保障関係で十二項目の政策提言を行った。最終年度においては、二年度目に行った政策提言についてフォローアップを行うとともに、特に、今後の国民生活に多大な影響を及ぼしかねない少子・高齢化の進展に対応するため、「子どもを生み育てやすく、生涯を通じて快適に生活できる環境づくり」が喫緊の課題であるとの認識の下に、子育て支援、高齢者支援及び快適な生活環境の形成について調査し、政策提言を行った。
我が国では、世界に例をみないスピードで高齢化が進んでおり、二十一世紀には、かつて経験したことのない超高齢社会を迎え、また、総人口は平成十九年をピークに減少していくものと見通されている。
人口構造は、平均寿命の伸長や少子化によって急激に変化しており、平成三十七年には六十五歳以上の高齢者人口が総人口の二七%を占め、その半数が七十五歳以上の後期高齢者になると予想されている。また、生産年齢人口(十五歳以上六十五歳未満の人口)の総人口に対する割合は、平成二年の七〇%をピークに低下に転じ、平成三十七年には六〇%となり、生産年齢人口に対する高齢者人口の割合は四六%にも及ぶといわれている。さらに、十五歳未満人口の総人口に占める割合は、二〇%以下で過去最低の水準となっており、合計特殊出生率も人口維持に必要とされる二・〇八を下回り、一・四三(平成八年)となっている。このため、総人口は、平成十九年の一億二千七百七十八万人をピークに減少に転じ、半世紀後には約一億人になるものと見通されている。
一方、我が国経済の発展等によって、家族形態などに変化がみられる。
世帯人員は、核家族化の進行や出生率の低下等によって一貫して減少しており、高齢者の単独世帯や夫婦のみ世帯の割合が増加している。また、結婚や出産後も社会で働き続ける女性は増加しており、有配偶女子の就業率は五一・三%(平成九年)となっている。
このような人口構造の変化などは、若年労働力の減少や介護問題を招くなど社会的な課題にもなっている。また、こうした状況は、我が国の経済社会の発展にとって新しい問題を投げかけている。したがって、少子・高齢化社会の進展に応じて、社会保障制度や社会資本整備をはじめとする我が国の経済社会システムの在り方を検討することが国民的課題となっている。
高度情報社会は、国境を越えて開かれた情報通信のネットワークの構築により、文字、音声、画像等の多様な情報が個人、企業等の利用者間を自由に飛び交う社会である。
情報化の進展は、知的生産活動をはじめとする産業全体の生産性の向上をもたらすとともに、新たな産業や新規雇用を創出するものと期待されている。それに加え、就業形態や商取引形態の多様化、医療、教育、行政サービス、さらに、余暇活動、文化・芸術活動等の広範な国民生活に便益をもたらすものと予想される。
活力ある経済社会と豊かな国民生活を実現するため、高度情報社会の構築に向けて、情報化を着実に推進していく必要があるが、我が国の情報化への対応は米国等に比べ後れも指摘されている。このため、情報通信基盤整備、研究開発、人材育成等を積極的に図っていくとともに、情報通信技術の進歩を産業や消費者の需要サイドに普及させ、国民生活を豊かなものにしていく必要がある。その際には、利用者保護を図るとともに、高齢者や障害者をはじめとして、誰もが情報化の便益を安心して享受できるよう配慮していくことが求められる。
世界貿易機関(WTO)創設による自由貿易体制の強化や情報通信の高度化、金融の自由化等に伴い、人、製品、資金、情報等が、地球的規模で動くようになっている。また、米国経済の持続的な拡大、アジア等新興経済諸国の発展等を背景にして、世界的に市場経済が広まっている。この結果、企業の経済活動はボーダーレス化し、世界各国が経済発展を競う「大競争時代」が到来している。
我が国でも経済活動の国際化が進展しており、我が国企業による海外生産の活発化、新興経済諸国からの輸入の増加等がみられる。特に、海外生産の活発化は、海外の低廉・豊富な労働力、安価な原材料、低い法人税率等を背景とするものであり、とりわけ自動車、電気機械の両業種では、海外投資額の国内投資額に対する比率が六割前後に達している。
このように、我が国企業は最適な事業環境を求めて積極的な国際展開を進めており、産業の空洞化が生じている。この結果、雇用機会の喪失、ひいては経済活力の低下が懸念されるなど深刻な影響をもたらしており、新規産業の創出、国際競争力の強化等を図ることが必要である。
また、世界的に金融の国際化が進展しているが、我が国の金融市場における取引高の伸び悩み等の立ち後れもみられる。このため、我が国の金融市場が国際的に十分通用するものとなるよう、預金者や中小金融機関にも配慮し、金融制度を改革していく必要がある。
さらに、経済活動の国際化に伴い、世界的に経済が発展していること等を背景として、地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨の広域化、熱帯林の減少など原因や被害が一国にとどまらない地球環境問題が深刻になっている。このため、我が国としても積極的な対応策を講ずるとともに、諸外国と共同して対処していくことが必要である。
近年の景気の動向をみると、平成三年二月から約三年間続いた深刻な景気後退の後、回復感のないまま、九年度以降、再び経済情勢は厳しくなっている。
このような長期にわたる経済の停滞の原因は、バブル期の過剰な設備のストック調整、バブル崩壊の影響に伴う土地関連の設備投資の落ち込みや個人消費の停滞、さらには構造面からくる金融システムに対する不安や貸し渋り等である。
そこで構造面をみると、国際面では競争の激化により、我が国の産業・雇用の空洞化、経済摩擦等の問題が生じている一方で、国内では、バブルの崩壊による金融機関等の不良債権の増大や新規産業の展開の遅れ、失業率の高まり等の問題が生じている等、我が国経済は厳しい内外情勢に直面している。
こうしたなかで、景気を回復し、持続的な経済の成長を維持していくためには、規制緩和により民間活力を有効に引き出すことも必要になる。その際には、個人の判断に基づく自己責任が大きくなると予想されることから、情報公開の推進、消費者保護の徹底など、セイフティネットの整備を含む新しい時代にふさわしい公的部門の役割を再構築する必要がある。
また、経済を活性化するため、産業政策においては、国際競争力を有する高度の付加価値をもった製品を生み出す新規事業の育成が必要であるとともに、海外に生産拠点を移す動きがみられるなど、企業が国を選ぶ時代においては、国際的に魅力ある事業環境の整備が必要である。なお、今日の企業活動においては、温室効果ガスの削減や資源の浪費をなくすための循環型社会の構築等、環境面に対する配慮も不可欠である。
一方、金融政策の面では、長期の景気停滞の要因ともなっている金融システムに対する不安を解消するための施策が必要である。まず、金融機関の不良債権の処理と経営の徹底した合理化及び国際的に通用する水準の経営情報の開示が求められる。また、預金者保護に万全を期すとともに、自己責任原則を金融市場に浸透させ、自由で公正な金融システムを早急に確立させることが必要である。
我が国の財政は、景気の長期停滞によって、税収が伸び悩むとともに、巨額の財政赤字を抱え、極めて厳しい状況にある。平成十年度予算の公債依存度は二〇%に達しており、平成九年度末の国の公債残高は、対GDP比五〇%の約二百五十五兆円に達すると見込まれている。このため、現在、政府は財政再建に必要な財政構造改革に取り組んでいるところである。地方財政もかつてなく厳しい状況におかれている。
一方で、少子・高齢社会への対応のための社会保障給付費、住宅等生活関連社会資本整備や情報化に対応した社会資本整備、また、国際社会への貢献のための政府開発援助(ODA)など、経済社会の変化に伴う新たな需要の増大が見込まれている。
このため、今後の財政運営に当たっては、財政の健全化を図りながら、経済社会の変化に適切に対応していくことが求められており、官民の役割分担の明確化、施策の重点化・効率化等が必要である。さらに、経済活動の国際化、少子・高齢化等の経済社会の変化に適した税制を検討する等、今後の構造変化に対応した施策を講じていく必要がある。
我が国の財政は、厳しい状況となっている。しかし、公共投資によって整備される社会資本は、年々積み重ねられる国民共有のストック(資産)として、我が国経済・社会の発展や安定、国民生活の安全や豊かさを支える基盤となるものである。
社会資本整備のために投資された規模(年間)を公的固定資本形成額の推移でみると、昭和三十年度で二兆四千二百十億円(平成二年基準)であったものが、平成八年度には四十一兆四千七十億円(同)となり、昭和三十年度の十七倍程度の伸びを示しており、GDPの伸び(十倍程度)をしのぐ高い伸びとなっている。
このように、公的固定資本形成額が高い伸びを示し、ストックとしての社会資本が着実に整備されているにもかかわらず、国民生活の視点からみると、経済力に見合った豊かさが実感できていないという不満も多い。その一因として、生活関連の社会資本整備の立ち後れが指摘されている。
政府も「公共投資基本計画」を策定し、公共投資の総額を十三年間で六百三十兆円程度とすることとし、公共投資額のうち、生活環境・福祉・文化機能に係るものの割合を六〇%台前半に増加させることとしている(昭和五十六年度から平成二年度は五〇%台前半)。
二十一世紀に向けて急速に進展すると予想される少子・高齢化に対応して、生活の基盤となる地域全体が、高齢者や障害者、子どもたちにとって、安全にかつ安心して暮らせ、社会参加ができるよう、快適な生活環境を整備するためには、良質な住宅ストックの形成、都市型公園、歩行者に配慮した生活道路等の生活に密接に関連のある施設の充実、保健医療・福祉施設や保育所といった福祉インフラの整備、憩いと安らぎを与える豊かな自然環境の確保が一層重要となる。
一方、近年、諸外国との間において、人、物、情報等の交流が飛躍的に拡大し、相互関係が深まっていることから、国際的な視野に立った交通・情報通信基盤の整備を図っていく必要がある。特に、高度情報化社会の構築に向けて、光ファイバー網、通信衛星等の高度情報通信基盤の整備により、大量な情報の交流と通信コストの低減を図っていく必要がある。
現下の厳しい財政状況において、社会資本整備を進めるに当たっては、無駄をなくし、効果的、効率的な公共投資を行うことが求められている。しかし、最近の当初予算における公共投資の省庁別・事業別の比率は硬直化している。経済社会の変化に伴う国民的な課題や社会資本整備の進展の度合いによって、重点的に公共投資を行うべき分野が変化するのは当然のことである。そのため、経済社会の変化に応じて、公共投資の配分を見直していくほか、「時のアセスメント」等の個別事業の必要性の再評価を行うとともに、国と地方の役割の明確化、民間事業者の活用、費用便益分析の手法の確立、公共事業のコスト低減等、公共投資の効率性や政策効果を高めていくことが必要である。
なお、社会資本整備にあたっては、環境アセスメントの実施などによる環境の保全についての配慮が不可欠である。
高度成長期においては、国民所得が飛躍的に増大したこと等から、社会保障制度は、経済社会の変化によって生じる多様な国民のニーズに対応して、その給付水準や給付内容の見直しが行われる等、制度の充実が図られてきた。
しかしながら、近年の我が国経済は、かつてのような高い成長を期待できないと見込まれていることから、社会保障制度が経済成長の成果を享受する形で、その給付を拡大することは困難な状況にある。
平成十年度における社会保障関係費(生活保護費、社会福祉費、社会保険費、保健衛生対策費及び失業対策費)をみると、前年に比べて二千九百二十九億円増(対前年度比二・〇%増)の十四兆八千四百三十一億円となっており、一般歳出の三三・三%を占めている。これを部門別にみると、医療関係が六兆八千六百三十二億円、年金関係が四兆二千四百五十五億円、福祉関係が二兆六千二百七十二億円である。今後、人口構造の高齢化が進展することによって、国の一般歳出の三分の一を占めている社会保障関係費は、更に増加していくことが見込まれており、厳しい財政状況の下において、制度を安定的かつ公平で効率的にするための努力が必要とされている。同時に、年金・医療等の社会保障の制度改革は、これまでも進められてきたが、二十一世紀に向けた我が国経済社会の変化に対応することができるよう、国民的な合意を得つつ今後も柔軟に制度の改善を図っていくことが必要である。
また、産業構造の変化や産業の空洞化の下で、経済の規制緩和や財政及び経済の構造改革が推進されようとしているなかで、構造改革に対するセイフティネットとしての社会保障の役割も大きくなっている。
社会保障制度の充実は、医療や福祉サービスなどの分野で新たな産業と雇用機会をつくり出すとともに、高齢者や障害者などの働きやすい環境の整備を通じて、将来不足すると見込まれている労働力の確保にも寄与すると同時に、雇用機会の拡大と社会保障給付の水準の向上が、消費者の購買力の増大をもたらし、消費の拡大に資するという側面もある。
このように、社会保障と経済は密接に関連していることから、経済政策と社会政策が相互にバランスを取りながら、改革を推進していく必要がある。そのため、増大する高齢者や障害者に対する介護サービスや福祉サービス、あるいは今後の本格的な高齢社会を支えていく子どものための保育等の児童福祉や、仕事と育児の両立を可能とするような、女性の生き方の選択の幅を拡大するための育児支援に重点をおいた施策の展開が必要である。
我が国はかつてのような高い経済成長を期待できないと見込まれている。また、経済のグローバル化やメガコンペティション(大競争時代)により、産業の空洞化が生じてきており、新規産業の創出など産業構造の転換が迫られている。このような状況の下で、我が国経済が今後とも安定した成長を遂げ、雇用の安定・拡大を図るためには、産業の高度化によって、国際競争力を有する高付加価値の製品を生み出したり、従来と異なる新分野への事業展開を図ることが不可欠である。こうしたことから、専門的知識や技能、技術、企画・開発能力や応用能力を有する高度で多様な人材や情報通信の高度化に対応した職業能力を有する人材、また情報化の進展によるボーダーレス社会の到来に対応できる人材を育成していくことが喫緊の課題となっている。このため、高度な職業訓練の実施体制を整備するとともに、自己啓発など個人主導による職業能力開発に対する支援を拡充強化する必要がある。
一方、こうした経済情勢や産業構造の変化に加えて、労働力人口の減少や年齢別人口構成の変化等雇用を取り巻く環境は変化してきており、年功序列や終身雇用を中心とするいわゆる日本的雇用慣行は少しずつ崩れ始め、能力主義の進展や雇用の流動化が徐々に進んできている。
また、雇用環境の整備の遅れが指摘されている高齢者や女性が、参加しやすく働きやすい雇用環境をどのように整備していくかという視点をもあわせて、施策を進めていく必要がある。
こうした経済社会の変化に適切かつ的確に対応するため、労働力需給のギャップの調整、雇用の確保、雇用創出のための環境整備、円滑な労働移動等を実現するための施策の充実が課題である。特に、労働力人口の減少に対応する観点からも、働く意思と能力を持つ女性や高齢者が、労働市場に参入しやすくなるような環境整備の重要性は高まっており、生涯現役社会、男女共同参画社会へ柔軟にシフトしていくことが求められる。また、新たな雇用機会の創出は、新規産業の育成等に大きく関わるものであり、労働政策だけで容易に解決できるものではないため、経済政策や産業政策と一体化・総合化した施策の展開が必要である。
社会保障制度は、本来、公的なシステムとしてのセイフティネットとしての機能を有するものであるが、公的なシステムとしてセイフティネットが構築されることによって、有効需要を創出するという役割を果たし、その結果として経済の発展にも寄与するとされるものである。
したがって、人口構造の高齢化、家族形態の変化等経済社会の構造変化や経済の規制緩和の推進、産業の空洞化等による雇用不安などから、セイフティネットとしての社会保障制度に対する国民のニーズはますます高まってきている今日においては、社会保障制度の拡充による有効需要の創出効果が期待できる。
特に、今後の少子・高齢化の急速な進展に対応して、長寿リスクや子育て不安に対するリスクを保障するために、保育の充実や新たな公的システムとしての介護サービスの提供が求められる。こうしたサービスの提供は、家族による扶養機能が一部外部化し、従来子育てや介護にかかりきりだった家族、特に女性の労働力が市場に供給され、あるいは勤労者は就労を継続できることにもなり、経済への好影響が期待できる。また、こうしたサービスが提供されることによって、潜在需要が顕在化すると予想されることから、関連産業が規模を拡大するとともに、新規参入も期待できることから、雇用の創出効果も大きいものと考えられる。
このため、今後の経済運営に当たっては、保育や介護需要の増大と社会保障制度の持つ経済的な波及効果に着目していく必要がある。
ちなみに、福祉部門が公共事業と同様、あるいはそれ以上の経済波及効果を持つとする産業連関分析による試算もある。また、福祉の充実が雇用の創出や消費の拡大などの経済効果をもたらし、地域の活性化に寄与している自治体もある。
近年の急速な少子・高齢化がこのまま推移すれば、社会保障に係る負担の一層の増加、介護需要の急速かつ大幅な増加等、将来の我が国の社会保障の在り方に深刻な影響を与えることが懸念される。
しかし、社会保障に係る負担は給付に結びつくものであり、便益と合わせて評価されるべきである。また、少子・高齢化の進展に伴い、社会全体の負担は、公私でどのように分担するかにかかわらず、全体として増えていくことは避けられない。したがって、必要な社会的費用をどのように負担するか、すなわち自助・共助・公助の適切な組み合わせによって、いかに公平・公正で効率的なシステムを構築していくかが問題である。このため、給付と負担の在り方について広範な国民的論議を深め、十分なコンセンサスを得ることが重要である。
同時に、社会保障が所得の再分配機能を有することから、給付を受ける側から給付費用を負担する側に回れるような施策が効果的である。このためには、個々の高齢者の身体的・精神的・経済的・社会的状況や多様な価値観に応じて、高齢者が社会参加できるようなシステムを構築する必要がある。また、子育て費用の軽減や子どもを生み育てやすくするための環境づくりは本格的高齢社会を支える者に対する社会的投資とも考えられる。
一方、公共投資等によって整備される社会資本は、年々積み重ねられる国民共有のストック(資産)として、経済社会の変化に十分対応できるよう適切に整備されるならば、我が国経済社会の発展や安定、国民生活の安全や豊かさを支える基盤となり、中長期にわたり、着実にその効果を発揮するものと考えられる。しかし、世界第二位の経済力を有していながら、その経済力に見合った豊かさが実感できていないという不満も多く、その一因として、生活関連の社会資本整備の立ち後れが指摘されている。量的な問題や地域間格差の問題も残されているが、これに加えて、いわゆる「質」の問題、すなわち「ゆとり」、「潤い」、「快適さ」といった面への配慮が十分ではなく、特に高齢者や障害者、子どもが安全で安心して地域社会で暮らすための住宅や生活道路、あるいは交通、都市施設などの生活環境の整備が後れていることは否めない。
したがって、二十一世紀に向けて一層加速すると予想されている少子・高齢化に対応して、仮に高齢期に身体が不自由になっても、尊厳をもって自立した生活を送ることができるよう、生活環境上のバリアを除去することが重要な課題である。これはすべての人が安心して豊かに生活できる生活環境であり、普遍的な価値の創造といえるものである。
今後の社会保障、社会資本整備にあたっては、公私の役割分担を明らかにした上で、必要な財源を適正かつ公平に確保すると同時に、限られた資源を重点的に配分し、より効果的・効率的な政策を実施していくことが喫緊の課題となっている。このため、長期的視点に立ち、経済社会の変化に応じて、社会資本整備、社会保障それぞれの特徴や機能を踏まえ、その相互の連携も含めて適宜適切に対処していくことが重要である。
財政が厳しいなかで社会資本整備、社会保障のいずれにおいても、より効果的・効率的な施策の実施が求められている。また、二十一世紀に向けて人、あるいは生活者に視点をおいた施策の展開が求められており、社会資本整備に福祉的配慮が必要となる。こうした時代の要請から、社会資本整備と社会保障がより緊密に連携することによって、その政策効果が一層高まることが期待される。今後の本格的な高齢社会に備えて、福祉的な配慮がなされた住宅や生活環境が整備され、高齢者や障害者が可能な限り住み慣れた地域社会で安心して自立した生活を送ることを可能にすることは、社会保障負担の軽減にもつながると考えられる。また一方、社会保障の充実によって、在宅介護サービス等の自立した生活を送るためのサービス基盤の整備が図られると同時に、社会資本整備の便益を積極的に活用できる体制を整備する必要がある。例えば、医療の情報化を進めるための情報通信基盤の社会資本が整備されても、それを活かせる社会保障側の体制が整備されなければ実際には活用できない。
長寿化は、古来人類の夢であった。また、子どもは宝とされ子育ては夫婦の喜びであり、次代を担う子どもは未来への希望である。しかし、長寿がリスクとなり、同時に子育てが不安となって少子化が進行している。このことは、少子・高齢化に対応できないシステムに問題があることを示している。また、快適な生活環境形成のための生活関連の社会資本整備が十分でなく、豊かさが実感できないでいる。
このため、二十一世紀の我が国の経済社会が、公正で活力を維持し、国民が豊かで安心して暮らせるために、子どもを生み育てやすく、生涯を通じて快適に生活できる環境づくりが喫緊の課題となっている。
近年、女性の社会参加、就労意欲が高まっており、共働き世帯が増加している。他方、核家族化により家族機能が低下する等家族をめぐる状況が大きく変わるなかで、子育て不安が増加している。このため、働く女性が安心して子育てが出来る環境を整え、育児と仕事の両立を支援していくことが、男女勤労者が共に、生涯を通じて充実した職業生活を送るために解決していかなければならない課題となっている。また、子育てにかかる経済的負担も大きい。夫婦が共に充実した日常生活を送りながら、子どもを生む、生まないを実質的にも選択でき、子育てに喜びをみいだし、生まれた子が幸せであるような環境の整備が必要である。
このような環境整備や支援体制が必ずしも十分でないことが、夫婦が子どもを欲しいだけ生めないでいる等少子化を進める要因の一つとなっていると考えられる。特に、就業している女性の出生率は、無職の女性の出生率を大きく下回っている。
子どもは私的な存在ばかりでなく、次代の社会の担い手であるという意味で社会的な存在である。したがって、子育てを私的な責任としてばかりとらえるのでなく、公的な支援はもちろん、企業等も社会的な役割を果たし、育児と仕事の両立支援等社会のあらゆる分野における子育て支援を総合的計画的に遂行することにより、子どもを生み育てやすい環境づくりを進める必要がある。
総理府の世論調査によると、「男は仕事、女は家庭」という考え方に同感しない者は、男女ともに増加している。また女性が働くことについては、「子どもができてもずっと職業を続ける方がよい」とする者も男女とも増加している。このように、女性が働くことについての意欲や理解には高まりがみられる。
しかし、女性の労働力率をグラフに描いてみると、二十~二十四歳層と四十五~四十九歳層を左右のピークとし、三十~三十四歳層をボトムとするM字型曲線を描いている。このいわゆるM字カーブは上方にシフトしつつあるが、三十~三十四歳層がボトムであることに変化はない。この年齢層がボトムになっているのは、主に出産・育児による就業の中断によるものと考えられる。また、育児を「女性が働き続けるのを困難にしたり障害になること」の理由に挙げる者が二十~五十九歳までの女性の約四分の三に達しており、育児が女性の働き続けることを難しくする最大の理由となっている。さらに、二十五~三十四歳の女性のうち、離職理由に育児を挙げる者が約三割に上っている。このように、働く女性にとって、育児と仕事の両立は困難な状況にあり、その支援が喫緊の課題である。
こうした状況に対応し、出産した勤労者が、その後の子育てのため離職しないで、仕事を継続できるようにするため、平成四年四月からすべての勤労者が育児休業をとれるよう、法的な整備がなされた。この育児休業制度は、勤労者の申し出により、子一人につき一回、父母のどちらかが、子が一歳になるまで連続して、その養育のため休業できるものである。また、休業期間中は、育児休業給付として休業前の賃金の二五%が保障されるとともに、健康保険料や厚生年金保険料の本人負担分が免除される。
しかし、平成八年度の労働省の調査によると、育児休業を取得した者の大半が女性であり、男性は一%に満たず、出産をした女性勤労者のうち、育児休業を取得した者は半数にとどいていない。また、その取得した休業期間も、一年近く取得する者は取得者の三割程度で、約四割は六か月未満となっており、育児休業制度が十分に活用されているとは必ずしも言えない。平成八年の厚生省の調査によると、育児休業を取得しなかった理由として、「職場の雰囲気や仕事の状況」、「経済的なこと」、「仕事に早く復帰したかった」が主なものとして挙げられており、育児休業を取得しやすい職場環境の整備に努めるとともに、育児休業給付の増額等休業中の経済的支援の充実が求められる。また、育児に男性も参加すべきとの観点から、父母の同時取得、交互取得やそのための取得単位の多様化など、休業制度の弾力化を図るとともに、今後の取得状況等制度利用の進捗状況をみて、休業期間の延長も検討する必要がある。
また、育児休業を取得しない勤労者に対しては、事業主が勤務時間の短縮や時差出勤、フレックスタイム制などの勤務時間の弾力化を図り、就労しつつ子どもを養育することを容易にする措置をとることが義務づけられている。さらに、小学校就学前の子を養育する勤労者に対しては、これと同様の措置をとることが努力義務とされており、その実効性を確保することが求められる。
一方、育児休業を取得しない勤労者や育児休業終了後職場に復帰する勤労者にとって、育児と仕事の両立を図るためには、保育サービスによる支援が不可欠である。昨年の児童福祉法の改正により、保護者が希望する保育所を選択できるようになった。このため、多様な保育サービスを提供できる保育所の確保が必要であり、政府は、エンゼルプランの確実な実施によって、その充実を図ることとしている。しかし、現状では、低年齢児(〇~二歳)保育では待機児童がいるなど、保育ニーズに的確に対応できていない。また、育児休業制度と保育サービスとの連携を図る観点から、年度途中でも保育所に入所できることにはなっているが、現実には十分な対応がなされておらず、育児休業期間終了後に保育サービスを受けられない期間が生じかねないといった問題がある。このため、低年齢児保育の充実や年度途中に入所できる体制を一層促進する必要がある。
また、保護者の就業時間や緊急・短期的なニーズを考慮した早朝保育・延長保育の充実、休日保育、一時的保育等の充実が求められる。なお、市町村は、保育所に関する情報ばかりでなく、ベビーシッターや保育ママも含めた保育サービスに関する情報提供を充実する必要がある。
さらに、小学校就学児童の放課後の保育ニーズも強いことから、いわゆる学童保育についてもその充実を進める必要がある。現在学童保育所は三年生までをその対象にする所が圧倒的に多く、高学年児もその対象にする等、質の向上にも努める必要がある。
なお、育児と仕事の両立支援に関しては、企業の果たす役割も重要である。両立支援は、女性労働力の定着を促し、また、結果的に将来不足すると予想される労働力の確保にもつながると見通されることから、こうした認識の下に、子育て中の勤労者が働きやすい環境づくりに努めることが望まれる。このため、事業主に対し各種奨励金の支給等支援措置がとられているが、こうした支援措置の充実についても検討する必要がある。
また、子育てのために離職した勤労者が容易に再就職することが可能となるよう、情報提供や職業能力開発などの支援が必要である。
厚生省の調査によると、生む予定の子ども数は理想の子ども数より少なくなっている。その要因の一つに子育てに係る経済的負担が挙げられている。
実際、子どもが成人するまでの子育てに要する費用は、約二千万円と試算されている(平成八年版厚生白書)。また、特に多額の費用を要するとされる教育費を民間調査でみると、学校教育費や補助教育費(学習塾、家庭教師等に要する費用)は、仮に幼稚園から大学までのすべてが国公立であった場合は一千九十三万円、すべてが私立であった場合は一千九百十四万円、高等学校と大学が私立であった場合は一千四百三十二万円である(三和銀行調べ)。
このように子育てに係る経済的負担は大きい。子どもは次世代の社会を担う社会的な存在であり、子どもを社会全体で育てていくという観点に立ち、有子家庭と無子家庭との間に過度な不公平が生じることがないよう、子育てに要する経済的負担の軽減を図ることが求められる。
子育てに係る経済的負担軽減策の主な内容をみると、まず、児童手当は、第一・二子には月額五千円、第三子以降には一万円が支給されている。この支給期間は三歳未満となっており、平成七年度においては、支給児童数は約二百二十二万人である(特例給付の支給児童数を含む)。
また、税制に関して、扶養控除がある。所得税の控除額は一般の扶養親族が三十八万円、特定扶養親族(年齢十六歳以上二十三歳未満)が五十八万円となっており、住民税の控除額は一般の扶養親族が三十三万円、特定扶養親族(年齢十六歳以上二十三歳未満)が四十三万円となっている。
さらに、育英奨学事業について、日本育英会を例にとると、奨学金は大学の場合、貸与人員は約五十万人、貸与月額は自宅通学の場合、国公立が四万円、私立が四万九千円、また自宅外通学の場合、国公立が四万六千円、私立が五万九千円となっている(平成九年度 文部省調べ)。
そのほか、出産時においては、被用者として仕事に従事している女性に対しては、健康保険制度から出産育児一時金として三十万円、また出産休業期間については、出産手当金として標準報酬の六割が支給されている。
これら各制度の目的等も踏まえ、その適切な組み合わせ等によって、子育てに係る経済的な負担の軽減策を充実させていくことが重要である。
人生八十年時代を迎え、国民のライフスタイルや意識は大きく変化してきている。
活力ある二十一世紀の経済社会を構築するためには、多年にわたって社会に貢献してきた高齢者が、長期化している高齢期を不安なく、自立し、生きがいを持って豊かに過ごすことのできる生涯現役社会を実現することが望まれる。また、高齢者が尊厳を持って人生を全うできるよう、社会の介護機能を強化するとともに、家族の介護と仕事の両立を図ることが重要な課題となっている。
我が国の高齢者の多くは、健康である限り自らの能力を生かして就業その他の社会活動に参加することを希望している。
こうした希望に応え、高齢期においても十分にその能力を発揮できるよう、就業等の環境を整備することは、本人の生活や生きがい・健康面、ひいては国民経済の面においても好ましいことである。
特に、高齢者の就業環境を整備することは、若年人口の減少が予想されるなかで、我が国経済社会の活力の維持と安定的な経済成長を達成していくための人材の有効活用という面からも、また、社会保障制度を支える現役世代と給付を受ける引退世代とのバランスを図るという面からも重要な意味を持つものである。
このため、労働意欲も高く、また多様な生活実態にある高齢者を、一定の年齢で排除するのは不合理であり、社会的な損失でもある。したがって、本人の意欲と能力に応じて、可能な限り就業その他の社会活動への参加が可能になる生涯現役社会の実現が望まれる。
しかし、高齢者の雇用情勢をみると、極めて厳しい状況にある。
六十~六十四歳の有効求人倍率は年々悪化してきており、平成八年度平均では〇・〇八となっている。一方定年制は、平成十年四月から六十歳定年制が義務化され、六十五歳までの継続雇用が努力義務とされた。また、六十五歳までの継続雇用を普及させるため、この努力義務とあわせて、継続雇用に関する計画の作成指示、変更勧告、適正実施勧告が法定されるとともに、継続雇用制度導入奨励金などの各種の助成制度や高年齢雇用継続給付制度の創設によって、高齢者の雇用継続に対する支援が行われている。
しかし、勤務延長制度や再雇用制度を有し、希望者全員が六十五歳、あるいはそれ以上まで継続して雇用される制度を有する企業(六十五歳以上の定年制を有する企業を含む)は、平成九年一月現在、二一・六%とまだ少ない。
したがって、六十五歳定年制の実現に向けて、現在努力義務となっている六十五歳までの継続雇用制度を義務化するための環境づくりが肝要である。
また、六十五歳までの継続雇用を可能にするためには、高齢者がその能力を十分発揮できるような就労環境の整備が必要であり、高齢者の身体機能を考慮に入れた労働条件の整備、あるいは職場内の安全性の確保や作業負担の軽減など高齢者が可能な限り長期に就労できるような職場づくりが不可欠である。
同時に、高齢者の多様な就業ニーズに対し、これに応えるための就業機会の確保や就労環境の整備が求められる。
高齢者が希望する仕事の内容は多様であるが、実際に高齢者が就業できる仕事の内容は限られている。また、六十から六十四歳層の男子の不就業者のうち、就業を希望する者の希望勤務形態をみると、「普通勤務」、「短時間勤務」、「近所や会社などに頼まれたりして、任意に行う仕事」を希望するなど、高齢期における希望勤務形態は多様化している。このため、事務系の職種を拡大するとともに、フルタイムの普通勤務のほか、ワークシェアリングにより短時間勤務や短期間勤務など、多様な就業機会を用意する必要がある。
一方、職業生活から引退した者が、地域社会において豊かな自立した生活を確保するためには、経済生活の安定と高齢者が生きがいを持てるよう、それまで培ってきた知識、経験、技術等の能力を発揮できる機会を確保する必要がある。
また、経済的な基盤の中心的な役割を果たすのは公的年金制度である。
年金財政は、受給者数の増加、受給期間の長期化が進む一方、少子化の進展で保険料を負担する現役世代が減少していくのは確実で、厳しい状況が続くことが予想される。しかし、年金は高齢期の生活の主柱である。このため、年金財政の長期的安定を図るとともに、現役世代に過度の負担を強いることとならないよう、年金世代の所得や資産の保有状況なども視野に入れ、現役世代の生活水準との均衡にも考慮して、適正な給付と公平な負担の在り方について検討する必要がある。また、年金の支給開始年齢は、平成十三年度から二十五年度にかけて段階的に引き上げられることになっている。しかし、今日の高齢者雇用の情勢は極めて厳しく、特に六十歳代前半の雇用を確保することが懸案となっている。高齢期の生活の安定を図るためにも、職業生活からの引退が円滑に行われるよう、定年年齢と年金の支給開始年齢が一致することが求められる。
このため、年金の支給開始年齢の段階的な引上げに応じて、これと連携が取れた定年年齢の実現を図っていく必要がある。
したがって、今後の高齢者の雇用情勢が、六十五歳まで現役として働くことが困難な状況にある場合は、年金の支給開始年齢の段階的な引上げについても、その実施時期や移行のための期間を再検討する必要がある。
また、職業生活から引退した高齢者が、その貴重な時間を孤独や無為に過ごすことなく、生きがいを持って充実した生活を送るためには、高齢者がスポーツ・生涯学習・ボランティアなど各種の地域活動にも主体的に参加し、社会から疎外されることなく自立した市民として活動することが重要である。このため、できるだけ自宅の近くで気楽に立ち寄れる活動の場の確保、様々な活動の内容や役割を調整するコーディネーターの養成と地域における有用な活動情報の提供の一体化が必要である。
他方、生きがいのある生活を送るためには、若い時期からの健康の維持・管理が極めて重要であるが、同時に高齢期における健康の維持・管理は、若い時期の生活や健康状態を踏まえてなされる必要がある。
しかし、老人保健サービスは市町村が実施し、少年期、青年期及び壮年期の健康管理は学校や職場が実施している。このため、少年期等に行われた保健サービスの内容が高齢期の保健サービスに必ずしも生かされていないのが実情である。長期化した高齢期を健康に過ごすためには、人生の各段階における健康状態に基づいた健康管理が重要であり、各種の保健サービスのデータが活用されれば貴重な資料になると思われる。このため、人生の各段階で実施される保健サービスの内容が高齢期の健康管理に生かされるよう、各種保健医療機関のデータも含めて一元的に管理されるシステムを構築する必要がある。
また、ケアが必要な者の生活の質を向上させるには、日常生活における自立のレベルを引き上げることが不可欠である。このため、仮に介護が必要になった場合でも、早期に自宅での日常生活が可能となるよう、地域に密着したリハビリテーションの実施体制を強化する必要がある。
なお、壮年期や高齢期からの対策にとどまらず、習慣や嗜好が身につく幼少期や若年期からの健康づくりも重要である。
長寿命化に伴い、高齢者人口は急速に増加し、寝たきりや痴呆といった介護を必要とする高齢者は平成十二年に二百八十万人、三十七年には五百二十万人に達するものと見込まれている。また、実際に寝たきりとなった場合の寝たきり期間は長く、三年以上が五三・〇%、一年以上三年未満が二一・二%となっており、全体の約四分の三は一年以上である。
このように、寝たきり期間の長期化と家庭の介護力の低下がみられるなかで、世帯員の誰かが要介護状態になった場合の家族の考えについてみると、なるべく在宅で介護を行いたいとする者が約八割を占めている。また、六十五歳以上の者で介護を受けたい場所として、家庭を望んでいる者の割合は四割強で最も多い。こうしたことから、政府も、新ゴールドプランによって、在宅介護サービス基盤の整備を推進している。
一方、就労と介護との関係をみると、介護について在宅指向が強い反面、家庭の介護力が弱いことから、要介護者がいる場合の家族の就業率は、いない場合の就業率より低く、三十・四十代の女性と五十代の男性において、この傾向が顕著に現れている。このように介護と仕事の両立が困難な状況にあることが伺える。
このため、介護と仕事の両立が可能となるよう、介護休業に関する法的な整備がなされ、平成十一年四月から介護休業制度の導入が企業に義務づけられることになった。その内容は、勤労者の申し出により連続する三月の期間を限度として、常時介護を要する家族一人につき一回の介護休業を取得することができるとするものである。また、平成十一年三月までは努力義務期間となっており、企業に対して介護休業制度を早期に普及させるための奨励金の交付等の助成事業が行われている。なお、今国会で雇用保険法の改正が行われ、平成十一年四月から介護休業取得者は休業開始前賃金の二五%の介護休業給付が支給されることとなった。
介護休業制度に関しては、義務化後の利用状況を踏まえ、介護休業期間の延長、取得回数の増など取得方法の弾力化、介護休業給付の増額について検討する必要がある。また介護休業期間中の健康保険及び厚生年金保険の被保険者本人負担分の免除等経済的支援を講じる必要がある。
また、介護のために、いったん離職した者が容易に再就職することが可能となるよう、情報の提供や職業能力開発などの支援が必要である。
一方、介護と仕事を両立させるためには、介護休業制度とあわせて、介護サービスの充実が喫緊の課題となっている。
このため、加齢に伴い要介護状態となった場合には、高齢者の選択によって、在宅あるいは施設で必要な介護サービスを受けられる公的介護保険制度が平成十二年度から実施されることとなった。
公的介護保険制度が実施されることによって、これまでやむを得ず家族で担われていた介護が、新たな需要となって顕在化してくるものと考えられる。このため、新ゴールドプランに基づく基盤の整備ではサービスの供給量に不足や地域間格差が生じる可能性がある。こうしたことから、在宅・施設サービス基盤を一層充実していくことが求められる。また、民間活力の導入やNPO法人の活用を図る必要がある。同時に、入所型の施設経営を前提とした社会福祉法人の設立要件を緩和することも必要である。また、要介護認定に関しては、公平・公正な判定指針の設定、申請の簡素化、迅速な認定のための体制づくり、不服審査体制の充実が必要である。なお、公的介護保険制度の実施に際しては、年金収入のみの高齢者等が負担可能な保険料や利用料となるような特段の配慮が必要である。
少子・高齢社会にあって、豊かな国民生活を実現するためには、安心して子育てができ、のびのびと子どもが育つことができるよう、また、高齢者が長年住み慣れた地域で、尊厳をもって自立した生活が可能となるよう、安全で快適な住環境の整備、地域コミュニティの形成を含めた魅力的な福祉のまちづくり、日常生活上のあらゆるバリアの除去などが重要視される必要がある。
国民が豊かさを実感できるような生活環境を形成していくためには、まず国民の重要な生活基盤である住宅が子どもを生み育てやすく、高齢者が安全に安心して住み続けられるものでなければならない。
我が国における住宅は、量的な整備はととのってきたものの、特に大都市圏で「高・遠・狭」といわれるように、依然として質が十分とはいえない。このため、少子・高齢社会に対応できるよう、居住水準が高く、可変性に富み、耐用年数が長い良質な住宅を整備する必要がある。良質な住宅は、病気の予防、健康の維持、介護の容易さにつながるものである。
理想の数の子どもを持てない要因の一つに住宅事情の悪さが挙げられている。子どもを生み、安心して育てるには子どもの数や家族数に応じた広さと室数のある住宅が必要であり、居住水準の向上が求められる。
また、高齢者や障害者が尊厳をもって可能な限り住み慣れた地域社会で、自立した生活を確保できるようにすることが重要な課題となっている。このため、新たに建設される住宅の設計や、既存の住宅のリフォームに当たっては、家庭内での事故が起こりにくく、一定の身体機能の低下があった場合においても、そのまま安全で快適に住み続けることが可能となるような仕様にすることが基本となる。具体的には、段差がなく、手すりの設置が可能であること、玄関、浴室、居間、高齢者等の寝室等が、できる限り同一階に配置されていること、浴室、トイレは、できる限り介助可能な広さを確保すること等である。こうしたことは、介護の労力の節減にも寄与するものであり、社会的な介護費用の節減に資するという点からも望まれる。
このように、今後の住宅は耐久性に富み、長期化した人生の各段階におけるニーズに応えられるよう可変性を持たせることが重要である。すなわち、躯体は耐久性が高く、リフォームが容易で間取りや設備が可変性に富んだ住宅をストックとして充実させる必要がある。
住宅とともに安全で快適な生活環境を形成することは、その投資が子孫に引き継がれ、健康や福祉、文化のためのストックとして人々の暮らしの基盤となるものである。
公園は、子どもにとっては遊び場として、また、高齢者にとっては憩いやスポーツ等を楽しむ場として、多様な役割を果たす基幹的な公共施設である。我が国は公園の整備が量・質ともに遅れていることから、引き続き量的・質的な面での整備水準を向上させることが求められる。特に、アクセス路や園内の設備のバリアフリー化等、子どもや高齢者などが利用しやすいように整備することが必要である。
また、生活道路は、通学・通園・通院・買い物等で、日常最もよく利用する施設である。子どもや高齢者が事故の危険がなく安全に通行することが可能となるような整備が求められる。このため、各地で通過交通を排し、歩行者を優先しつつ居住者の自動車走行と共存するいわゆるコミュニティ道路の整備が始まっているが、こうしたコミュニティ道路への改造等質的な面の向上が必要である。
さらに、図書館・公民館・集会所等の文化施設は、地域の人とのふれあいの場あるいは生涯学習の場として、高齢者等の社会参加活動の拠点となるものである。このため、施設内のバリアフリー化等ハード面の整備によって高齢者等が利用しやすくするとともに、子どもや高齢者に魅力あるイベントの実施やその情報の提供など、ソフト面の充実も必要である。
このほか、社会福祉施設は、要介護高齢者等のリハビリテーションあるいは生活の場であるとともに、高齢者同士や高齢者等と地域住民とのふれあいの場としても重要である。このため、高齢化が進展するなかで、地域に開かれたコミュニティケアの拠点としての機能が求められる。したがって、福祉施設の立地は、誰もが利用しやすい身近な所に設置すべきであり、その際には、学校の空きスペース等既存施設を活用するのも効率的であろう。
生活環境の整備にあたっては、三人に一人が高齢者になることを念頭におき、防災にも配慮するとともに、各種の施設が都市づくりのなかでバランスよく配置されなければならない。また、今後の都市づくりにおいては、地域の特色をいかしたものとする必要がある。そのため、施設を機能面から充実させるだけでなく、地域固有の伝統、文化等地域の個性や特色をいかし、住民の意向等を把握し、反映していくことも重要である。
我が国は世界一の長寿国になった。しかし世界一暮らしやすい国になっているとは言い難い。
高齢者や障害者が自らの選択によって生活をコントロールし、より快適に過ごすためには、住宅や生活環境施設に限らず、国民生活上のあらゆる分野において、不便や不安を感じることがないよう、心身機能に応じた十分な配慮がなされなければならない。
こうした配慮がなされることは、地域住民の「生活の質(QOL)」の向上を実現することにもなる。
福祉のまちは、すべての住民が地域社会において、疎外感を味わうことなく、安心して快適に暮らせる人間本位のまちであり、豊かな国民生活の実現を図る上で基本となるものである。
今後の高齢化の急速な進展を考えると、高齢者等が、家庭での生活に限らず、生活関連施設やメンタルな面においても、不便や危険、さらには不快を感じることなく、気軽に社会参加できる環境づくりが求められる。
このため、例えば、家庭での生活においても、住居のバリアフリー化とともに、日常の生活に欠かすことのできない日用品や家電製品・情報通信機器などは、高齢者等が誰にも頼らずに一人でも安心して暮らせるよう、色や文字の大きさ、形状、操作面に工夫を施し、使い勝手を良くするなど、便利で安全に使えるものでなければならない。また生活関連施設においても、生活道路は、段差の解消や音の出る信号機が設置され、幅が広く障害物のない歩道が整備され、交通機関は、駅構内にエレベーターが設置され、ホームと車両の間の段差や隙間がなく、リフトバスや低床バスが普及しており、まちには、身近に商店街があり、公共施設や店舗等の建築物の出入口の段差が解消されていなければならない。
さらにメンタルな面では、地域住民との交流などにおいても、疎外感や不快感を味わうことなく、生きがいを持って、豊かに高齢期を過ごすことのできるコミュニティの形成がなされていなければならない。
このようなまちづくりを実現するためには、国民一人一人が福祉的な考えを持ち、また全ての関連施策において、福祉的な配慮がなされなければならない。
我が国では、二十一世紀に向かって、情報化、国際化と並んで、高齢化、長寿化という国民生活に最も密着した大きな変化が予測されており、この変化に的確に対応したハード・ソフト両面における新たなシステムの構築が求められている。
高齢社会においては、高齢者を始めとする地域住民の安全性、快適性の確保といった生活の質の向上が問われることになり、社会全体がそのニーズに応えうるものでなければならない。
そのための福祉のまちづくりは、障害の有無や程度にかかわらず、誰もが暮らしやすいよう、福祉の分野に限らず、国民生活上のあらゆる分野において、計画の段階から福祉的な視点を取り入れていくという、いわゆるユニバーサルデザインの理念に基づいた社会の形成を目指していくことである。
本調査会は、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方について検討してきた。今般、最終報告書を提出するにあたり、特に重要と考えられる点について提言を行う。政府並びに関係方面におかれては、この趣旨を理解され、実現に努められるよう要請するものである。
我が国の少子・高齢化は極めて急速に進んでおり、人口減少社会の到来が見込まれている。こうしたなかで、労働力人口の減少、要介護高齢者の増大等人口構造の変化に伴う社会的な問題が顕在化し、二十一世紀の経済社会の発展に大きな影響を及ぼすものと考えられる。
このため、公正で活力がある経済社会と、豊かな国民生活の実現を目指して、少子・高齢化の進展に適切に対応するための経済社会システムを再構築していくことが必要である。
特に、介護等の社会保障の再構築、女性や高齢者等の雇用環境の整備、安心して暮らせる地域社会を形成するための生活環境の整備が求められる。
子どもを安心して生み育てることができ、育児と仕事の両立が可能な環境を整備することが喫緊の課題となっている。こうしたことから、保育制度の充実や育児休業制度の適切な運用・改善と就業環境の改善を図る必要がある。そのため、関連施策を総合的・計画的に推進するとともに、エンゼルプランの位置付けの明確化等法的整備も視野に入れた幅広い検討が必要である。また、男女共同参画社会の実現に向けて社会全体のシステムを改善するための国民的議論が求められる。
同時に、有子家庭と無子家庭の経済的負担の公平の観点から、児童手当、税制等を総合的に検討し、次代を担う児童の子育てに関する経済的負担の軽減を図る必要がある。
生涯現役社会の実現を目指し、当面、六十歳代前半の高齢者の雇用機会を拡大することが喫緊の課題である。また、六十五歳定年制を実現するためには、六十歳代前半の継続雇用の普及に努めるとともに、これを義務化するための環境づくりが肝要である。
一方、介護休業制度と介護保険制度の発足に当たっては、両者がその役割に応じた機能を十分発揮できるよう、その連携について常に見直しを行うとともに、早急に介護基盤の充実を図る必要がある。また、介護休業制度の法施行前の普及も積極的に促進していく必要がある。さらに、新ゴールドプラン、障害者プランの法的位置付けも検討する必要がある。
豊かな国民生活を享受するためには、快適な生活環境の形成が不可欠である。質の高い住宅や生活環境施設は、社会保障負担を軽減し、制度を支える機能を有することから、その重点的な整備が必要である。
一方、今後の少子・高齢社会を見通すと、子どもや高齢者の利用が容易になるよう、各種施設の整備に当たっては福祉的配慮を講じるとともに、社会保障等ソフト面との連携を一層強化する必要がある。また、高齢者が住み慣れた地域社会の一員として、必要なサービスの提供を受けながら可能な限り地域で暮らし、施設介護が必要となった場合には、その入所が保障されるという良い循環を確立することが重要である。そのためには、バリアフリー化された高齢者向け住宅の供給が不可欠であり、法的整備を含め検討する必要がある。
会長 鶴岡 洋 | 理事 尾辻 秀久 | 理事 太田 豊秋 |
理事 中原 爽 | 理事 円 より子 | 理事 山本 保 |
理事 日下部 禧代子 | 理事 有働 正治 | 理事 阿曽田 清 |
委員 小野 清子 | 委員 大野 つや子 | 委員 狩野 安 |
委員 金田 勝年 | 委員 常田 享詳 | 委員 中島 眞人 |
委員 橋本 聖子 | 委員 平田 耕一 | 委員 三浦 一水 |
委員 朝日 俊弘 | 委員 川橋 幸子 | 委員 水島 裕 |
委員 吉田 之久 | 委員 松 あきら | 委員 菅野 壽 |
委員 栗原 君子 |
理事 小野 清子 | 理事 大島 慶久 | 理事 片山 虎之助 |
理事 清水 嘉与子 | 理事 朝日 俊弘 | 理事 笹野 貞子 |
理事 水島 裕 | 理事 牛嶋 正 | 理事 武田 節子 |
理事 上山 和人 | 理事 菅野 壽 | 理事 三重野 栄子 |
理事 聽濤 弘 | 理事 筆坂 秀世 | 理事 片上 公人 |
委員 阿部 正俊 | 委員 石井 道子 | 委員 上杉 光弘 |
委員 大島 慶久 | 委員 大野 明 | 委員 太田 豊秋 |
委員 岡野 裕 | 委員 加藤 紀文 | 委員 笠原 潤一 |
委員 片山 虎之助 | 委員 清水 嘉与子 | 委員 鈴木 省吾 |
委員 中原 爽 | 委員 野村 五男 | 委員 宮崎 秀樹 |
委員 吉村 剛太郎 | 委員 伊藤 基隆 | 委員 石田 美栄 |
委員 一井 淳治 | 委員 小川 勝也 | 委員 小林 元 |
委員 小島 慶三 | 委員 小山 峰男 | 委員 笹野 貞子 |
委員 菅野 久光 | 委員 千葉 景子 | 委員 角田 義一 |
委員 前川 忠夫 | 委員 松前 達郎 | 委員 和田 洋子 |
委員 魚住 裕一郎 | 委員 海野 義孝 | 委員 及川 順郎 |
委員 大森 礼子 | 委員 高野 博師 | 委員 但馬 久美 |
委員 浜四津 敏子 | 委員 福本 潤一 | 委員 渡辺 孝男 |
委員 青木 薪次 | 委員 日下部 禧代子 | 委員 三重野 栄子 |
委員 山本 正和 | 委員 阿部 幸代 | 委員 山下 芳生 |
委員 木暮 山人 | 委員 都築 譲 | 委員 戸田 邦司 |
委員 平野 貞夫 | 委員 堂本 暁子 | 委員 水野 誠一 |
調査項目・二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方
(1)調査会(手続のためだけに開かれた調査会を除く)
国会回次 | 年月日 | 活動内容 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一三四回 | 平七・一一・八 | 経済企画庁・大蔵省から説明聴取 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一二・一三 | 厚生省・運輸省・郵政省・建設省から説明聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一三六回 | 平八・二・七 | 科学技術庁・文部省・通商産業省・労働省から説明聴取・質疑 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
二・一四 | 政府に対する質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
二・二八 | 政府に対する質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
四・二二 | 参考人から意見聴取・質疑 派遣委員の報告 |
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四・二五 | 参考人から意見聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
四・二六 | 参考人から意見聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
六・五 | 参考人から意見聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
六・一七 | 中間報告書の提出を決定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一三九回 | 一二・一三 | 海外派遣議員の報告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一四〇回 | 平九・二・一二 | 大蔵省・厚生省・労働省・自治省から説明聴取・質疑 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
二・二五 | 経済企画庁・国土庁・運輸省・建設省から説明聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三・一九 | 参考人から意見聴取・質疑 派遣委員の報告 |
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四・九 | 参考人から意見聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
四・一六 | 参考人から意見聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
五・七 | 参考人から意見聴取・質疑 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
五・二八 | 各委員意見表明 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
六・一一 | 中間報告書の提出を決定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一四一回 | 一〇・二九 |
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一一・一〇 |
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一四二回 | 平一〇・二・二五 |
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三・一一 |
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四・八 |
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五・一一 |
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五・二〇 | 各委員意見表明 太田 豊秋 君 (自由民主党) 円 より子 君 (民主党・新緑風会) 山本 保 君 (公明) 日下部 禧代子 君 (社会民主党・護憲連合) 有働 正治 君 (日本共産党) 阿曽田 清 君 (自由党) 栗原 君子 君 (新社会党・平和連合) |
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六・三 | 報告書の提出を決定 |
(注)平七・八・四~九・六・一一の間に招致した参考人等の調査会活動の詳細は、初年度及び二年度目の中間報告参照。
(2)海外派遣・委員派遣・近郊視察
国会回次 | 期間又は期日 | 派遣先等 | |
一三六回 | 平八・二・一九 ~二一 |
宮崎県及び大分県 | |
調査目的 | 産業動向、雇用動向、社会資本の整備状況等に関する実情調査 | ||
派遣委員 | 会長 鶴岡 洋 理事 太田 豊秋 理事 清水 嘉与子 理事 牛嶋 正 理事 片上 公人 理事 上山 和人 理事 聽濤 弘 委員 笹野 貞子 |
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視察先 | 宮崎県工業試験場、日南海岸海中公園、宮崎県亜熱帯作物支場、シーガイア、大分県社会福祉介護研修センター、ウェルフェアテクノハウス大分、別府市竹細工伝統産業会館、社会福祉法人「太陽の家」等 | ||
一三六回 閉会後 |
平八・ 七・三〇 ~八・一一 |
ドイツ、デンマーク、イギリス及びフランス | |
調査目的 | 先進諸国における社会資本整備に関する制度・施策の調査のため | ||
派遣議員 |
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一四〇回 | 平九・二・一七 ~一九 |
広島県及び愛媛県 | |
調査目的 | 社会資本整備、社会保障等国民生活・経済に関する諸問題の実情調査 | ||
派遣委員 | 会長 鶴岡 洋 理事 小野 清子 理事 大島 慶久 理事 牛嶋 正 理事 日下部 禧代子 理事 笹野 貞子 理事 聽濤 弘 委員 片山 虎之助 委員 小林 元 委員 朝日 俊弘 委員 小山 峰男 |
||
視察先 | 広島空港及び周辺地域視察、公立みつぎ総合病院、ひろしま西風新都、アイテムえひめ、愛媛県生涯学習センター、愛媛県花き総合指導センター等 | ||
一四二回 | 平一〇・三・一六 | 視察目的 | 社会資本整備に関する実情調査 |
視察委員 | 会長 鶴岡 洋 理事 尾辻 秀久 理事 中原 爽 理事 円 より子 理事 日下部 禧代子 理事 有働 正治 委員 吉田 之久 委員 松 あきら 委員 栗原 君子 |
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視察先 | 東京湾アクアライン海ほたる、お台場海浜公園、テレコムセンタービル、共同溝 |