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参議院のあらまし

押しボタン式投票

 参議院本会議における表決方法には、「起立採決」、「記名投票」、「異議の有無」、「押しボタン式投票」の四つがあります。

 「起立採決」は、議長が問題に賛成する者を起立させ、起立者と着席者の多少を認定して可否の結果を宣告する方法です。

 「記名投票」は、議員の氏名が記載された木札を用いて行われ、賛成の場合は白色の木札を、反対の場合は青色の木札を各議員が演壇に持参し投票することによって可否を判断します。

 「異議の有無」による表決は、議長が異議の有無を議院に諮り、異議がないと認めたときに提案のとおり決する旨を宣告する方法です。

 「押しボタン式投票」は、各議員が議席に設置されている賛否いずれかのボタンを押し、その結果の数字が議場内の表示盤に表示され、議長が宣告することによって可否を確定します。

 参議院では長きにわたって、表決は原則として起立採決とされ、特に重要な案件については記名投票、議案以外で反対がない軽微な問題の表決は異議の有無によるといった運用が行われてきました。しかし、第142回国会(平成10年1月12日召集)から、押しボタン式投票が加わり、議案の採決は、原則として押しボタン式投票で行うことになりました(平成9年12月12日議院運営委員会理事会決定)。

 国会で押しボタン式投票が検討され始めたのは昭和30年代の衆議院にさかのぼります。しかし、いずれの提案も牛歩戦術など野党の抵抗を排除する手段として与党から主張されたものであったため、野党側の賛同が得られず実現には至りませんでした。

 参議院改革の一環として、参議院で押しボタン式投票が本格的に検討され始めたのは、昭和50年代後半からです。昭和60年2月の参議院改革協議会の中間報告書では「電子式投票装置による投票を採用することが望ましい」と結論づけながらも、最終的な合意が得られず採用は見送られました。その後、参議院制度改革検討会で再び検討が始まり、平成8年12月には同検討会から「電子式投票装置を導入すべきであるとの意見が大勢を占めた」旨の答申が議長になされ、押しボタン式投票の導入が決定されました。

 押しボタン式投票導入の効果としては、議案に対する議員個々人の賛否を明らかにすることで議員の政治責任をより一層明確にできることや、情報公開及び表決の迅速化を図ることが挙げられます。現在、投票結果は、会議録に掲載されるとともに、時を置かずに参議院のホームページにも掲載されています。

 もっとも、押しボタン式投票の導入で記名投票がなくなったわけではありません。出席議員の五分の一以上の要求があるときは、議長は記名投票で表決を採らなければならないという規定(参議院規則第138条)が残されています。

 押しボタン式投票の導入後も、総予算や大臣に対する問責決議案などについては、野党から記名投票要求が提出され、記名投票で採決が行われています。また、平成17年8月に郵政民営化法案を否決した本会議と、衆議院の総選挙後、同年10月に同法案を可決した本会議の採決では、与党から記名投票要求が出されました。