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参議院のあらまし

委員会の活動(2)国政調査

 国政調査権に基づく調査は、議案の審議と並んで、衆議院、参議院それぞれにおける活動の重要な部分を占めています。

 憲法62条は、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と定め、国政調査権を国会の両議院それぞれの権限として保障しています。衆参両議院が、各々本会議において調査を行うことができるのはもとより、国会法及び議院規則の下で、両議院の各委員会が調査を行うことが認められています。そして実際には、議案審議について委員会中心主義が採られていることとあいまって、専門性、機動性で勝る委員会が、国政調査の主な担い手となっています。

 委員会における国政調査は、議案の審査及び調査事件の調査のため、それぞれの所管に応じ国政の全般を対象として行われます。調査は、委員の要求又は理事会における協議を端緒に、その方法としては、政府から説明を聴取し、必要に応じて証人又は参考人から証言又は意見を聴き、質疑を行い、内閣、官公署その他に対し報告又は記録の提出を求め、あるいは、委員を派遣する等によって行われています。委員会の決定を要する方法により調査を行うには、委員会の多数会派の賛同を得ることが不可欠となるため、少数会派の要望をどのように容れていくかが課題となっています。

 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(議院証言法)によって、証人として出頭及び証言又は書類の提出を求めるときは、委員会の決定の後、議長から文書により証人にこれを求めます。同法は、証人に出頭及び証言又は書類の提出を義務付けるととともに、これに違反したものに刑事罰による強制を課し、調査の実効性を担保しています。他方、このような強い権限と、証人又はその親族等の刑事責任並びに医師、弁護士等及び公務員の守秘義務との調整が図られています。また、同法により証人として出頭及び証言を求めるときには、各会派の協議に基づき全会一致で決する慣行が確立しており、証人となる個人の人権に配慮がなされています。

 国会法104条によって、内閣、官公署等に対し報告又は記録の提出を求めるには、委員会の決定の後、議長を経由して行います。なお、国の機関に対するもので、理事会の決定により要求する場合又は委員会において委員の要求がありこれに別段異議もない場合には、委員長から直接行う例となっています。同条による要求には議院証言法の場合のような強制力はありませんが、これに応じない場合には、内閣、官公署等はその理由を疎明しなければなりません。さらに、場合によっては、委員会から内閣に対して声明を出すよう要求することができます。

 また、国会法105条により、会計検査院に対して特定事項の検査の要請を行うこともできます。

 参考人の意見聴取、委員派遣も、委員会における国政調査の有効な手段となっています。参考人の出席は、委員会の決定の後、衆議院においては委員長から直接、参議院においては議長からこれを求めます。審査又は調査のため委員を派遣するには、委員会の決定に基づき、議長の承認を得ることを要します。

 さらに参議院には、6年の議員任期に着目し、国政の基本的事項に関し長期的かつ総合的な調査を行うため調査会を置くことができることとされ、昭和61年以来、通常選挙が行われる3年ごとに三つの調査会が設けられています。

 国会が国民の負託に十全に応えるために、各議院においてこれら国政調査のための諸制度が適切に運用されることが期待されています。