「会派」は、各議院の内部において組織される議員の団体ですが、議員が任意に結成する院内団体であり、議院の機関ではありません。一方、会派の結成等については、議長への届出を要し、それによって院内で一定の地位や便益が供される点で、個々の政策の推進や議員間の友好を目的として結成される議員連盟等とは異なります。
国会法の規定中「会派」の語が出てくるのは、第42条、第46条、第54条の3だけで、しかも、これらは委員の割当てについて規定したものです。国会法や議院規則では会派の要件等の規定を置かず、先例にゆだねています。
会派は、2人以上の議員をもって結成することができます。退会又は議員辞職等により会派の所属議員が1人となったときは、その会派は消滅することになります。会派を結成、解散、名称変更したときや、会派の所属議員に異動があったときは、議長に届け出ることが必要です。なお、議員が複数の会派に所属することは認められません。
議院の運営については、実質的にこの会派を単位として協議され、また、議員はその所属会派の一員として活動することになります。会派が重要な機能を果たすのは、議院の構成・運営上の様々な事項について割当ての対象となる点です。常任委員長、委員(常任、特別、調査会等)、理事、本会議の発言時間、控室等は、所属議員数に応じた比例配分により会派に割り当てられます。中でも議院運営委員の割当ては、議院の運営についての協議に参加できる資格となる点で会派にとっては重要な意味を持ちます。参議院では、所属議員10人以上の会派に議院運営委員が割り当てられ、院内交渉会派と呼ばれています。
会派と政党は混同されることがしばしばありますが、両者の決定的な違いは、会派の機能が院内に限られているのに対し、政党は一定の政治活動を行う社会的存在であること、またそれゆえにその構成員が議員に限られていない点といえます。
実際上、同一の政党に所属する議員が会派を結成することが多いのですが、政党に籍を置かない議員の会派への所属や複数の政党が統一会派を組むような例も見られます。
なお、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律は、「立法事務費の交付を受ける会派」について規定していますが、これは(1)議院運営委員会が会派の認定を行うこと、(2)所属議員が1人でも結成が可能なことの2点において院内団体たる会派との間で要件が異なります。