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参議院のあらまし

本会議決議

決議の種類

 議院が決議の形式で外部に一定の意思を表明することは、会議体としての議院が当然に有している権能とされています。議院が行う決議には、(1)内閣不信任・信任決議(衆)、内閣総理大臣問責決議(参)など内閣の責任を追及する決議、(2)議長不信任など議院の内部事項に関する決議、(3)感謝・祝意など儀礼に関する決議、(4)国政の諸般の事項に関し、内閣に対する要望、勧告、警告などを表明する決議(以下「政策的決議」という。)などがあります。このうち、衆議院が行う内閣不信任決議・信任決議(否決で不信任決議と同様の効果)については、憲法に明文の規定があります(憲法第69条)。

決議案の発議から採決まで

 議員が決議案を発議する場合は、発議者のほか、参議院では議員10名以上(衆議院では内容により議員20名又は50名以上)の賛成者が必要となります。儀礼に関する決議及び政策的決議については、各会派が共同で決議案を発議することがほとんどです。
 決議案は、発議の際に委員会審査を省略して本会議への上程を求める文書を添える例となっています。議長は、委員会審査省略の要求があった決議案の取扱いについて、議院運営委員会に諮った後、本会議に付し、委員会審査を省略することに決したときは、決議案は直ちに議題となります。本会議では、発議者から趣旨の説明を聴取した後、採決に付されます(決議案の内容によっては、討論が行われることもあります。)。儀礼に関する決議及び政策的決議は、おおむね全会一致で行われていますが、多数の場合もあります。
 決議案は、法律案のように両院送付関係にある議案ではなく、一院の意思表示で完結します。俗に「国会決議」と言いますが、「国会決議」という衆参両院が議決した一つの決議があるわけではなく、衆参両院は独立して決議を行います。
 政策的決議案が可決されたときは、内閣総理大臣又は所管の国務大臣が所信を表明する例となっています。決議のうち内閣に送付を要するものについては、議決の当日、決議文を議長から内閣総理大臣に送付する例となっています。外国向けの感謝決議等を行った場合には、決議の外国政府等への伝達を内閣に依頼することもあります。

決議の効果

 一般的には、議院が行う決議は法的効果を有しませんが、前述の内閣不信任・信任決議や、常任委員長解任決議(国会法第30条の2)のように法的効果を伴うものもあります。しかし、法的効果を有しないとはいえ、国権の最高機関たる国会を構成する参議院又は衆議院が行った決議の重みを考慮すれば、政治的効果や道義的効果が生ずるといえます。例えば、政策的決議は、国会による行政監視機能の一態様として内閣にその遵守を求めるものであり、内閣は行政権の行使について国会に連帯して責任を負っていることから、政治的道義的な効果を有しているものと解されています。最近では、第165回国会(平成18年臨時会)において、北朝鮮による核実験実施の発表を受け、北朝鮮の核実験に抗議するとともに、政府に対し、北朝鮮がすべての核兵器及び核計画を放棄するよう促すこと等を求める決議が衆参両院で行われ、内閣総理大臣からは、決議の趣旨を体し努力する旨の所信が表明されました。また、各国務大臣に対する衆議院における不信任決議及び参議院における問責決議も強い政治的効果を有しており、これらの決議が可決された後に、大臣が辞任した例があります。