国際会議 アジア・太平洋議員フォーラム(APPF):参議院
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第14回アジア・太平洋議員フォーラム(APPF)総会派遣報告

 第14回アジア・太平洋議員フォーラム(APPF)総会は、21か国及びオブザーバー国(ブルネイ)から117名の代表及び153名の同行者が参加して、平成18年1月15日(日)から19日(木)までの5日間、インドネシア・ジャカルタのヒルトン・インターナショナル・ホテルで開催された。
 本代表団は、衆議院から派遣された代表団並びに個人参加の中曽根弘文、田村耕太郎の両参議院議員とともに日本国会代表団を結成し、互選により団長に島村宜伸衆議院議員、副団長に谷川秀善参議院議員を選出した。
 日本議員団は、事前に決議案5本と共同声明案1本、そして拉致問題に関する資料「日朝間における最近の動き」を提出し、現地においては、本会議で積極的に発言するとともに、起草委員会における決議や共同コミュニケの取りまとめにおいても大きな役割を果たす等会議の成功に大きく貢献した。また、アグン・ラクソノ・インドネシア国会議長(第14回APPF総会議長)への表敬訪問、ロシア代表団との二国間協議、韓国代表団主催の北東アジア加盟国(日本、中国、韓国及びロシア。モンゴルは欠席。)による昼食会への出席等の活動も精力的に行った。
 本報告書は、日本代表団の会議での発言を中心に会議の概要を報告するものであり、詳細は別途印刷配付される「第14回アジア・太平洋議員フォーラム(APPF)総会概要」を参照願いたい。

(1)執行委員会

 執行委員会は、15日(日)午後8時30分から、ホテル内のアセアンルームで開催され、ラクソノ議長、日本、カナダ、チリ、中国、フィジー、ニュージーランド、インドネシア及びマレーシアの執行委員国8か国とロシアの代表が出席した。
 ラクソノ議長のあいさつ、各国の自己紹介の後、参加国数、決議案の提出状況等について報告があり、本会議議長及び決議案や起草委員会の委員長についてラクソノ議長の指名のとおり決定するとともに、アジア開発銀行からの参加要請を承認した。
 また、第15回総会主催国については、ロシアからの申出を承認することとした。

(2)開会式

 翌16日(月)午前9時から、インドネシア国会図書館で開会式が挙行された。始めにスシロ・バンバン・ユドヨノ・インドネシア大統領が開会宣言・歓迎のあいさつを行い、津波被害への支援に対する謝意を表明するとともに、復興状況の報告、その他様々な問題への取組とAPPFの重要性等に言及した。続いて島村団長が登壇し、太平洋圏が格段の重要性を持ち世界の運命を左右するまでになっている中で、強力かつ密接な地域間協力を達成するため、参加者が更なる友情を温め、お互いの信頼を高め、アジア太平洋地域の新天地に向かい大きく前進されるよう強く祈念するとの中曽根康弘APPF名誉会長のメッセージを伝えた。さらに、前回総会で議長を務めたグエン・ヴァン・アン・ベトナム国会議長のあいさつがあり、最後にラクソノ議長があいさつに立ち、津波被害に対する支援に謝意を表明するとともに、アジア大平洋地域の課題や発展性に関する所見を述べた。また、特に我が国に関し、1997年のアジア金融危機の際の協力や津波被害への迅速な支援に言及し謝意を表明した。

(3)本会議

 同日午後2時から、ホテル内ゴールデン・ボール・ルームにおいて、第1回本会議が開会された。本会議は、19日(木)までの4日間にわたり計5回開会された。

1 政治及び安全保障問題

 テロリズム及び国境を越える犯罪、朝鮮半島情勢、中東和平プロセス、アジア太平洋地域における民主化、政治及び安全保障協力の強化について意見交換が行われた。
A テロリズム及び国境を越える犯罪
 柳本卓治衆議院議員は、「テロ問題に関する決議案」の趣旨説明を行い、東西冷戦終結後、世界各地でテロ活動が頻発化している中、国家や国民の安全確保だけでなく経済的な側面での影響も大きくなっていることを指摘した上で、テロは犯罪であり、我々は一体となって国連憲章に従いあらゆる手段を用いてテロと闘う必要があるとして、各国の出入国管理の強化、国際的な法的枠組みの整備強化の重要性を強調した。
 中曽根参議院議員は、「10月1日のバリ島における爆弾テロ事件に関する共同声明案」について、概要次のとおり趣旨説明を行った。
 爆弾テロ事件の犠牲者とインドネシアの人民、議会及び政府に対しお悔やみとお見舞いを申し上げる。テロは、民族、宗教、文化の違い等いかなる理由があろうと許されない犯罪である。テロリストの活動が広域化、活発化している中、国際社会が協力を更に強化し地域全体が協調して対策に取り組む必要が一層高まっている。多くの一般市民の命を奪い、我々の間に憎悪や恐怖心をあおり立て、平和な市民生活を破壊するテロリストの企てに決して屈してはならない。我々は、こうした卑劣な行為を強く非難し、インドネシア政府と協力して取り組んでいく断固とした決意を世界に発信すべきである。
B 朝鮮半島情勢
 谷川副団長は、「朝鮮半島情勢に関する決議案」について、概要次のとおり趣旨説明を行った。
 朝鮮半島に平和と安定を確立する上で、六者会合のプロセスは中核的な責任を担う枠組みである。北朝鮮が国際世論を無視し核開発を押し進め、六者会合のプロセスは十分な成果が得られてこなかったが、昨年9月に共同声明が採択され、最終目標としての朝鮮半島の非核化が合意できた意義は大きい。北朝鮮は、信頼のおける国際的な検証の下でウラン濃縮計画を含むすべての核計画の完全な廃棄に早急に着手し、配備済み弾道ミサイルの廃棄、ミサイルの開発、実験、輸出の停止等を具体的に実行し、国際社会の懸念を解消しなければならない。
 北朝鮮による日本人拉致問題は未解決であることを強く訴える。拉致は人間の尊厳及び基本的自由の重大かつ明白な侵害であり、非人道的な許し難い行為であると同時に、我が国の主権に対する明白な侵害行為である。一部拉致被害者とその御家族が帰国したものの、北朝鮮からは、その他の拉致被害者の安否について未だに納得のいく説明がなされず、その他拉致された疑いのある被害者に関する情報も示されていない。先の六者会合の共同声明にも盛り込まれたように、我が国としては拉致問題の解決を置き去りにしての北朝鮮との国交正常化はあり得ない。我が国国内では被害者の救出を求める運動が活発に展開され、国連総会で初の北朝鮮の人権状況決議が採択される等、国際社会の関心も確実に高まっており、APPFの更なる協力をお願いする。
 谷川副団長は、また、我が国が提出したテーマペーパー「日朝間における最近の動き」にも言及し、各国の理解を求めた。
C 中東和平プロセス
 富田茂之衆議院議員は、「中東和平プロセスに関する決議案」について趣旨説明を行い、昨年はガザ地区のイスラエル入植者の撤退が完了する等明るい兆しも見え始めたが、シャロン首相の不在が和平への動きを止めることがあってはならず、APPFとして、テロと暴力の停止に協力し、当事国に対し和平への前進と協力を訴えていくことの重要性を強調した。

2 経済及び貿易問題

 第13回APEC釜山首脳会議について韓国から、第1回東アジア首脳会議についてマレーシアから、第6回世界貿易機関(WTO)香港閣僚会議について中国から報告があったほか、発展途上国及び後発開発途上国における経済強化の協力、地域及び世界規模の経済協力の強化について意見交換が行われた。
A 地域及び世界規模の経済協力の強化
 高山智司衆議院議員は、「経済・貿易に関する決議案」について趣旨説明を行い、ドーハ開発アジェンダ交渉の本年中の妥結の必要性を強調した上で、域内における自由貿易協定(FTA)締結の動きは地域全体の繁栄に貢献し、今後これらを基盤にWTOと整合的に地域統合の深化に努める必要があり、さらに、知的財産権や投資等に関連する貿易ルールの確立等の円滑化措置を進めることによりアジア太平洋地域を貿易・投資の先進地域にしたいとして、各国の協力を求めた。
 田村参議院議員は概要次のとおり発言した。
 経済統合のカテゴリーには、モノやサービスの自由な移動、労働力の自由な移動、資金の自由な移動の三つがあるが、農業問題、移民・外国人労働者問題等のある前二者に比較して、資金の自由な移動が最も達成が容易であろう。日本の市場には豊富な資金が流れ込み、日本の投資家の投資意欲も高く、こうした資金が健全な需要がある発展途上国に流れるようにすべきである。債券市場について、東京市場の潜在力を活用し、投資家と中小企業を含む発行体双方がアクセスし易くするとともに、エクイティー(資本)市場については、東京市場が域内企業への資金提供においてより主導的な役割を果たすよう、域内企業とりわけ中小企業により利用可能な株式公開要件を実施すべきと考えている。よく考えられ、整備された市場システムを通してリスクマネーを供給することで、発展途上国の企業部門が活性化し、経済の育成が進むとともに、進んだコーポレートガバナンスや良い情報公開がもたらされるだろう。共通の金融市場を通じ、域内経済の発展を支援するため、我が国は重要な役割を果たす用意がある。

3 アジア・太平洋における地域協力

 災害対策及び緊急事態対処に関し、津波被害後の復興及び再建の進ちょく状況についてインドネシア復興再建特別庁長官から説明があったほか、国連気候変動枠組み条約第11回締約国会議並びに京都議定書第1回締約国会議についてカナダから報告があった。その他、エネルギー安全保障、政治腐敗との闘い、政治及び経済における女性参加の推進、貧困の軽減及びミレニアム開発目標、文明間及び異宗教間の対話、市民社会とグッドガバナンス、流行性疾患(鳥インフルエンザ)について意見交換が行われた。
A エネルギー安全保障
 松浪健太衆議院議員は、「エネルギー安全保障に関する決議案」の趣旨説明を行い、急激なエネルギー価格の上昇が世界経済の健全な発展を阻害する可能性を憂慮し、使用量抑制やクリーンエネルギー普及の必要性が高まりを見せる中で、APPFに加盟するエネルギー生産国と供給国の双方が適切なエネルギー政策を遂行し、長期的な視野に立って協調体制の構築に努めるよう訴えた。
B 文明間及び異宗教間の対話
 福島参議院議員は、概要次のとおり発言した。
 日本国憲法の前文は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と宣言している。さらに、憲法第9条は、我が国が国権の発動としての戦争を永久に放棄し、戦力を保持しないことを明確にうたっている。これらは、アジアの近隣諸国に対する植民地支配への反省と、二度と戦争の加害者にも犠牲者にもならないとの日本の決意を示すものである。しかし、日本は今、平和国家の維持について岐路に立っている。
 紛争解決には、戦争や武力行使に頼るのではなく、対話や協力を通じた外交努力こそが我々の採るべき道である。冷戦が終結した今、アジア地域に必要なのは、二国間の軍事同盟の強化ではなく、多くの国々の信頼と協力に基づく平和と安定のための新しい安全保障システムの構築である。北東アジア地域を対話と安定の地域に変えていくことが、アジアと世界の平和に大きく貢献する。
C 気候変動に関する国連枠組み条約の成果
 福島参議院議員は、概要次のとおり発言した。
 地球温暖化が急速に進む中、取り返しのつかない事態になる前に安定化を図るためには、風力、太陽エネルギー、小水力、地熱等の再生可能エネルギーの使用促進が重要である。日本では、国会議員による「自然エネルギー促進議員連盟」を結成し、政策の推進を政府に働き掛けており、昨年6月には愛知万博の会場にアジア太平洋地域の国会議員が集まり自然エネルギー利用拡大や課題への取組を協議した。再生可能エネルギーの利用を高める国際的合意を着実に推進していくための国際条約を作ることを提案する。地域の国会議員が、再生可能エネルギーの促進に向けた各国での立法化を考え、売買価格の保証システム等、再生可能エネルギー産業が育成される環境を整備すべきである。原子力エネルギーについては縮小、できれば放棄すべきである。環境教育の充実による個人の意識改革とライフスタイルの変更、国際的な取組を加速するため、あらゆるレベルで協力体制を確立し、各国がノウハウを提供し合うことで、共通の目的に取り組みたい。

4 その他

A 北朝鮮の招請問題
 韓国から、北朝鮮をオブザーバーとして招請すべきであるとの提案がなされたのに対し、島村団長は、北朝鮮が拉致問題について誠意ある態度を示さない現状では招請は時期尚早であるとして反対を表明し、協議の結果、この問題は次回の総会に持ち越されることになった。
B 第15回総会
 2007年1月にロシアで開催されることに決定した。

5 決議案、共同コミュニケの採択

A 起草委員会等における案文の調整
 我が国始め各国から事前に提出された35本の決議案及び1本の共同宣言案に関する案文の調整並びに共同コミュニケ案の起草は、マルヅキ・ダルスマン・インドネシア国会議員を委員長とする起草委員会に委ねられ、同委員会は、各国から約40名が参加して17日(火)、18日(水)の両日、関係国による一本化等の個別協議と全体審議を行った結果、22本の決議案及び1本の共同宣言案並びに共同コミュニケ案を取りまとめた。また、朝鮮半島問題の決議案に関しては、我が国と韓国の間での協議が長引いたため、本会議で審議することとされ、その後両国で更に協議を続け、一本化を行った。
 朝鮮半島問題、特に拉致問題の記述は一連の協議の中でも大変難航したところであり、結果として、我が国が強く主張した拉致問題や北朝鮮の人権状況を決議案に盛り込むことはかなわなかったが、共同コミュニケ案に「総会で拉致問題が討議された」との一文が挿入されるとともに、日本代表団が拉致問題の人道的性質及び緊急性を強調し、本件問題へのAPPF加盟国の支持、協力を要請し、これに対し、加盟各国は被害者とその御家族への同情の念と迅速な問題解決への願望を表明した旨の付属文書が添付されることになった。
B 決議案、共同コミュニケの採択
 こうして取りまとめを終えた決議案及び共同声明案並びに共同コミュニケ案は、19日(木)の第5回本会議において、起草委員会委員長の報告、朝鮮半島問題の決議案に関する韓国と日本(高山衆議院議員)の報告の後、いずれも採択された。
 続いて共同コミュニケの調印式が行われ、日本代表団からは島村団長が署名を行った。

(4)閉会式

 続いて閉会式が挙行され、閉会の辞を述べたラクソノ議長からは、参加者の貢献に対し感謝の意が述べられ、特に、バリ島における爆弾テロ事件に対する共同声明案を提出したことに対し日本議員団への謝意が表明された。同議長はまた、中曽根康弘APPF名誉会長の功績を称え、我々国会議員は国民の「目」、「耳」としてローカルに考え、グローバルに行動しようと呼びかけた。そして最後に次期総会主催国のロシアの代表からあいさつがあり、これをもって総会は閉会した。

(5)終わりに

 アジア太平洋地域の動向が世界の平和と繁栄にとり一層重要性を増す中で、地域の国会議員が様々な問題で協力を強化していくことの意義の大きさを改めて強く感じた次第である。
 今次総会に当たり、ラクソノ・インドネシア国会議長を始め多くのインドネシア関係者から賜った御厚情に対し、深く感謝の意を表するとともに、多大な御協力を頂いた在インドネシア大使館員等関係者に心からお礼を申し上げる。