第217回国会(常会)
内閣参質二一七第二〇一号 令和七年六月二十七日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員紙智子君提出海外先住民の遺骨返還に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員紙智子君提出海外先住民の遺骨返還に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「手続を定めた行政文書」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、大学、博物館等が御指摘の報道において「学術研究の目的で収集・保管してきた」とされている「海外先住民の遺骨」を対象とした、お尋ねの「返還」に係るガイドラインを定めたものはない。 二の1、2及び4について お尋ねの「要請」、「返還するに至った判断基準」及び「返還した先住民族名」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、今般のオーストラリアの先住民族に係る遺骨等の返還(以下「豪遺骨等返還」という。)については、オーストラリア政府から日本政府に対し、我が国の大学、博物館等におけるオーストラリアの先住民族に係る遺骨の保管の有無等について確認の要請があったことから、文部科学省において「オーストラリア先住民の遺骨等の保管に関する調査について」(令和五年四月二十六日付け文部科学省高等教育局高等教育企画課及び研究振興局大学研究基盤整備課並びに文化庁企画調整課博物館振興室事務連絡)を発出し、各国公私立大学、各大学共同利用機関法人、各国立博物館及びその関係施設並びに各都道府県・指定都市教育委員会に対して調査を行い、当該調査の結果をオーストラリア政府へ報告したところ、同政府から、オーストラリアの先住民族に係る遺骨等計十体の返還に係る要請があったことから、これを東京大学、京都大学及び国立科学博物館(以下これらを合わせて「東京大学等」という。)に伝達し、これを受けて東京大学等から返還されるに至ったものである。 今般のハワイの先住民族に係る遺骨の返還については、東京大学とハワイの先住民族との間で行われたものであり、政府として詳細は把握していない。 二の3について 豪遺骨等返還に係る合意は、東京大学等とオーストラリア政府及びオーストラリアの先住民族との間で交わされたものであり、当該合意に係る文書の内容については、政府としてお答えする立場にない。 今般のハワイの先住民族に係る遺骨の返還については、東京大学とハワイの先住民族との間で行われたものであり、政府として詳細は把握していない。 三について お尋ねの「どのような国際約束に基づくものか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、豪遺骨等返還については、二の1、2及び4についてで述べたとおり、オーストラリア政府からの要請を受けて、実施されたものである。 四について お尋ねの「先住民の立場に立った権利回復」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「海外先住民の遺骨」の返還については、「持ち込まれた経過を明らかにすること」も含め、一義的には、「遺骨」を保管している機関において、真摯に対応されるものと考えている。 五について お尋ねについては、把握していない。 |