質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一〇一号
  令和六年四月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出地方行政への国の介入強化に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出地方行政への国の介入強化に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねについては、先の答弁書(令和六年三月二十九日内閣参質二一三第七五号。以下「先の答弁書」という。)一及び二の後段についてでお答えしたとおりである。

一の2の(1)及び(2)の前段について

 「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」(令和五年十二月二十一日地方制度調査会)において、「新型コロナ対応に関しては、内閣官房「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」等において、様々な課題の整理が行われている。」「国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の役割分担に関しては、当時の感染症法の規定では想定されない事態に直面して、例えば、令和二年二月にダイヤモンド・プリンセス号船内で多数のコロナ患者が発生した際には、入院する患者の移送について都道府県の区域を超えた対応が必要になり、国が調整の役割を果たした。また、同年春、患者数の大幅な増加に伴い保健所設置市区単位では病床の効率的な利用が困難となった際には、国の要請により都道府県に「都道府県入院調整本部」が設けられた等、感染症法上の役割分担にかかわらず、事実上、国や都道府県が一定の役割を担わざるを得ない事態に至った。新型インフル特措法に基づいて使用制限を要請する施設の範囲や、営業時間の短縮を要請する時間帯について、国と都道府県との間で考え方の相違によって調整が難航した事例もあり、一体となって対応できる仕組みの必要性が指摘されている。こうした課題を踏まえ、その都度、新型インフル特措法、感染症法について必要な改正が行われてきた。しかしながら、こうした困難な事態を招いたという事実は、地方自治法を含め、現行法制による国と地方公共団体の関係における国の役割、都道府県と保健所設置市区の関係における都道府県の役割が、大規模な災害、感染症のまん延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に備える個別行政分野の関係法(以下「個別法」という。)が想定しない事態に対し、十分に対応していなかったことを示すものと評価しなければならない。」「個別法は、これまで発生した災害、感染症のまん延等の事態や、その対応に当たり生じた課題等を踏まえて、備えるべき事態を適切に想定し、必要な規定を設けており、その見直しも重ねられている。しかしながら、今般の新型コロナ対応や、近年の自然災害の発生状況は、個別法において想定されていなかった事態が生じること、こうした事態であっても国と地方が連携し、総力を挙げて取り組む必要があることを、改めて認識させるものであった。これらの課題を踏まえると、まずは、個別法において備えるべき事態を適切に想定し、必要な規定が設けられ、これによって、個別法及び地方自治法上の国等の権限が適切に行使されるようにする必要がある。その上で、国と地方公共団体の間及び地方公共団体相互間の関係に関する地方自治法の規定について、平成十二年の地方分権一括法によって構築された一般ルールを尊重しつつ、大規模な災害、感染症のまん延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、国民の生命、身体又は財産の保護のため、国・地方を通じ的確かつ迅速な対応に万全を期す観点から、所要の見直しを行う必要がある。」とされており、今国会に提出している地方自治法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)による改正後の地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下「新法」という。)第二百五十二条の二十六の五第一項の規定に基づく指示等の国の関与はこれを踏まえたものである。

一の2の(2)の後段について

 お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。

二及び三について

 お尋ねの「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」については、先の答弁書三についてでお答えしたとおりであり、また、三のお尋ねについてはその具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、改正法案が成立した場合には、新法第二百五十二条の二十六の五第一項の規定に基づく指示等の国の関与は、目的を達成するために必要な最小限度の範囲で、地方公共団体の自主性・自立性に配慮して行われるよう、政府として適切な施行に努めてまいりたい。