質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一九号
  令和六年二月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出生活保護制度における医療扶助の適正化に向けた抜本的な見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出生活保護制度における医療扶助の適正化に向けた抜本的な見直しに関する質問に対する答弁書

一及び三について

 御指摘の「適正化に向けた抜本的な見直し」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「医療費の一部自己負担」については、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書(平成二十九年十二月十五日)において、「窓口負担を求めるべきという考え方については、・・・最低生活保障との両立が難しくなるという懸念や、必要な医療の受診まで抑制され、むしろ長期的には医療費が増えるという懸念、仕組みによっては医療機関の未収金やケースワーカーの事務負担の増加につながるといった懸念もあることから、反対する意見が多数であった」とされており、その導入には課題があるものと認識している。また、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保護者(以下「被保護者」という。)の医療保険制度への加入については、他の被保険者の保険料負担や保険財政に与える影響も大きいこと等から、従来から被保護者は国民健康保険制度及び後期高齢者医療制度の被保険者についての適用を除外しているものである。

 また、お尋ねの「具体的に」「協議」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘のような「令和六年度国家予算に対する提案・要望」等については、神戸市のほか、多数の地方公共団体から提出され、必要に応じて意見交換を行いながら、施策の参考としているところである。

二について

 お尋ねについて、生活保護の医療扶助の適正化については、現在、後発医薬品の使用の原則化や、生活保護法第十九条に規定する保護の実施機関による頻回受診者への訪問指導等による受診日数の適正化、長期入院患者の実態把握による必要な退院指導の推進等に取り組んでいる。また、今後は、当該実施機関において、オンライン資格確認の仕組みを活用し、早期に被保護者の頻回受診の傾向を把握し、助言等を行うことで、適正な受診を促す取組や、被保護者に対する多剤投与に着目したレセプト点検を強化し、当該被保護者に対して薬剤師の訪問指導等による医薬品の適正使用を推進する取組等を進めていくこととしている。さらに、都道府県において、広域的な観点から管内市町村の医療扶助等に係るデータ分析を行い、医療扶助の適正化に係る取組目標を設定し、管内市町村に対して当該目標に基づく取組を促すとともに、当該取組に対する評価や助言等を行う仕組みを創設することを検討しているところである。

四について

 御指摘の「医療費の一部自己負担」については一及び三についてでお答えしたとおり、課題があるものと認識しており、御指摘の「医療費の一部自己負担の導入を実現するために試験的に一部自治体において実施」をすることは考えていない。