質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一号
  令和六年二月六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員西田実仁君提出当選無効となった国会議員に対する国による不当利得返還請求権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員西田実仁君提出当選無効となった国会議員に対する国による不当利得返還請求権に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、お尋ねの国の債権の管理等に関する法律(昭和三十一年法律第百十四号。以下「債権管理法」という。)第十条の規定の趣旨は、各省各庁の長(債権管理法第二条第三項の各省各庁の長をいう。以下同じ。)が、その所掌に属すべき債権(債権管理法第二条第一項の国の債権又は債権をいい、債権管理法第三条の規定により債権管理法を適用しないこととされるものを除く。以下同じ。)について、債権管理法及び関係法令の規定に従い、それぞれの債権の発生原因及び内容に即応して的確に処理するとともに、その管理に当たっては、経済性の追求を目的としなければならないという、債権の管理に関する事務(債権管理法第二条第二項の債権の管理に関する事務をいう。以下同じ。)の基準を明らかにすることであると承知している。

 また、後段のお尋ねについては、各省各庁の長は、先に述べた債権管理法第十条の規定の趣旨に沿って債権の管理に関する事務の処理を行わなければならない。

二について

 一般論として、国の不当利得返還請求権を含む債権については、債権管理法第十三条第一項において、歳入徴収官等(債権管理法第二条第四項の歳入徴収官等をいう。以下同じ。)は、その所掌に属する債権(申告納付に係る債権その他の政令で定める債権を除く。)について、履行を請求するため、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第六条の規定によるもののほか、政令で定めるところにより、債務者に対して納入の告知をしなければならないこととされている。その上で、債権管理法第十三条第二項において、歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、その全部又は一部が同条第一項に規定する納入の告知で指定された期限(納入の告知を要しない債権については、履行期限)を経過してもなお履行されていない場合には、債務者に対してその履行を督促しなければならないこととされている。

 ただし、債権管理法第二十一条第一項において、歳入徴収官等は、その所掌に属する債権(国税徴収又は国税滞納処分の例によって徴収する債権その他政令で定める債権を除く。)で履行期限(履行期限の定めのない債権にあっては、債権管理法第十一条第一項前段の規定による記載又は記録をした日)後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、債権管理法第二十一条第一項各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認められるときは、政令で定めるところにより、以後当該債権について、督促を含む保全及び取立てに関する事務(債権管理法第二十条に規定するものを除く。)をすることを要しないものとして整理することができることとされている。

三について

 一般論として、歳入徴収官等は、債権管理法第十五条において、その所掌に属する債権(国税徴収又は国税滞納処分の例によって徴収する債権その他政令で定める債権を除く。)で履行期限を経過したものについて、債権管理法第二十一条第一項の措置をとる場合又は債権管理法第二十四条第一項の規定により履行期限を延長する場合(他の法律の規定に基づきこれらに準ずる措置をとる場合を含む。)その他各省各庁の長が財務大臣と協議して定める特別の事情がある場合を除き、その全部又は一部が債権管理法第十三条第二項の規定による督促があった後、相当の期間を経過してもなお履行されない場合には、債権管理法第十五条各号に掲げる措置をとらなければならないこととされている。

四について

 債権管理法第九条第二項の規定による財務大臣の権限は、債権の管理の適正を期するため必要があると認めるときに行使することができることとされており、いかなる場合に同項に基づき当該権限を行使するかについては、個別具体的な事案に応じて判断すべき事柄であり、一概にお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「当選人が公職選挙法第二百五十一条の規定により遡って国会議員の身分を失った場合」における債権管理法及び関係法令上の対応については、御指摘の「不当利得返還請求権」に係る判断を含め、第一義的には国会議員の歳費等に係る債権を所掌する各省各庁の長である衆議院議長及び参議院議長において御検討いただくことであると考えている。