質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一一六号

コロナ禍における旅行支援政策と感染拡大防止との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年四月二十三日

村田 享子


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   コロナ禍における旅行支援政策と感染拡大防止との関係に関する質問主意書

 「「Go To トラベル事業の経緯と論点―令和三(二〇二一)年度末の状況―」 国立国会図書館 調査及び立法考査局 国土交通課 真子和也」によれば、「令和三(二〇二一)年三月、政府はトラベル事業の全国での再開が難しいと判断し、トラベル事業とは別の地域観光事業支援として、各都道府県が自らの県民等を対象として独自に行う旅行代金の割引施策(いわゆる県民割)を支援することとした。…トラベル事業予算から約三千億円を割り当てることとなった。」としている。

 一方で、令和三年「十一月に入ると、令和四(二〇二二)年一月からのトラベル事業再開が検討されていることが明らかとなった。十一月十九日に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」では、「週末の混雑回避の工夫や中小事業者への配慮の観点から、割引上限額や割引水準、地域共通クーポンの仕組みを含め、制度の段階的な見直しについても検討の上、感染状況や専門家の意見を十分に踏まえつつ、再開に向けた準備を整える」とされた。これらの考え方を踏まえ、観光庁は同日、「新たなGo To トラベル事業」として、…制度の変更を発表した。この事業の出口戦略として、令和四(二〇二二)年のゴールデンウィーク以降、事業主体を国から都道府県に移管し(国は都道府県の事業に補助)、割引率も上限を縮小して地域の実情に応じて柔軟に設定することで、ソフトランディングすることが目指された。」とも指摘している。

 以上の経緯を踏まえたうえで、以下質問する。

一 「Go To トラベル事業」と「県民割」及び「全国旅行支援」は、その仕組みも実施主体も異なることから、似て非なるものであると考える。二〇二〇年十二月二十八日に停止された「Go To トラベル事業」は、その後再開されていないと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 「県民割」は「Go To トラベル事業」の未執行分を各都道府県に配分したと理解しているが、「Go To トラベル事業」を再開することなく、経済対策として新たに「全国旅行支援」を開始した経緯と理由について、政府の見解を示されたい。

三 同じく、「県民割」及び「全国旅行支援」は、いかなる基準をもって全国の都道府県に配分されたのか。その配分の基準、都道府県毎の予算額について示されたい。

四 「新型コロナウイルス感染症対策分科会」はステージⅢ相当の対策が必要な地域におけるトラベル事業の一時停止を提言したにも関わらず、政府は全国で一時停止することを決定した。その判断に至るまでの経過と理由について、政府の見解を示されたい。

五 令和二年十一月二十日の政府分科会尾身会長は記者会見で「感染を抑え込む必要がある地域で感染リスクを伴う「トラベル」を並行して推進することは整合性がない、感染拡大は色々な要素を受けるが、その一つが間違いなく人の動きである」旨指摘した。また、厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが「一般的には人々の移動が感染拡大に影響すると考えられる」と評価している。一方で、尾身会長は「Go To トラベル事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しない」とも述べている。政府は、一連の旅行支援政策と、それによって促進されたであろう旅行や帰省が、新型コロナウイルスの感染拡大の要因となったと考えているか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。