質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第三五号

認定NPO法人フローレンスが自社の取組を渋谷区のふるさと納税の対象にすることで税金の支払い逃れをしている可能性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年二月十六日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   認定NPO法人フローレンスが自社の取組を渋谷区のふるさと納税の対象にすることで税金の支払い逃れをしている可能性に関する質問主意書

 ふるさと納税は、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という問題提起から始まった制度で、総務省ウェブサイト内にあるふるさと納税ポータルサイト内で平成十九年十月に公表されているふるさと納税研究会報告書によると、ふるさと納税には「納税者の選択」「ふるさとの大切さ」「自治意識の進化」という三つの大きな意義を持ち、同ウェブサイト内には「ふるさと納税で日本を元気に!」というコンセプトが掲げられている。

 しかしながら実態を見ると、その適正性に疑義のある事例が散見される。例えば東京都渋谷区のふるさと納税には認定NPO法人フローレンス(以下「フローレンス」という。)が寄附先として定められている。フローレンスの会長職を名乗る駒崎弘樹氏が個人でフローレンスへ渋谷区のふるさと納税を行って寄附金控除を受けていると駒崎氏本人のブログで主張されている(以下「駒崎氏の寄附行為」という。)。本件について私の事務所から総務省に問い合わせたところ、地方税法第三百十四条の七第一項第一号において、寄附金税額控除が受けられる地方団体への寄附(ふるさと納税)については、当該納税義務者がその寄附によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益が当該納税義務者に及ぶと認められるものを除くとされていることを踏まえた運用が必要であり、特別な利益がある場合は寄附金控除の対象外とされるが、駒崎氏の寄附行為により駒崎氏個人に特別な利益があるか否かについては直ちに分からないため、駒崎氏の寄附行為のみを以て地方税法第三百十四条の七第一項第一号括弧書きに該当するものではないとの回答を得ている(以下「総務省回答」という。)。しかしながら、自社や自団体の取組をふるさと納税の対象にすることで、自団体の代表や役員等が自分の組織に寄附して税金の支払いを事実上免れても問題ないのであれば、現制度は元来のふるさと納税の理念にも逸脱する極めて問題がある制度ではないか。これらを踏まえて、以下質問する。

一 総務省回答は現政府の見解と一致するか。異なる点があれば政府見解を示されたい。

二 駒崎氏の寄附行為により、当該納税義務者である駒崎氏が特別な利益があるか否かについて、明確な証明は困難ではないと考えるが、政府見解を伺う。

三 駒崎氏の寄附行為のような、自団体等の取組をふるさと納税の対象とされ、自団体等の代表又は役員等が自団体等に寄附を行って税金を免除されている事例がどれだけ存在するか、把握しているか否かも含めて示されたい。

四 フローレンスの事業は渋谷区民に対する事業ではないが、このような地域住民に直接還元する事業を行っていない事業者や団体を渋谷区のふるさと納税の寄附先として指定する行為は、総務省が公表するふるさと納税研究会報告書にある三つの意義のうち「ふるさとの大切さ」「自治意識の進化」は生まれるのか。見解を伺う。

五 前記四に限らず、ふるさと納税の理念や意義と異なる運用が制度上可能であれば政府が何らかの対応をなすべきと考えるが見解を伺う。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。