質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一三七号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出介護が家族に与える負担の影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出介護が家族に与える負担の影響に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「従来の取組にとどまらない、一歩踏み込んだ取組」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、第九期介護保険事業計画期間(以下「第九期計画期間」という。)に向けて、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十六条第一項の規定に基づき、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を改正するに当たり、認知症高齢者を介護する家族やヤングケアラーなどの家族介護者の支援に取り組むことが重要であるとの考えの下、社会保障審議会介護保険部会の議論を経た上で、現在、当該考えも盛り込んだ基本指針の改正案を策定中である。基本指針の改正後には、同法第百十七条第一項の規定に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)において、当該基本指針に即して、第九期計画期間における市町村介護保険事業計画が定められることになるところ、同計画において、地域の実情に応じて市町村の家族介護者支援を含む取組が定められるものと承知しており、同計画に基づく取組が進められるよう、必要な支援を行ってまいりたい。

一の2について

 御指摘の「学校現場における相談体制の整備」の具体的に指し示す範囲が明らかではないが、文部科学省においては、各都道府県教育委員会等を通じて各学校に対して、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等が心理的又は経済的に困難を抱えている児童生徒等の教育相談に際し、関係機関と連携した対応を行うよう通知するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用の好事例の周知を行っているところ、当該事例として、ヤングケアラーへの支援に関する地域包括支援センターとの連携の事例についても紹介を行っているところである。さらに、令和三年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「多機関連携によるヤングケアラーへの支援の在り方に関する調査研究」において作成された「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」の周知を図っているところであり、引き続き、こうした通知等を通じ、学校や地域包括支援センターも含めた介護や教育等の関係機関における連携が適切になされるよう努めてまいりたい。

二について

 御指摘の「ダブルケアラー」のような複雑化・複合化した課題を抱える者からの相談については、市町村において、育児に係る課題が含まれる場合は、利用者支援事業(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第五十九条第一号に掲げる事業をいう。)によって相談支援が行われており、また、介護に係る課題が含まれる場合は、総合相談支援事業(介護保険法第百十五条の四十六第一項の規定により地域包括支援センターが行う包括的支援事業のうち同法第百十五条の四十五第二項第一号に掲げるものをいう。以下同じ。)によって相談支援が行われているほか、さらに、対象者が抱える課題にかかわらず、重層的支援体制整備事業(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第百六条の四第二項に規定する重層的支援体制整備事業をいう。)による相談支援等が行われており、政府としては、これらの取組に対する支援を通じて、「ダブルケアラー」を含む家族介護者からの相談支援に引き続き適切に対応してまいりたい。

三について

 御指摘の「老老介護」とは、高齢者が高齢の要介護者を介護することと理解し、「認認介護」とは、認知症である者が認知症である家族を介護することと理解すると、お尋ねの「取組」については、各市町村において、総合相談支援事業による相談支援を行うとともに、地域の実情に応じて、一部の市町村においては、必要に応じ民生委員等とも連携しながら、近隣住民からの情報収集や高齢者世帯への戸別訪問を通じ、支援を要する者を把握し、必要な支援を行う関係機関につなぐなどの取組が行われており、政府としては、これらの取組に対する支援を行っているところである。また、高齢者や認知症である者等の介護を必要とする者に対しては、介護保険法等に基づく介護サービス等の提供により支援されているものと承知している。

四について

 御指摘の「今までの(通常の)介護サービスの延長線上のサービス」及び「加重類型に対応した介護メニューの拡充」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、家族介護者を社会全体で支えることは重要であると考えており、その介護の負担を軽減すべく、介護を必要とする者に対して、介護保険法等に基づく介護サービス等が適切に提供されるよう、引き続き、これらのサービス等の基盤の確保に取り組んでまいりたい。