質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一三〇号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出従業員代表制の形骸化を抑止することに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出従業員代表制の形骸化を抑止することに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「従業員代表」及び「従業員代表制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十六条第一項等に規定する労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)が適切に選出され、かつ、同法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行できるようにすることは重要であると考えており、厚生労働省において、引き続き、労働基準関係法令の周知を行うとともに、当該法令の遵守について適切に是正勧告又は指導(以下「指導等」という。)を行うなど、必要な対応を行ってまいりたい。

二について

 お尋ねの「従業員代表制の形骸化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、過半数代表者について、御指摘の「会社による指名」が行われるなどの使用者の意向に基づき選出される等の不適切な事例があることは承知している。また、労働政策審議会労働条件分科会が令和四年十二月に取りまとめた「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」において「過半数代表者の適正な運用の確保や多様な労働者全体の意見を反映した労使コミュニケーションの更なる促進を図る方策について引き続き検討を行うことが適当である」とされ、厚生労働省労働基準局長が参集を求めて開催していた、労働基準関係法制度等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「新しい時代の働き方に関する研究会」が令和五年十月に取りまとめた報告書においても「現行の労働基準法制における過半数代表者や労使委員会の意義や制度の実効性を点検した上で、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方について検討することが必要である」とされたところであり、これらの指摘を踏まえ、引き続き検討してまいりたい。

三について

 御指摘の「働き方改革関連法」が働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成三十年法律第七十一号)を指すものであるとすれば、同法の施行に伴い、平成三十一年四月一日に施行された働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成三十年厚生労働省令第百十二号)により労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第六条の二の規定を改正し、過半数代表者について、「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」との要件を加えたところであり、厚生労働省としては、当該改正内容について周知するとともに、過半数代表者が、適切に選出され、かつ、労働基準法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行できるよう、事業主に対して必要な指導等を行っているところである。